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参院選2022「投票予定×実際の投票行動」でみるそれぞれの特徴は?

7月10日の参議院議員選挙について、LINEリサーチでは選挙前、選挙後の2つの調査を行いました。
選挙後の調査結果として、「投票した人/しなかった人の選挙前時点での投票予定からの変化状況」や「『選挙前の投票予定からの変化』ごとにみる投票した理由、投票しなかった理由」についてお届けしましたが、今回3記事目となる本記事では、選挙前と後の投票行動別に特徴を詳しくみていきたいと思います。

0.グルーピングについて

まず投票した人/しなかった人の「選挙前の投票予定」を、前回記事のグラフをもとにグルーピングしてみます。

【投票した人】以下3つのグループに分類

選挙前に「投票する予定」だった人=A.予定通り参加グループ
選挙前は「まだわからない」人=B.迷って参加グループ
選挙前は「投票しない予定」だった人=対象外※
※今回はサンプル数些少のため分析対象から外します

【投票しなかった人】以下3つのグループに分類

選挙前に「投票する予定」だった人=C.予定変更で不参加グループ
選挙前は「まだわからない」人=D.迷って不参加グループ
選挙前は「投票しない予定」だった人=E.予定通り不参加グループ

次項から、投票した人の2グループ、投票しなかった人の3グループについて、どのような人々なのか分析していきます。

1.投票予定×実際の投票行動でみるグループ別の特徴は?

A.予定通り参加グループ

◆ 男女比はほぼ半々、全体の中の4割が60代以上と、全体平均より1割弱高い。既婚者、主婦/主夫が多い傾向

◆ 政治に興味がある人※1は8割弱

◆ 今回投票時に重視した政策テーマは、「経済・財政 (物価高対策含む)」が4割、「年金・社会保障」、「景気・雇用」が3割超え。続いて「子育て・少子化対策」「福祉・介護」「税制度 (消費税など)」「外交・安全保障」が僅差で2割台

◆ ふだん、投票する政党や候補者を決める際に重視するのは、「政党/候補者のマニフェスト (公約)」が5割弱、「政党への信頼」が4割強、「候補者/所属する政治家の人柄」、「政党の実績」が3割の順となった

※1.「興味がある」「やや興味がある」の計

B.迷って参加グループ

◆ 男女比半々、60代以上が最も少ないグループ。50代以下がまんべんなく全体平均より高い。中でも20代以下に偏っており、全体平均の2倍のボリューム。【E.予定通り不参加グループ】の次に若い人が多いグループ。
未婚者、学生や技術系会社員が多くなった

◆ 政治に興味がある人※1は5割強

◆ 今回投票時に重視した政策テーマは、「経済・財政 (物価高対策含む)」が4割弱、「景気・雇用」が3割弱と高く、以降 約2割のほぼ同率で、「格差・貧困問題」「子育て・少子化対策」「新型コロナウイルス対策」「税制度 (消費税など)」「年金・社会保障」が続いた

◆ ふだん、投票する政党や候補者を決める際に重視するのは、「政党への信頼」「政党/候補者のマニフェスト (公約)」が4割前後、「候補者/所属する政治家の経歴・肩書・実績」「候補者/所属する政治家の人柄」が2割弱、「メディアでの評価」が1割強で続く。「メディアでの評価」が高いのはこの層の特徴

※1.「興味がある」「やや興味がある」の計

C.予定変更で不参加グループ

◆ 男女ともに40代の割合が高い、次いで50代男女。主婦、会社員、既婚者が多い

◆ 政治に興味がある人※1は約7割。【A.予定通り参加グループ】に次いで高かった

◆ 今回の選挙で、重視した政策テーマは、「経済・財政」が4割弱、「年金・社会保障」「景気・雇用」「税制度 (消費税など)」が3割前後、「子育て・少子化対策」が2割強と続く。「税制度 (消費税など)」はほかの層と比べて多く挙げられている

◆ ふだん、投票する政党や候補者を決める際に重視するのは、「政党/候補者のマニフェスト (公約)」が4割、「政党への信頼」が3割強、「候補者/所属する政治家の人柄」が2割

※1.「興味がある」「やや興味がある」の計

D.迷って不参加グループ

◆ 女性の比率が6割強、中でも女性20~40代の比率が全体平均より高い。会社員(事務・技術以外)、未婚者が多い

◆ 政治に興味がある人※1は4割弱。【E.予定通り不参加グループ】に次いで低いグループ

◆ 今回の選挙で、重視した政策テーマは、「景気・雇用」、「年金・社会保障」、「経済・財政」が3割超え、「税制度 (消費税など)」「働き方改革」が2割超えで続く。「働き方改革」は全体平均より顕著に高かった

◆ ふだん投票先を決めるときに重視するのは、「政党/候補者のマニフェスト (公約)」が4割弱、「政党への信頼」「候補者/所属する政治家の人柄」「政党の実績」が2割前後。「自分の周りの人の評価」が1割を超え、この層のみ高かった

※1.「興味がある」「やや興味がある」の計

E.予定通り不参加グループ

◆ 30代以下の比率が全体平均の2倍ある、今回のグループの中で最も若い層。また、少し女性の比率が高い。
会社員(事務系)、学生、未婚者が多い

◆ 政治に興味がある人※1は3割弱ともっとも低い層

◆ 今回の選挙で重視した政策テーマは、「特にない」が3割と顕著だが、次点は2割台で「景気・雇用」「子育て・少子化対策」「経済・財政 (物価高対策含む)」「税制度 (消費税など)」「年金・社会保障」と続く。「働き方改革も」【D.迷って不参加グループ】に次いで高い

◆ ふだん投票先を決めるときに重視するのは、そもそも「特にない」「わからない」が半数弱を占めるが、「政党/候補者のマニフェスト (公約)」は2割強

※1.「興味がある」「やや興味がある」の計

2.投票行動別の政治意識

続いて、「政治を大事に思うか」、「政治に興味があるか」の5段階尺度の質問をスコア化し、平均を散布図に表しました。右に行くほど大事と思っており、上に行くほど興味があるという意味になります。0の軸でプラスマイナスが均衡した状態です。

全体を見ると、「日本の政治を考えたり参加することを大事と思うか」という点では、どのグループも右半分によっています。各グループ投票行動が違っても、どのグループでも「大事」という意見のウェイトのほうが大きい点は共通していることがわかります。
一方で、「日本の政治への興味」では、全グループが「興味あり」とはならず、【D.迷って不参加グループ】でプラスマイナスが拮抗、【E.予定通り不参加グループ】ではマイナスに振れています

次に並びを見ると、今回の投票行動では、投票しなかった【C.予定変更で不参加グループ】が、投票した【B.迷って参加グループ】よりも大事・興味の位置が右上にあり、それらへの意識が高かったことがわかります。
【C.予定変更で不参加グループ】については、プロフィール的に多忙な状況がうかがえる層なので、投票環境の工夫で、投票に参加しやすくなりそうです。【D.迷って不参加グループ】【E.予定通り不参加グループ】は興味度が低いようですが、大事という意識はあります。彼らが投票に参加するきっかけとしてはどんな工夫が打てそうでしょうか。

3.投票行動別でみる、投票率を高める有効な施策

今後の有効な施策の方向性を探るために、「利便」「お得・楽しみ」「ガイド」などの、選挙で投票したくなる施策案を聞いてみました。
以下の表は、グループ別にみた結果になります。

どのグループでも、「ネット投票ができたら」がダントツで1位でした。2位3位には、「投票できる場所が増えたら」もしくは「投票するともらえるお得なクーポン/割引などがあれば」が続きました。

特に、投票前の時点で、「投票予定はわからない」としていたB・Dグループ、結果として事前の予定と違う行動をとったCグループには、利便性を上げる「ネット投票」はより効果的という結果です。
事前に投票意向のあったA,Cグループでは「投票できる場所の増設」も効果的な様子です。 「クーポン・割引」は、Aグループの継続参加と、C,Dグループへの参加率の向上に役立ちそうです。

政治への興味度のやや低いCのグループは、2割以上の人がそもそもの「ガイド類の充実」もあげています。参加に結び付くよう、目に付くようなガイドコンテンツの一層の展開が期待されます。
Eグループは全体と比べて高い項目はありませんでしたが、「ネット投票」以外では「投票できる場所の増設」「ガイド類の充実」が上位となりました。

今回の記事でご紹介したように、参院選に投票した人/しなかった人の、選挙前の予定から、それぞれのプロフィールの傾向が明確に出る結果となりました。また、政治の興味度と投票行動との関連がうかがえましたが、基本的にはどのグループにおいても「政治への参加は大事」だという意識が、「大事ではない」という意識を上回るということは明るい材料かと思います。
それぞれの状況や考え方などはあるとは思いますが、投票されない意見はなかったことと同じになり、当然のことながら政治に反映されず、結果として不利益に結びつく可能性が大きくなると考えられます。今回投票した人/しなかった人の誰もが、今後、より投票に参加しやすくなるような取り組みや施策が、少しでも具体的に進むことを期待します。

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【調査について】
LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国の18~79歳男女(事前調査の回答者)
実施時期:
  事前調査・・・2022年6月30日~7月1日
  事後調査・・・2022年7月11日~7月13日
有効回収数:2007サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック
※表/グラフ中の数字は小数第一位または第二位を四捨五入しているため、合計しても100%にならなかったり、同じパーセンテージでも見え方が異なったりする場合があります

【調査データの引用・転載について】
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