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アラサー陰キャ社畜、ウマ娘にハマる

『ウマ娘 プリティーダービー』にハマった。

世間的に話題だなと思っていたら、いつの間にか同居人がドハマりしていて、その熱の入れ込み具合たるや尋常じゃないレベルで、まぁとりあえずアニメ一期でも観てみるかと軽い気持ちで足を踏み入れてみた。

元々僕は競馬というコンテンツにほとんど興味がない人間で、ディープインパクトやオグリキャップなど、有名どころの名前程度しか知らない「超にわか」の人間だった。そんな僕が今では立派なウマ娘のトレーナーをやっている。アニメ一期を観終わり、今は続きの二期を観ている途中だ。ゲームも結構やり込んでおり、お気に入りのウマ娘は一通り育てているくらいで、マヤノトップガンやナイスネイチャが特にお気に入りのウマ娘だったりする。そのあたりはまぁ、とりあえず置いておいて。

そんな競馬にわかを沼に沈めるに至った『ウマ娘』とは一体どういったコンテンツなのか。

『ウマ娘 プリティーダービー』とは

スペシャルウィークにサイレンススズカ、トウカイテイオーにメジロマックイーン……有名競走馬の名と魂を継いだ「ウマ娘」たちが「トレセン学園」と呼ばれる寄宿学校での生活を通じ、レースに向け仲間として、何よりライバルとして高みを目指し切磋琢磨し合う……というストーリーが、ゲームやアニメにて展開されていく。

アニメは既にシーズン2まで放映済み。その後ソーシャルゲームとしてリリースされ、現在ではコミカライズなどマルチメディア展開がされている。

一見、FGOや艦これのような「擬人化娘系」作品と思いきや、実際はスポ根ドラマ的な要素が強く、ウマ娘たちがレースに向け必死の努力をするうちに、挫折や失敗を経験し、涙や悔しさを呑んでさらなる高みへと這い上がっていき勝利を目指すという、可愛らしい第一印象からは考えられないほどに泥臭い青春ドラマ的な展開に、気が付かないうちに惹きつけられている自分がいた。

ウマの尻尾とウマ耳を生やし、綺麗な勝負服を着たかわいい女の子たちが、いざレース場に立つと形相は一変。持てる全ての力を賭して、頂点を目指し全速力で競り合い、ゴールに向けひた走るのだ。その姿たるや、まさに競走馬の魂をそのまま女の子の肉体にインストールしたかの如し凛々しさで、レースを観ているだけでも本当の競走馬が疾走している様に錯覚してしまうほどだ。

さらに、現実世界の競走馬の魂を継ぎ生まれた「ウマ娘」ひとりひとりには、実際の名馬に基づいたエピソードが存在する。キャラクターデザインから衣装、仕草や台詞など、競馬を知らずともストーリー単体でも楽しめるのはもちろんだが、競走馬にまつわる小ネタや実際に起きたレース展開を下敷きにキャラクター設定や物語の展開が構成されているため、競馬好きにはニヤリとさせられる展開が作品のそこかしこに埋め込まれている。その逆も然りで、ウマ娘を知ることで「あのキャラのあのシーンってそういうことだったんだ!」と実際の競馬に興味がもてるようなつくりになっている。

アニメ一期はスペシャルウィークとサイレンススズカ、二期ではトウカイテイオーとメジロマックイーンに焦点を当てた物語が綴られており、競馬を全く知らず、ゲームにも触れた事のない自分でも十分楽しむことが出来た。

特にアニメ一期に登場するサイレンススズカに関するエピソードには、競馬に全く興味の無かった自分でも惹きつけられた。

サイレンススズカは「異次元の逃亡者」と異名が付けられるほど、誰の追随も許さないほどのスピードでゴールまで逃げ切るという「大逃げ」の戦法をとる事で無敗神話を築き上げた、まさに最強の名に相応しい競走馬だった。

しかし、6連覇を狙う天皇賞。サイレンススズカはレース中に骨折し、回復の見込みなしと診断され、安楽死という悲劇の結末を迎えてしまう。

後に「沈黙の日曜日」と呼ばれたこの出来事が、アニメ版ウマ娘一期のエピソードでも語られる。後続に圧倒的な差を付け先頭を走るサイレンススズカ。しかしどこか様子がおかしい……往年の競馬ファンなら目を背けたくなる展開。足がもつれバランスを崩したさなか、観客席から駆けつけたスペシャルウィークにすんでのところで救われ、転倒を免れる。サイレンススズカは骨折こそしてしまうものの、なんとか一命は取り留めたのだ。

そしてルームメイトであり大切な仲間であるスペシャルウィークやトレーナーたちの献身的な応援により、サイレンススズカは奇跡の復活を遂げる。

「もし、サイレンススズカが生きていたら?」

実際の歴史ではありえなかった、誰も観たことがないサイレンススズカの未来。ウマ娘では競馬ファンが夢見た「イフ」の可能性が、ウマ娘ならではのストーリーで展開される。その密度たるや、競馬のケの字も知らなかった僕でさえものめり込んでしまうほどの熱さがあった。

キミだけの最強のウマ娘を育成しよう!

アニメに負けず、ゲーム自体の育成も相当奥が深い。ウマ娘の特性を把握し、サポートカードで育成方針を決め、繰り返し練習する。自分の狙った育成方針で出走させたウマ娘がレースに勝利したときには、思わず「よしっ」とガッツポーズすらしてしまうくらいだ。

そして勝者には栄誉と、そしてステージに上がる権利が与えられる。

実際の競馬では、レースに勝利した競走馬がレース場を回るという「ウイニングラン」を行うが、ウマ娘はウイニングランならぬ「ウイニングライブ」を開催し、勝利したウマ娘たちがステージ場で歌って踊る。

同じくCygames制作の『アイドルマスターシンデレラガールズ』よろしく、3Dモデルで表情豊かに歌い踊るウマ娘たちの姿を見て、はじめこそ「なんだこれ……」と空いた口が塞がらなかった。

しかし実際にゲームにて手塩にかけ育成したウマ娘たちが壇上で踊っているのを見ていると、なぜか胸のうちに込み上げてくる熱いものがある。いわゆる「電波ソング」と称される『うまぴょい伝説』がなぜこうも感動的に聞こえてくるのか、それはウマ娘を最後まで育成完了したトレーナーにしか分からない、はじめて見えてくる真の境地なのだ。

そして育てた娘に宿った「因子」を次なるウマ娘に継承することで、さらなる強いウマ娘を育成することができるのもおもしろい。競馬といえば「ブラッドスポーツ」と呼ばれるほど、競走馬の血統が重視される競技なので、実際の競馬の要素をゲームのやりこみ要素に上手くつなげているあたりにニヤりとさせられる。自分の育てたウマ娘の因子をフレンドに使ってもらったり、友達のウマ娘の因子を借りて自分のウマ娘を強くしたりもできるので、将来的なやりこみ要素は無限大だ。

昭和、平成、令和コンテンツの複合体。それがウマ娘

スポ根青春学園ドラマ、競馬ブーム、そしてアイドル。昭和から90年代、ゼロ年代、そして令和に駆け抜けたコンテンツの複合体が『ウマ娘』というコンテンツだ。

大変失礼ながら、僕は今の今まで「競馬はおっさんの趣味」と思っており、人生の中でまったく触れる機会がなかった。しかし、ウマ娘というコンテンツを通じ、レースや競走馬にまつわるエピソードや史実を知るうちに、実際の競馬や競走馬にものすごく興味が出てきた。

多くの人が夢中になり、時に歓喜し時に涙するほど熱くなるコンテンツが、自分の直ぐ側にあっただなんて! 自分の視野の狭さに恥ずかしくなると共に、これからの人生に新たな楽しみが加わったことによるワクワク感が、今の胸の中に溢れている。

ありがとう、すべてのウマ娘たち。

この文章を読んでくれて、少しでもウマ娘というコンテンツに興味を持ってくれた人たちへ。まずは試しにアニメを観てみて、良ければゲームにも触ってみてほしい。ウマ娘は、令和という新時代に生まれたパワーあるコンテンツの先駆けであることは間違いない。そんな作品にリアルタイムで触れられるというだけで、きっと損はしないと思う。

うまぴょい!うまぴょい!

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