ドラマのファッションスタイリストの面白さ

ドラマにおけるファッションコーディネートとスタイリングの醍醐味。ドラマのスタイリストをやる上での醍醐味はそれぞれの役のキャラクターを具現化していくことにあります。もちろん私の場合は服で。 

それぞれの役の設定とキャラクターに合うもの。(そして着る人(役者)に似合うもの。)これらを通してそれぞれの役の具現化をしていくことがドラマにおけるファッションスタイリストの面白さの一つです。
もちろん、その他にも考えることはたくさんありますが、今回は『役の具現化』に対しての醍醐味を整理していく。

ドラマにはそれぞれの役がありその役のキーワードを探していきます。
その役の個性や性格、生き方、パーソナリティなど、その役の根幹部分、というと少し大げさかもしれませんが、キャラクターの設定です。その役の人間性を表現、伝えるために服を乗せていきます。
暖色系なのか、寒色系なのか、運動神経がいいのか、社交的なのか、内向的なのか、大胆なのか、慎重なのか、フランクなのか、真面目なのか、などなどその役のキャラクターに対して色々なことを考え、どんな服が似合うのか、どんな服だと役者さんが演じるその役のキャラクターが伝わる、出るのかを考えます。
そして着用する服はドラマのシーンや場面と合わせて決めていく。

これに加えてどう着こなすか、も重要な役割を果たします。同じ服でも役のキャラクターによって着こなしを変えます。
例えば白のニットセーター(ここではどんなセーターなのかの詳細と場面は一旦おいておく)でも活発なキャラクターの役の場合は、袖を少しまくります。それによって活発な感じの動きや姿勢が伝わるように意識しています。反対に読書が好きでやや内向的な役の場合は、袖を手の甲あたりまで伸ばして少し隠れるようにします。
こうした着こなしによって、役のキャラクターの違いを意識しています。

同じシャツでもシーンによって変える着こなし
わかりやすい例として、白いシャツを着てる場合(ここでもシャツの詳細はいったんおいておく)。
出勤時は第一ボタンのみを開けて、仕事をする、つまり普通の着こなしにする。ただ反対に、気になる男性といい感じの段階まできているが、まだ付き合う前といった状況でその男性とディナーに行く際は第二ボタンまで外す。というような着こなしでその役の心理描写を意識しています。

男の人に会う際に警戒心が強いというイメージの場合は、反対にボタンを上まで全て留めることで表現するように意識しています。
もちろん真面目な性格の役の場合でも、ボタンをきっちり上まで留めている。

役とシーンに合わせて服を選び、どう着こなすかが本当に奥深いです。
服と着こなしを通してその役が形成されていくこの感覚はいつも楽しいです。

この二つがドラマのスタイリストにおける最初の大きなポイントになります。

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