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思った通りに。

15時を過ぎた雨上がり、昨夜からのマナ犬との約束どおりにアイカタとつれだって散歩する。
気候か近郊の雷の影響か、電柱や電線、民家の屋根には数十のカラスがとまり、飛び交う下を、我ら一行は潜り抜けるようにして我が家に帰りついた。丘の上の住宅街には見慣れない異様な光景だった。
マナ犬は玄関の土間で足を拭かれ終えるやいなや、犬部屋の水を飲みにタタタと駆けてゆく。
マナ犬の後ろケツを見送り終えたボクは、上がり框にドスンと座り、クツを脱いだあと、玄関にて鈎のように背中から倒れ仰向けに寝た。

その時のボクは呼吸やら、目を開いて天井との距離が変わらない事実を把握し続けるなど、今している諸々が精一杯な気分だった。

昨夜、ラジオを聴いていたブルートゥースイヤホンが耳穴からこぼれ落ちたのをそのまま気にしなくなるようにぬるっと眠りにつく頃の心持ちは、ボクの残りの人生、やりたいことをやれば良くって、多分それは、やればできる程度できる気がしてたのにな。

アイカタが声をかけてきたのを機に起き上がる。
30分ほど、ボクはそうしてたようだ。

リビングに向かう。
マナ犬はテーブルの下でのびるように寝ている。

ボクは体内の水の流れを良くすると言う漢方を湯沸かしポットの白湯で喉に流し込んだ。

さぁチーズに煮干しを刺して食べよう。
そうして食べたい、と思った通り。