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可視化される熱量#004:フォトグラファーが解決する社会課題_01

「”手伝う”という言葉はタブーとします。」


説明会の終了前に彼はこう言いました。

 

「HAPPY MOTHER PHOTO PROJECTでは"手伝う"という言葉はタブーとします。」

 

会場は、西新宿のカフェ兼貸し会議室、プレゼンターと私を含めて8名が着席しても余裕のある広さでした。説明会に参加していたメンバーは全員何かしら"カメラ"に関わる人々。そして、世代は大学生から社会人までの6名。現地以外にもオンラインで参加している人々も何名かいました。オンライン参加者の反応はわかりませんでしたが、会場の参加者は各々静かに彼の言葉に耳を傾け、頷いていました。

 

説明会とは、2019年9月に約1週間ほどルワンダで開催される”RWANDA HAPPY MOTHER PHOTO PROJECT”の参加希望者に対してのプロジェクト内容の事前説明会のこと。

 

そして、彼とはフォトグラファーでありコンサルタントであり、そして株式会社OSOTO代表取締役副社長の香川智彦さんのことです。

 

Pic.1 左が香川智彦さん、右は渡部由佳さん(株式会社OSOTO代表取締役社長)出典:OSOTOfacebookページより

 

「香川智彦というフォトグラファー」

  

私、実は香川さんと"RWANDA HAPPY MOTHER PHOTO PROJECT"の説明会以外ではまだ5時間ほどしか会っていません。

 

かねてからの知人である”渡部さん”が「我が子に伝えたい自然体験」を”写真”と”教育”、そして”遊び”を通じて提供する株式会社OSOTOを2018年7月に設立しました。その事業内容で相談を受けた時に意気投合して、会食の場にて起業のパートナーとして紹介してもらったのが香川さんでした。

 

香川さんは、京都大学を卒業後、不動産とコンサルティングファームの企業などで従事し、人から言わすといわゆる"エリート"として順風満帆の人生を歩んでいるように思われました。


そこで私は、「なぜ、フォトグラファーに?」との疑問がとても湧いてきたのでした。


人の人生は十人十色、A面的にしか分からない部分も、話を聞くとやはり独特のB面のドラマがありました。彼の場合はすでに独立しているので、あまりA面もB面も関係ないように思いますが、やはり組織に雇用されている人が多く、"公私"という言葉がある日本では、彼がフォトグラファーを生業にした決めた側面はやはり"B面"という言葉が適しているように思います。


あまり個人的のことなので詳しくは書きませんが、契機になったことは"病"だったそうです。学生時代にアマチュアボクシング部に所属し、京都市内だけでなく琵琶湖など周辺地域にまでバイクなどで趣味の写真を撮りに出かけていた香川さんはその爽やかなルックスに反してまさに体育会系。


そんな彼が、病を患い歩けなくなった時、まさに人生の全てを失ったと言っても過言でないぐらいに、生きる目的を失ったそうです。


体育会系の彼らしく、勢力的にリハビリを行いたいと思っていても医師からは、「運動はやめてください、そして元には戻りませんよ危険です。」とも言われてしまったようです。


それでも、彼は諦めずにリハビリや治療を受け、今では登山を楽しむまでに復活しました。


「なぜ写真なのか?そして社会課題と何が繋がるのか?」


病を患った時に、香川さんは仕事について、生きることについてとても考えたそうです。


その時に、体の芯からの体育会系の彼が体が動かせなくなるかもしれないと考えた時、学生時代からの趣味であった”写真”が自分の人生のそばに常に存在していたことを強く意識したそうです。


”写真”を通じて、人に幸せになって欲しい、そして自分が人を幸せにしたいという気持ちが強くなり、最終的に独立を決意することになりました。


人生の楽しい時や幸せな時を写し、表現し、提供する仕事を行う中で、現在のパートナーとなる渡部さんとともに起業し、”自然”というフィールド全部が”写真スタジオ”になればもっと楽しい。起業し、事業への夢は広がります。


そんな、彼が起業した株式会社OSOTOの事業の一つである”自然体験教育”には社会課題が散在します。"教育"に対してもそうですし、その教育のフィールドとして使用する自然(山や森林など)にも。


事業を通じた”社会課題へのチャレンジ”の中で、彼の”写真”という事業で、「”社会課題”を”写真”を通じて解決できないか?」という想いが強くなっていったのは自然のように感じます。


「次の日にイベントがあるので、18時からの開始でもいいですか?」、だった会食も気づけば23時、約5時間色々な話を香川さんとはしたのでした。そんな西新宿の5時間の夜。


「ルワンダ、悲劇からの奇跡」


香川さんは、ルワンダで日本レストラン”KISEKI”を営む山田美緒さんと出会うことで、"社会課題"と”写真”が結びついたようでした。ルワンダと山田美緒さんのことだけでも何本もコラムが書けそうなので、次回以降にしますが、彼は”Why RWANDA ?”なのでしょう。


そのリアルな説明を、つい先日ルワンダから帰国した大学生のとっしーさんがオンラインで語ってくれました。


「なぜルワンダか?それは人々の幸せの感じ方に驚きを感じたからです。彼らは今のルワンダでの生活の中でも幸せを感じている。」


あの”アフリカの悲劇”とも言われた、1994年のフツ族系政府とフツ族過激派による、ツチ族とフツ族穏健派への虐殺で有名なルワンダ。僕の中では、”Hotel Rwanda”で観た知識しかなく、”アフリカの奇跡”や”山田美緒さん”のことも知りませんでした。


香川さんは、”写真”の力で”ルワンダの社会課題解決”へ挑戦することを決めたのでした。そこには、日本の中で活動してる”フォトグラファーたち”の課題をも解決したいという、彼らしい欲張りな挑戦です。


Pic.2 ルワンダの少年とアート


「RWANDA HAPPY MOTHER PHOTO PROJECT 2019」


香川さんの株式会社OSOTOでは、”Native Edutainment”を事業の中核としています。そこには、”原体験を感じてもらいたい”という想いがあります。


ルワンダには、途上問題、貧困、教育など様々な課題があります、そこで”RWANDA HAPPY MOTHER PHOTO PROJECT 2019”では、”社会課題”と"写真コンテンツ"、”テーマ別コミュニティ”がぶつかった時にどんなことを起こせるのか?を”自分たちで課題を見つけ、解決する旅の機会”を提供します。


しかし、提供するのは"機会"であり、決して”サービス”ではない。だから、このプロジェクトでは


「手伝いますはタブー」


なのだと思う。この機会を”自分ごと化”しない人には不向きということか。


僕も、ルワンダでのこのプロジェクトに興味が湧いてきました。


Pic3. RUWANDA HAPPY MOTHER PHOTO PROJECT (HP)


Pic4. RUWANDAHAPPY MOTHER PHOTO PROJECT(youtube)


Pic5. プロジェクト説明会申し込み(Peatix)

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