【演劇】東京ノート

平田オリザによる戯曲「東京ノート」を拝見した。戯曲を見るのが初めてであり、戯曲とはこういうものなのかという学びになった。セッティングや場面が変動することで心を動かそうというより、言葉そのもののみによって話が進んでいくところに特徴があるように思われた。

話自体は明確なストーリーがあるとはあまり思えず、美術館内でのある1時点を切り取ったという印象である。以下、ネタバレを含みます。

特に印象深かったシーンは最後の最後であり、未婚で両親の介護をしている女性と、夫に別れを切り出された子持ちの女性とが辛さを分かち合う場面である。ただ、辛さを分かち合うと書いたが実際にはそんなことはなく、逆にらめっこたるものを行う。笑うと負けの普通のにらめっことは違い、泣くと負けというのが逆にらめっこのルールである。お互い辛いが、泣かずにやっていこうという趣旨であろうか。

この1点で本作の評価はかなり上がったが、それでもセリフ中心に話が進むという戯曲という形式に慣れないためか物足りなさはあった。ホームドラマで見ることができればなぁという思いがある。

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