【人種差別と戦う正義】 ブルックリン99のエピソード: 「モーモー」がすごい
こんばんは。ゆりこふです。最近寒すぎですね。
最近寒すぎるので家にこもって Brooklyn Nine-Nine を Netflix で見てるんですけど、
シーズン4 エピソード16 「モーモー」が、(タイトルに似合わず)
超深読みできる優良エピソードだった。。
以下、見どころと考察書いてきます。
衝撃のあらすじ
主人公の刑事ジェイク・ペラルタは、刑事のリーダーのテリーの娘たち二人をベビーシットすることになるが、
テリーの娘がお気に入りのブランケットを落としてしまう。
その日の夜、テリーがブランケットを探していると、
そこで見回りをしていた別分署の刑事に「黒人が夜一人で歩いているのは怪しい」ことから職質され、
刑事であることを伝えたにも関わらず、犯罪に関わっている疑いをかけられてしまう。
次の日テリーはその刑事に会いに行き、「人を見た目で判断してはいけない」と伝えに行くが、、、
刑事モノのドラマでありながら、完全に人種差別をテーマとして扱ったエピソードです。
正義のぶつかり合い
ストーリーの起承転結もさることながら、
私はテリーがこのことを警察庁の上層部に申し立てをするレポートを、
同じく黒人である上司のホルト署長に出すようお願いし、まさかの拒否されるシーンが印象的でした。
そのシーンでは、二人の「正義」が格闘していた。
ホルト署長 (写真右) は、ゲイであり黒人というマイノリティであるため、たくさんの差別と戦ってきているという設定だ。
しかし、差別と戦ってきたゆえに、差別を受けた者が申し立てををすることがどれだけ自分のキャリアをひっぱることかを知っている。
ホルト署長は府に落ちていないテリーに、
「今は差別に耐え忍び、より出世したとき、より大きな力を持ったときにより大きんなコミュニティを変えるチャンスがくる。申し立てをしたら、そのチャンスはなくなっていく。」
と考え、告発書を提出しなかったのだと伝える。
テリーの答え
しかし、テリーはホルト署長の考えを受け入れられない。
なぜなら、大きな変化を待っている間にも、差別され、傷ついているひとがいるから、
そして、その差別を、いつか彼の愛する娘たちが受けることになるかもしれないから。
“How long is it gonna take to make that kind of changes?...
When I got stopped the other day, I wasn’t a cop. I was a guy who lived in the neighborhood, looking for his daughter’s toy. I was a black man. A dangerous, black man. That’s all he could see - a threat.
And I couldn’t stop thinking about my daughters. And their future. And how years from now, they could be walking down the street, looking for their kid’s moo-moo, and get stopped by a bad cop. And they probably wont be able to play their police card to get out of trouble. I don’t like that thought. And I am gonna do something about it.”
「そんなふうに(社会を)変えられるようになるまでに、どれくらいかかるんだ?…
先日あの刑事から止められたとき、俺は刑事じゃなかった。俺は黒人の男だった。危険な黒人の男。そいつには俺は脅威としか映っていなかった。
俺は娘たちのことを考えずにはいられなかった。彼女たちの未来を。彼女たちがいつか自分の子供のおもちゃを探して夜道を歩いているとき、悪い警官から職質される日のことを。きっと、弁明するための警官バッジも持ってないだろう。そんなのは耐えられない。だから今俺ができることをやるんだ。」
ホルト署長の変化
そして、次の日、テリーの考えを聞いたホルト署長は、テリーにこう伝えます。
「私が若く自分の分署を持つ前には、差別をたくさん受けた。でも守ってくれる上司なんていなかった。先日君にあげたアドバイスは、違う時代の、違う場所からのアドバイスだった。二度とそんなことが起きないよう、自分が上の立場にいく必要があった。
でも今は違う。そして今君の主張を支えないのは、自分が戦ってきたもの全てを裏切ることになることに気づいたんだ。」
そして、ホルト署長は申し立てを上層部に提出したのです。
理想論 vs 現実論?何がただしい?
そして、その申し立てをした直後、テリーは出世コースであった役職を受けていたにも関わらず、不審な理由から候補から脱落させられてしまいます。
でもテリーとホルト署長は「正しいことをした」と微笑みます。「申立てされた刑事は差別をする前に一度考えるようになるだろう」と言い、杯を交わしながら。
これが、このエピソードが恐ろしく現実的であり、かつ救いの部分だなあと思います。
日常で、私たちは何が自分にとっての正義か?を選び取る必要に迫られています。
例えば、自分が「女性だから」という理由でプロジェクトメンバーに選ばれなかった。でも、選ばれなかったことを上司に訴えるより、より地道に頑張って実績を上げ、自分が選ぶ立場になったときに性別でプロジェクトの参加を決めてはいけないというルールを作る。
これも、一つの正義だと思います。自分が上の立場に行くことで、いわゆる Glass ceiling を破ることができる。
でも、、
もし隣の部署で同じ目に合っている女性がいたら?もし自分がここで声を上げたら、リアルタイムでほかの誰かを救うことができるかもしれない。
私は、この問いに正解は無いと思います。
だから、ブルックリン99のこのエピソードを作った人も、「どっちが良かったのか」がわからない構成で作ったのかもしれませんね。
日本ではこんなこと起きない。。。?
見た目による差別がいかに人を傷つけるか、そもそもの部分がこのエピソードから読み取れますよね。
このエピソード内でも、分署のメンバーが元気のないテリーを見て「差別を受けたの?」と心配するシーンがあり、
こういった差別が特異的なものではなく、残念ながら日常茶飯事に起きていることが描かれています。
でも、これは決してドラマの中だけの話ではなく、はたまたアメリカだけでおきている問題でもないんです。
日本でも見た目による執拗な職質が社会問題になりましたよね。
このエピソードのストーリーは、決して日本に住む人間にとって他人事ではないと思います。
一人でも傷つくひとが減るように、、ぜひこのエピソードだけでも、世の中にもっと広まったら嬉しいです。
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