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「隣の芝生は青い」ではなく、「遠くの山は青い」でしょ。


「隣の芝生は青い」


何でも他人のものはよく見える、という意味の言葉だ。

読者の中に、僕のことを羨ましいと思っているかもしれないが(いないと思うが)、僕にだってコンプレックスや悩みはある。文章では全てを書かないので、それらが露呈してないだけ。

あなたが羨ましいと感じている人も、人には言えないような悩みを抱えているかもしれない。



さて、この「隣の芝生は青い」という言葉だが、どうやってこの言葉が生まれたのかを疑問に思った

心理学的な理由から生まれたのかもしれないけど、僕は物理学の観点から考えてみることにした。物理学を学んできた者として。そんな自負いらないと思うけど。まあ、やってみる。



まず僕は、距離が関係しているのではないかと、いぶかしんだ。

自分のすぐ身の回りにある芝生と比べて、お隣さんに生えている芝生までの距離は当たり前だけど遠くなる。

庭の大きさによって、こちらから見えるお隣さんの芝生までの距離は変わるが、この距離の長さが青く見えることに由来しているのだと、目をつけた。



そこで、さっそくネットで調べる。「遠くのものが青く見える理由は?」

Google検索すると、結果が返ってきた。
その中にこんなものが。

遠くにある山は青く見える


え、山?芝生ではなくて、山か。しかも隣ではなく、遠くにある。

家の窓から、遠くの山をじーっと眺める。たしかに、青く見える。木々は緑色のはずなのに、遠くから見ると青い。ぼーーと生きてきたから、これまで気づかなかった。



さっそく、その理由を調べてみる。もう隣の芝生からは、脱線している。
だけどそんなことより、遠くの山が青く見える理由が気になる。


調べていくと、レイリー散乱が原因だと判明した
レイリー散乱とは、光の波長より小さい空気中の分子によって、光が散乱される物理現象。そして、青い光は散乱されやすい性質を持っている。

つまり、遠くの山との間にある空気が、青色の光を散乱させて私たちに届けるので、青い山に見えるのだ。


富士山は、分かりやすい例。
あれ、そういえば青山学院も、このレイリー散乱の賜物なのかも。レイリー散乱がなければ、緑山学院だったかもしれない。そもそも山に対して、緑なんて修飾語、わざわざつけないか。



ちなみに空が青く見えるのも、同じ理由。大気中に、青い気体が充満しているわけではない。

じゃあ、夕焼けの空が青色ではなく、赤色に見えるのは?それも説明すると長くなるので、ここではやめておきましょう。調べると、ちゃんと理由が出てきます。




結論として、何が言いたいかというと。


物理学的に考えると、「隣の芝生は青い」ではなく「遠くの山は青い」であるということ。

かなり意味が変わってしまった。隣でもないし、芝生でもなくなっている。


これだと、自分にとって遠い存在が羨ましく思えるみたいな意味合いになってしまう

羨ましく思うのって、どちらかというと自分と近い存在である場合が多い気がするし。だって、自分とはかけ離れた存在(大谷翔平とか)は、別次元すぎて全然嫉妬しないから。




なんでもかんでも、物理学から考察するのはよそう。今回の思考実験は、徒労に終わった。まあでも、楽しかったので、有意義ではあった。


レイリー散乱という専門用語を使ったので、みなさんにアレルギーを出してしまったかもしれません。でも、遠くの山や空が青い理由が伝わったのなら、それだけで嬉しいです。ゴールデンウィークに、これらを見た時は、レイリー散乱をぜひ思い出してください。レイリーさん(レイリー散乱を発見した人)も、たいそう喜んでいます。


参考文献

夕焼けの空が赤い理由も、ちゃんと書いてあります。気になった方は、ぜひ。

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