参院選2022「投票予定×実際の投票行動」でみるそれぞれの特徴は?
7月10日の参議院議員選挙について、LINEリサーチでは選挙前、選挙後の2つの調査を行いました。
選挙後の調査結果として、「投票した人/しなかった人の選挙前時点での投票予定からの変化状況」や「『選挙前の投票予定からの変化』ごとにみる投票した理由、投票しなかった理由」についてお届けしましたが、今回3記事目となる本記事では、選挙前と後の投票行動別に特徴を詳しくみていきたいと思います。
0.グルーピングについて
まず投票した人/しなかった人の「選挙前の投票予定」を、前回記事のグラフをもとにグルーピングしてみます。
【投票した人】以下3つのグループに分類
【投票しなかった人】以下3つのグループに分類
次項から、投票した人の2グループ、投票しなかった人の3グループについて、どのような人々なのか分析していきます。
1.投票予定×実際の投票行動でみるグループ別の特徴は?
A.予定通り参加グループ
B.迷って参加グループ
C.予定変更で不参加グループ
D.迷って不参加グループ
E.予定通り不参加グループ
2.投票行動別の政治意識
続いて、「政治を大事に思うか」、「政治に興味があるか」の5段階尺度の質問をスコア化し、平均を散布図に表しました。右に行くほど大事と思っており、上に行くほど興味があるという意味になります。0の軸でプラスマイナスが均衡した状態です。
全体を見ると、「日本の政治を考えたり参加することを大事と思うか」という点では、どのグループも右半分によっています。各グループ投票行動が違っても、どのグループでも「大事」という意見のウェイトのほうが大きい点は共通していることがわかります。
一方で、「日本の政治への興味」では、全グループが「興味あり」とはならず、【D.迷って不参加グループ】でプラスマイナスが拮抗、【E.予定通り不参加グループ】ではマイナスに振れています。
次に並びを見ると、今回の投票行動では、投票しなかった【C.予定変更で不参加グループ】が、投票した【B.迷って参加グループ】よりも大事・興味の位置が右上にあり、それらへの意識が高かったことがわかります。
【C.予定変更で不参加グループ】については、プロフィール的に多忙な状況がうかがえる層なので、投票環境の工夫で、投票に参加しやすくなりそうです。【D.迷って不参加グループ】【E.予定通り不参加グループ】は興味度が低いようですが、大事という意識はあります。彼らが投票に参加するきっかけとしてはどんな工夫が打てそうでしょうか。
3.投票行動別でみる、投票率を高める有効な施策
今後の有効な施策の方向性を探るために、「利便」「お得・楽しみ」「ガイド」などの、選挙で投票したくなる施策案を聞いてみました。
以下の表は、グループ別にみた結果になります。
どのグループでも、「ネット投票ができたら」がダントツで1位でした。2位3位には、「投票できる場所が増えたら」もしくは「投票するともらえるお得なクーポン/割引などがあれば」が続きました。
特に、投票前の時点で、「投票予定はわからない」としていたB・Dグループ、結果として事前の予定と違う行動をとったCグループには、利便性を上げる「ネット投票」はより効果的という結果です。
事前に投票意向のあったA,Cグループでは「投票できる場所の増設」も効果的な様子です。 「クーポン・割引」は、Aグループの継続参加と、C,Dグループへの参加率の向上に役立ちそうです。
政治への興味度のやや低いCのグループは、2割以上の人がそもそもの「ガイド類の充実」もあげています。参加に結び付くよう、目に付くようなガイドコンテンツの一層の展開が期待されます。
Eグループは全体と比べて高い項目はありませんでしたが、「ネット投票」以外では「投票できる場所の増設」「ガイド類の充実」が上位となりました。
今回の記事でご紹介したように、参院選に投票した人/しなかった人の、選挙前の予定から、それぞれのプロフィールの傾向が明確に出る結果となりました。また、政治の興味度と投票行動との関連がうかがえましたが、基本的にはどのグループにおいても「政治への参加は大事」だという意識が、「大事ではない」という意識を上回るということは明るい材料かと思います。
それぞれの状況や考え方などはあるとは思いますが、投票されない意見はなかったことと同じになり、当然のことながら政治に反映されず、結果として不利益に結びつく可能性が大きくなると考えられます。今回投票した人/しなかった人の誰もが、今後、より投票に参加しやすくなるような取り組みや施策が、少しでも具体的に進むことを期待します。
【調査について】
LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国の18~79歳男女(事前調査の回答者)
実施時期:
事前調査・・・2022年6月30日~7月1日
事後調査・・・2022年7月11日~7月13日
有効回収数:2007サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック
※表/グラフ中の数字は小数第一位または第二位を四捨五入しているため、合計しても100%にならなかったり、同じパーセンテージでも見え方が異なったりする場合があります
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