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五輪チケット、7セッション108万円当たったんですけど⁉︎

33万4658円、足りない。何度計算しても足りない。

クレジットカード一括払いで必要な支払額は108万円。現在、わたしのカードの利用上限額は74万5342円。このままではわたしと「東京都」の間に勃発した「仁義なき戦い」 にわたしは屈しなければならない…。

小さい頃から、くじ運だけは悪かった。小学校の遠足では、バスの座席を決めるくじ引きで大嫌いな男の子の隣になった。大学の語学のクラス分けではノートを借りられるヤツが一人もいない使えないクラスに振り分けられた。生来の怠惰と相まって危うく留年するところだった。無作為に選ばれる行為には、わたし、良い思い出が一つもない。自然と、くじよりじゃんけん派になり、宝くじより競馬を好むようになった。

だから、東京五輪のチケットに申し込んだところで、当たるわけがないと思っていた。天と地がひっくり返っても、これまでの人生のハズしっぷりから当たるわけがないと思っていたのだ。スケベ心で、いちおうそれなりに考えて種目や価格を選びはしたが、そんな人はごまんといる。10種目にペアで、合計20枚のチケットを申し込んだ。全部当たると131万9344円になる計算だったが、当たったところで行きたい種目だけいけばいいしね、なんて軽く考えていた。

正直、スポーツにはほとんど興味がない。ミーハーなだけだ。最近まで野球のルールもわからなかった。いや、いまもわかっているとは言いがたい。初めて野球を見に行って、というよりビールを飲みに行って、「ああ、バッターは打ったら右側に走るのね」とようやく「一塁」というものを認識した。

そんな調子だから2019年6月20日の抽選結果発表当日まで、五輪のチケットに応募したこともなかば忘れていたのである。しかし、ぼやーっとツイッターを見ていたら、タイムラインに「五輪サイトに入るのに1時間待ち」なんてツイートが流れてきたので、あ、そうか、今日でしたね、ってさすがに思い出した。ご苦労さまなことですよねって、それでも正直ほとんど他人事ごとだったんだけど、「おおおおおーーー、全部はずれた」だとか「1枚当たった! 奇跡‼︎‼︎」なんて、次々と流れてくるものだから、根っからのミーハー精神も手伝って、「全部ハズレたとつぶやくために、わたしもそろそろチェックするかな」と重い腰を上げた。

ブラウザを立ち上げ、サイト入場まで待つこと2時間。

驚きの結果が目に飛び込んできた。10種目中7種目14枚当選。打率7割。高すぎである。

詳細を見ていると、10万円のチケットが6枚当たっているほか、軒並み5万円以上の券が当選している。陸上競技9日目から15日目まで、まさかの連日7DAYSイン国立競技場ではないか。最高値ランクの席から一つ格落ちの価格帯の席が手薄ではと踏んで、集中的に狙った。とはいえ、こんなに当たっていいのかな。

人間とはイヤなものである。ミーハー心だけで応募したものの、当たるやいなや、とたんに五輪に行きたくなった。 

行きたい、行きたい、行きたい。10万の席とは言わない。5万円の席だってあるんだから、これに行こう。これなら払える。これだけ行こう。

そう決めて、チケットの購入方法を見てみた。

当選の場合、2019年7月2日(火曜)23時59分までに、購入手続をお済ませください。購入手続期間を過ぎた場合、当選したチケットを購入する権利は、すべて無効となりますのでご注意ください。当選したチケットは、すべてを一括で購入手続をしていただくことになります。購入手続完了後に全部または一部の購入をキャンセルすることはできません。

えッ? どういうこと? 

読み直してみたが、何度読んでも、7月2日までに当たったチケットを全部買い取るか、すべての権利を放棄するか、おまえに残された道はこの二択だとしか読めなかった。こわすぎるよ、東京都。ヤクザさながらの迫りっぷりだ。

つまり、わたしは、東京都に7種目計108万円をいちどに振り込むか、会場でなくかぎりなくさいたま市寄りの東京にある自宅の27型液晶テレビで五輪を観戦するかの究極の選択を迫られているわけだ。しかも、卓上カレンダーに目をやると、購入期限まで2週間ないし…。ふざけやがって東京都! と怒り狂ってもどうしようもないわけだが、あまりにもひどい二択だ。

向こうがヤクザならこっちも受けて立ってやるしかないではないか。最初はたいして行きたくもなかったわけだが、ここまでくると、負けるわけにはいかない。40女の怒りの導火線に火がついた。「アホさらせ! 全部買ったるわ!」という心境にいたるには時間を要さなかった。

そこで思ったのだ。これを仕事にしちゃえばいいのかも。周りを見れば、みんなが当たらない、当たらないと嘆いている五輪チケット。それに、なぜか7割の確率で当選したわたし。スポーツには興味がない。でも、ちょっと行きたい、なんて思ったら、いきなり100万円払えなのである。わたしは本をつくる仕事をしている。困った、困った、言いながらも、わたし、ちょっとおいしくない? 公私混同なんてくそ食らえ、使えるモノは親でも使え! 

しかし、そこに思わぬ壁が立ち塞がった。東京都はヤクザはヤクザでも三下のヤクザではなかったのだ。五輪チケットの支払い手段を見ていたらこうあった。

※ チケット代金の支払はVisa決済、または現金決済(コンビニエンスストア)が選べます。
※現金決済のご利用は30万円未満(税込)となります。支払金額が30万円以上の場合はVisa決済のみの選択となります。
※手数料は今後変更になる可能性があります。

くり返しになるが私が五輪に行くための支払総額は108万円だ。って、ことはコンビニ払いが無理らしいので、カード払いの一択である。しかも、JCBやマスターは使えない。VISAのみだ。

じわじわと選択肢がしぼられ、敵対する暴力団の組長を狙撃するヒットマンに仕立てられた気分である。そもそも、100万円以上をカードで一括って、ホストクラブの常連かよ。申し込んだおまえが悪いとでも言うのだろうか。東京都、おまえまで自己責任論かよ。

というわけで、さっそく、調べてみたら、わたしのVISAのご利用上限額は74万5342円。

ぐおーーーーー‼ 

チケットを手に入れなければ仕事にならない。どーしてくれるのさ。

<次回予告:さて、わたしは108万を払ってしまうのか?>

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楽しいことを仕事にしたい書籍編集者です。

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