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「コンテナ燃えてます」〜まさかの海上火災〜本当にあった貿易トラブル ②

前回に引き続き、このテーマ。

前回は、如何にも海外ビジネスな内容でした。

今回は、ある意味でリアルアクシデントだったお話です。

【おかしなタイミングで電話】

私たちはヤシガラ培土(ココピート)を、海上コンテナで輸入しています。
コンテナ船が日本の港に入港する2-3日前、Arrival Notice/アライバル・ノーティス(貨物到着案内書)という書面が船会社から発行され、輸入者はそれをEメールなどで受け取ります。

以前の記事で、船便が遅れることはよくあるとお話しましたが、アライバル・ノーティスが発行されれば、数日後の入港は確実。これがいつもの流れです。

ところが、いつも通りアライバル・ノーティスを受け取って、明日入港というタイミングで、電話が入りました。電話は、そのコンテナが乗っている船会社の日本オフィスから。
通常、このタイミングで船会社から個々の輸入者へ電話が入ることはありません。この時点で、なにかあったなと嫌な予感。

【火災発生&緊急寄港】

「御社コンテナ載っている船で、火災が発生しました。明日の入港予定が延期になります」

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やっぱりアクシデントの連絡。
船会社からの連絡は、こんな内容でした。

・日本近海航行中に、コンテナ(私たちのコンテナではない)から出火
・海上にて消火活動を行うが鎮火せず
・近くの地方港に緊急寄港し消火活動
・鎮火、現場検証後に出港し、最終目的港に向かう
・私たちのコンテナは出火コンテナに近く、水と消化剤を被った可能性

後々聞いたところでは、出火したコンテナには炭製品の類(詳細は分かりません)が載っていたらしく、それが自然出火したとのこと。

うちのコンテナが無事かどうか、かなり心配。
ヤシガラ培土(ココピート)製品は必ず包装されているので、多少の水を被ることは問題ないですが、コンテナは決して密閉されているわけではありません。消化剤というのも気になるし…。

もちろん海上保険には入っていますが、中身がダメになったらお取引先に迷惑がかかります。

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【サーベイヤー登場】

心配は尽きないけど、入港を待つしかありません。

入港予定日より1週間程遅れて、船は入港。
コンテナは通常通り船から降ろされ、通関手続きに入ります。港からの連絡では、目視では大丈夫そう。それでも、中身は心配です。

ここで、船会社がSurveyor/サーベイヤーの派遣を申し出てきました。サーベイヤーとは、第三者機関の検査員のこと。
万が一、貨物が損害を受けている場合は補償問題になり、保険も絡めて解決しなければいけません。そのためにもサーベイヤーが介入し、現地で状況を確認する必要があるのです。

納品予定だったお取引先に事情を説明し、納品時にサーベイヤーが立ち会うことに。もちろん、お取引先の担当者も一緒に点検します。

【異常なし】

通関完了してすぐに、お取引先指定場所に納品。
サーベイヤーも同行しました。

荷下ろし、検品の結果、貨物に損害なし。サーベイヤー、お取引先担当者とも確認をしてくれました。

検品が終わるまではかなりドキドキしましたが、これでひと安心。

船会社の担当者も検品完了後に連絡をくれました。
私たちは事なきを得ましたが、実は今回の火災でかなり損害を受けたコンテナもあるとのこと。まだまだ解決しなければいけないことが山積らしく、今回のアクシデントの大きさが伺えました。

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今日まで、いくつもの海上コンテナで貨物を輸入していますが、船で火災という経験はこの一度だけです。
もうこんな事態に遭遇しない事を祈りますが、貨物に問題なかった事も含めて貴重な体験でした。



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