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データに基づく仮説と検証でLIMEXの開発スピードを上げる!

1社目でシリコーンゴム部品の形状設計、2社目でポリマー開発に従事し、2021年7月にTBMへジョインした服部さんにインタビューを行いました!
高校時代に化学の道を志した経緯や、これからTBMで挑戦したいことなどについてお話しいただきました。
※所属や業務内容は、インタビュー当時(2022年11月)のものです。


素材メーカー2社を経て入社。やったことないからこそワクワクする


──早速ですが、現在の担当業務を教えていただけますか?

現在は、主に押出成形の新しいLIMEX製品を開発しています。前職の三井化学ではポリマー(高分子化合物)の種類やポリマーを評価するときにどんな分析方法があるのかなどの知見を蓄えたので、加工しているときに、コンパウンドの流動性や弾性率などを変えるためにどういったポリマーが適しているのかや、ポリマーの流動性、融点、弾性率といったパラメーター(変数)の何を変えたら作りやすくなるのかを考える際に、分析担当として入ることが多いです。成形加工時の挙動とポリマーのパラメーターをつなげて、誰が見ても分かるように数値化するところをお手伝いしています。

──いきなり難しそうな話ですが、ご専門は化学なんですね。

大学は有機合成や重合が専門で、原料を作る側の研究を主にやっていました。そのつながりで1社目はシリコーンゴムを部品として扱うメーカーに入社し、主に射出成形、コンプレッション成形、ゴム混練機などを使いいろいろな製品加工をする経験を積みました。シリコーンゴム製の部品というと、身近なところではガラケーの防水用パッキンですね。その形状設計について、配合や金型の構造をどうするかなどを計算したりシミュレーションしたりするんです。

その後、「もっと上流を経験したい」という思いから三井化学に勤めました。ここでは、複数のモノマーを重合させて新しいポリマーを作ったりとか、主にポリマー開発を行っていました。そうやって自分で開発したポリマーをお客さんに提案するんです。1社目では成形加工の経験を積み、三井化学ではポリマーの知見を豊富に蓄えることができました。

──そもそも化学の道に進もうと思ったきっかけはなんですか?

高校の時に化学の勉強が面白いと思ったからです。暗記科目が苦手だったこともあるんですけど、ものごとの構造をちゃんと理解すれば結果が返ってくるところが面白いなと思いました。

それは今でも変わっていなくて、例えば人の目では見えない押出機の内部で何が起きているのかを想像したり、その想像した仮説が正しいのか検証するのが楽しいです。その仮説が正しくなかったとしても、さらに次の仮説を考えることに大きなやりがいを感じます。そうしたデータに基づいた仮説と検証の過程から新しいLIMEXのアイデアが生まれるので、今まで培ってきた知見や経験が大きく生きていると思います。

──データを武器にして開発に向き合っているんですね。特にLIMEXは新しい素材ですから、仮説と検証の過程が大事そうですね。

LIMEXに関する知見やデータは、社外はもちろん、社内にも十分に揃っているわけではないので、何か新しいものを作るときにはゼロから情報を集めないといけないところが大変です。ただ、やったことがないから悩むのではなくて、やったことないからこそワクワクしながら働いています。新しいものを作るにもアイデアを数十個出して、その中から1、2個当たればいいかなという感じでやっています。

──そんなにたくさんアイデアを考えるんですね!服部さんが普段アイデアを考える際に大切にしていることはありますか?

現状把握をしっかりすることです。例えば、なんでこの配合なのかとか、なんでこの原料を使っているのかなどの現状を把握して、そこにこれまで培った知見を加えて新しいアイデアを考えることが多いです。そうすると、考えを進めた先で他の人が持っているアイデアも加えることができますし。

多種多様な経験者で構成されるテクノロジーセンターの強み


──「研究職は人材流動性が他の職種と比較して高くない」と聞いたことがあります。ほぼ全員が他の企業から転職してきたテクノロジーセンターで働く魅力や強みはどのようなところだと思いますか?

同じ経験をしている人がほとんどいないところだと思います。大企業の研究部門だと、最初同じような研修を受けて、そんなに変わらない研究テーマを持たされるので、大体みんな似たような知見を持っていることがあるんですけど、TBMではそういうことはまずありません。メンバーが多種多様な経験を持っているのが強みだと思います。新しい知見を持った人がどんどん入ってくるので、常に刺激を感じながら働いています。

例えばセンター長の髙松さんの前職は3Mですが、つい先週、あるポリマーの組成(モノマーがどのような比率で重合されているか)がどうなっているのかを考えていた時、髙松さんが頭の中で計算して組成を導き出したんです。「そんなことができるんだ」とびっくりしましたね。3Mのやり方というより、髙松さんがすごいんだと思いますが(笑)。

素材に関するデータ環境を構築し、開発スピードを飛躍的に上げたい!


──最後に、服部さんがこれからTBMでやりたいことを教えてください。

前職では私の所属していた部署が日本ゴム協会に加盟していて、協会内で数年に1回ペースで本を出していました。その執筆過程で他企業の方とコミュニケーションを取ったり、様々な調査を行い、ゴムの環境負荷の大きさを知りました。そこから環境問題を意識するようになりました。そんな中でTBMに出会って、数十年後には多くの国で自由に水を使えなくなることを知った時に、孫の世代にちゃんと今の地球を残してあげたいと思って入社した経緯があります。

なので個人的には、ゴムの代替になるような素材の開発には興味があります。LIMEXの“X”にはもともと「無限の可能性」という意味が込められているので、特定の領域に縛られることなく様々な用途にLIMEXを広げていきたいです。

──新領域の開発はまさにテクノロジーセンターの真骨頂ですね。

それと、そのためにもデータを活用した開発をしていきたいと考えています。今後、製品群が増え、メンバーも増える中で、みんながポリマーの知見を扱えるようにしていきたいんです。現在はその仕組みがありませんが、材料のデータベースがある程度貯まると、機械学習やAIを使って、目標としている物性のための配合が分かるようになります。そうなると現在テクノロジーセンターのメンバーが何週間もかけて行っている実験をグッと短縮することができ、私たちが目指す「サステナビリティ革命」の実現にさらに近づくことができると考えています。

また、後々は営業のメンバーも使えるようなツールにできれば、営業のメンバーがその場で検索して素材の配合提案ができるようになります。そうなると営業の提案から製品化までのサイクルが早くなって、売上にも貢献できると思います。

──データに基づく仮説と検証を大事にされている服部さんらしいお話でした。高校生の頃に出会った化学の面白さを、これからも追求していってください。ありがとうございました!

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