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オープンチャットを活用した防災訓練の有用性と課題について。【第50回桜島火山爆発総合防災訓練】

去る2020年1月11日(土)、鹿児島市内にて、桜島の大噴火に備えた『第50回桜島火山爆発総合防災訓練』が実施されました。

関係機関との連絡手段のひとつに、従来の主な連絡手段(電話やメール、無線)に加えて、LINEのオープンチャット機能が採用となりました。実際のところ、どれだけ活用できたのでしょうか?

災害など緊急時のオープンチャットの有用性と課題について、レポートします。

現場目線での変化についても別の記事でご紹介します。

第50回桜島火山爆発総合防災訓練について

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▲現地災害対策本部の様子

大正3年(1914年)1月12日の桜島の大正噴火から106年。
鹿児島市では、住民の火山防災の意識啓発や防災関係機関等との連携強化を図るため、毎年1月12日に大規模な噴火を想定した防災訓練を実施しています。
*今年度(2019年度)は1月11日(土)に執り行われました。

50回目の節目となった今回の総合防災訓練では、住民や行政・警察・消防など過去最多のおよそ5,000人が参加。

「火山活動が急激に高まり、噴火警戒レベルが5の『避難』まで引き上げられた」という想定で防災訓練を行いました。

【第50回桜島火山爆発総合防災訓練 概要】
■日時:
令和2年1月11日(土曜日)午前9時から午後3時まで
■実施場所:
住民避難訓練 桜島全域
避難所運営訓練及び展示訓練 鹿児島市立天保山中学校(鹿児島市下荒田2丁目31-15)
■主な参加機関:
鹿児島市、自衛隊、鹿児島海上保安部、鹿児島県警、ライフライン事業者ほか

参照:鹿児島市ホームページ

実施の背景

AI防災協議会*のつながりにより、損害保険ジャパン日本興亜株式会社から「防災意識の啓発等に関する協力協定」を結んでいる鹿児島市での災害対応に活用できる取組の打診を受け、LINE側より複数組織かつ大人数での情報共有の手立てとしてオープンチャットを提案。

鹿児島市から「発災時、災害対策本部に情報が集約される中で、多くの関係機関へ伝達を行う必要があるが、様々な状況において機関によっては全員に状況が行き届くのに時間がかかることも想定される。オープンチャットによって情報が迅速に、全員に届くことで情報格差がなくなり、同じ認識を持って状況に応じた対応を取ることができるようになることを期待」いただき、今回の防災訓練の連絡手段のひとつとして活用されることとなりました。

当初は一部機関の参加を想定していましたが、鹿児島市の尽力により住民避難訓練参加団体全て、約30団体、計190名に参加いただき、実証訓練を実施することができました。

*AI防災協議会とは:『産官学が一丸となって、AI・SNS等をはじめとする先端技術・ITインフラを活用することによって、災害に対するレジリエンスを向上させ、防災・減災にかかる課題解決を目指すことが目的(引用:AI防災協議会公式ページより)』の協議会のこと

オープンチャットの具体的な活用内容

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▲防災訓練時はタブレットをモニターとして活用

今回の防災訓練のために、オープンチャットは用途を分けて3つ作成されました。

(1) 鹿児島市の職員や鹿児島県警、消防など、総合防災訓練に参加する方々の相互連絡用として作成されたオープンチャット
(2) DMAT*や鹿児島県内の病院などが集まって作成された医療チーム用オープンチャット
(3) 鹿児島市桜島支所の防災担当職員が状況を内部で共有するために作成されたオープンチャット

*DMATとは:「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義されており、
災害派遣医療チーム Disaster Medical Assistance Team の頭文字をとって略して「DMAT(ディーマット)」と呼ばれています。(平成13年度厚生科学特別研究「日本における災害時派遣医療チーム(DMAT)の標準化に関する研究」報告書より)

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(1)総合防災訓練オープンチャット(約190人)

ここは、鹿児島市の職員や鹿児島県警、消防など、現場で救助活動に参加する方々が情報共有を行うことを目的としたオープンチャットです。

様々な防災関係機関の方が参加しているため、混乱を避けるために、以下のルールを設定していました。

・情報発信は原則、市災害対策本部経由として、発言者を限定
・現場からの返信は、要救助者の救助完了時刻のみ。「了解」などのやり取りは禁止

活用事例を一部ご紹介させていただきます。
※プライバシー保護のため、プロフィールとトーク内容の一部を加工しております。

活用1:火山活動状況の共有、市の避難情報の発令状況の共有

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活用2:交通規制情報、避難車両状況の共有

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活用3:避難できなかった人や意識不明患者の発見場所・時間・救助方法の共有

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(2)鹿児島市桜島支所の防災担当職員用オープンチャット(約30名)

ここは、鹿児島市桜島支所の防災担当職員が、防災訓練の状況を現地災害対策本部で待機しているメンバーや現地で活動しているメンバーに伝えるため、テキストや画像、動画などで共有するために作られたオープンチャットです。

活用の一部をご紹介させていただきます。
※プライバシー保護のため、プロフィールとトーク内容の一部を加工しております。

活用1:防災訓練の参加状況について共有

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活用2:防災訓練の参加者からの質問について共有

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活用3:アンケートの収集

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(3)医療チーム用オープンチャット(約40名)

ここは、鹿児島市の病院関係者やDMATの方々が随時情報を共有する場として活用されたオープンチャットです。

活用事例を一部ご紹介させていただきます。
※プライバシー保護のため、プロフィールとトーク内容の一部を加工しております。

活用1:本部(総合オープンチャット)で流れた情報の共有

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活用2:傷病者対応を行なった場合の搬送状況の共有

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活用3:本部から現場の医療チームへの指示

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実施してわかったこと

有用性で確認できたことは、

・ID交換を必須としなくともトークルームの形成ができた(今回の防災訓練は大規模な組織間の合同利用であったが、全組織がLINE IDを開示できるとも限らないため)
・独立したプロフィール(所属や肩書き)を設定できる(個人のスマートフォンを活用している場合にも、誰が何を話しているのかが一目瞭然となり、組織間の連携がスムーズになった)
・オープンチャットは1対多数で素早く情報伝達できた(電話やメールは1対1のやり取り。また、LINE公式アカウントとは違い、メンバー間での連携も可能であった)
・文章共有に加え、写真や画像を共有できた
・これまでのやり取りが180日間トークに残るため、後から参加した方でも情報を時系列順に確認できた
・情報が全て残っているため、訓練を実施した後に、振り返りをすることが可能だった
・普段SNSをご利用されない方でも、オープンチャットはLINEと同じ使い方なので、スムーズに使えた
・管理者制度があり、公開設定を「全体公開」「参加コードの入力」「参加の承認」から選べた(今回の防災訓練では管理者が承認した人しか参加できない「参加の承認」を選択した)
・承認制を選択することで、管理者が信頼する人しかオープンチャットに入ることができないように設定が可能


一方、課題として見えたことは、

・LINEを登録することさえ難しい環境や、オープンチャットを年齢認証の関係で使用できない場合、緊急時にオープンチャットを活用できないこと(公用のスマートフォンやMVNOを使用している方、LINEの年齢認証を行なっていない方)
・住民の方をトークルームに招くなど、広い範囲でオープンチャットを使う場合は、フェイクニュースやなりすましへの対策が必要

今回は有用性の確認ということなので、個人で所持しているスマートフォンを活用した方が多く存在しました。しかし、実際にオープンチャットを緊急時の情報共有の場として活用するには、少なくとも上記の問題を解決する必要があることが見えました。

まとめ:今後も積極的に活動支援を行なっていきたい

公共機関とLINEが公式にオープンチャットを活用した事例は今回がはじめてでした。

次の機会につなげる為にも、課題を発見し、より有用性を高めることに焦点を当て、防災訓練に参加させていただきました。

それにより、一部課題として見えてきたものの、緊急時のオープンチャット活用の可能性は十分に見られたと感じます。

・公用のスマートフォンを活用していてLINEをインストールしていない
・MVNOを使用している、もしくはLINEの年齢認証を行なっていない場合に「参加コードの入力」「参加の承認」を突破できない

上記の場合は、実際の災害が起きた後、オープンチャットの作成をしても、オープンチャットを活用できず情報共有を円滑に行えないことがあります。

普段の訓練から緊急時に備えてオープンチャットを作成するフローを確立しておくことで、危機管理につながるのではないでしょうか。

今後も自治体によるオープンチャットの利用につきまして、積極的に活動支援を行なっていきたいと考えています。ご利用をお考えの方がいらっしゃいましたら、下記の「LINE OpenChat自治体支援窓口」宛にご連絡ください。

<お問い合わせ窓口>
LINE OpenChat自治体支援窓口
dl_openchat_gr@linecorp.com


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