アイドルの在り方と疑似恋愛

高木紗友希が、ハロプロ・Juice=Juiceの活動休止を発表した。

素晴らしい歌唱力を持ち、ハロプロに貢献してきた紗友希を擁護する意見で、SNSは盛り上がった。恋愛していてもいいじゃないか。Juice=Juiceに残ってくれ。歌を聞かせてくれ。
しかし熱愛報道の翌日、紗友希とアップフロントは、活動休止を発表したのである。

私には、アイドルに疑似恋愛性を求める感覚はない(否定ではない)。
ただし多くのアイドルが男女共に恋愛禁止のルールを課せられているのは、アイドル業界が疑似恋愛をビジネスの対象としているからであることも理解はしている。例えば稲場愛香に熱愛報道があったら(彼女のプロ意識への信用以外の意味でも)ショックを受ける人が多いのではないだろうか。

それでは、アイドルは須く疑似恋愛の対象でなければならないのであろうか。

私にとっても、紗友希の活動休止は非常にショッキングな出来事であった。もし彼女と事務所との契約内容に恋愛禁止の項目があったのであれば、契約反故であるとして活動休止は仕方がないことであると思う。

しかし、デビュー当時の紗友希は15歳。そんな契約内容、実感を持って検討することができただろうか。アイドルを志したときに、このビジネス形態をどこまで理解していたのだろうか。

アップフロントはメンバーを大事にしている素晴らしい事務所である。事務所を悪く言うつもりはない。多くのハロプロメンバーを育てて、売っていくために、この業界で生き残るために、事務所がこのような決断をしなければならなかったことは理解できる。

そうであるならば、業界自体が変わらなければ、第二第三の紗友希が出てきてしまうのではないか。「疑似恋愛を売りにしないアイドルもいる」業界で、本人がそちらを選択すれば、違う道もあったのではないか。

何度も言うが、疑似恋愛を否定しているわけではない。そのような売り方で生き残ることも一つの手だと思う。選択できればよいのではないか、と言っているだけである。純粋にパフォーマンスを磨いて前進しようとする彼女たちを応援したいのである。

近年ハロプロでは、女性ファンが増えているという。私自身もその1人である。これは、疑似恋愛を対象としない層も確保できている証拠ではないだろうか。

歌って踊って、努力して成長して、私たちに輝きを見せてくれるアイドルたち。いちヲタクとして、彼女たちがただ楽しく過ごしてほしい。努力が無意味とは思ってほしくない。ハロメンの笑顔で、ヲタクは幸せになれるのだ。そのためにも、アイドルの選択肢が増えてほしいと強く思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?