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午後のロードショー「ダーク・タイド」


公開 2013年
監督 ジョン・ストックウェル
公開当時 ハル・ベリー(47歳) オリヴィエ・マルティネス(47歳)


スリル溢れる海洋パニック映画を期待して見たら「何すかこれ?」となること間違いなしです。

現在サメ映画は「ジョーズ後発品系」「シチュエーション系」「おバカ系」に大別される印象ですが、これらに全く属さないある意味新ジャンルのサメ映画と言えます。

ナショナルジオグラフィックのサメ生体調査映像から拝借してきたような映像との合成感満載で、サメの恐怖をまったく感じることができず緊張感皆無の展開です。

海洋生物学者のケイトは同僚がサメに殺されたことをきっかけに仕事から遠ざかっていたが、元夫ジェフから、スリルを求めてサメと泳ぎたいという大富豪と同行する仕事を持ち掛けられる…

ケイトはサメをこよなく愛する海洋生物学者で、サメとコミュニケーションをとることができる唯一の人間なのだそうですが、映像を見る限りまったくそれは感じません。
ケイトは事あるごとに「信頼」「コミュニケーション」とうそぶくのですが、サメからすれば
「たまに潜ってきてヒレや鼻を触ってくるウザい奴」と思っているかもしれません。

同僚のダイバーがサメに襲われ命を落とす事故が発生.ケイトはトラウマを抱えサメに関する仕事から距離を置くようになる。
そんな中、元夫のジェフが大金を稼げる案件を持ち掛ける…

息子ルークと共にケイトの元を訪れた大富豪のブレイディは
「親子でサメと泳ぎたいんだ」
ケージを出てサメと泳ぐことを条件に、ケイトに10万ユーロの報酬を提示してくる。
「サメと泳ぐのは私の究極の目標でね。勇気を証明できる」
勇気を証明する方法なら他にいくらでもありそうなものですが…

経済的に窮地に陥っていたケイトは、ブレイディの依頼を受け、船でサメのいる沖合へと出発する。

ブレイディは「まずは潜るぞ!」
息子ルークは
「潜りたくないよ! 父さんが無理やり連れてきたんだ!」
「弱音を吐くな! サメと泳ぐの面白そうって言ってたじゃないか!ナヨいんだよ!」
「僕は父さんと一緒にいたかっただけだ!」
「一緒にいたいんだったら、二人きりでケージに入ろうじゃないか!」

「何すかこの会話?」となり爆笑してしまいました。

ブレイディは末期がんで余命を宣告されており、他人を巻き添えにして心中しようとしているとしか思えません。

ケイトは船の中で元旦那のジェフと喧嘩したりイチャついたりと落ち着きがなく、ツアーの責任者とは到底思えないほど情緒不安定なのです。
「サメの所へ行きましょ!それがお望みなんでしょ!」
無茶な提案をするブレイディに半ば逆ギレする形で、ケイト一行は巨大サメの巣窟へと向かう…

終盤のサメとの攻防は夜の海が舞台となっており、暗くて何が起こっているのかわかりづらい展開です。
おまけに皆ダイバーの格好をしており、水中では誰が誰だかわからないのです。

ブレイディは巨大ホオジロザメに襲われて死亡、ケイトとジェフ、ルークの3人はヘリに発見され救助される。


「物心がついてからずっとサメに夢中でした。この地球上でもっとも神秘的な生き物です…」
ラストはイイ話でまとめようとしていますが、ケイトがトラウマを乗り越えるまでに3人もの人間がサメの餌食になっており、あまりに大きな犠牲を払っていると言わざるを得ません。

海中で揺れる海藻の中を泳ぐオットセイの群れの映像は幻想的で、マリンスポーツとハル・ベリーのビキニ姿を愛でたい人はそこそこ楽しめたかもしれませんが、「ジョーズ」のようなサメパニックを想定し映画館で本作を113分見せられた人は地獄だったかもしれません。

ハリウッド映画は公開する前に、出資者による監査が入り、無駄と思われるシーンや、辻褄が合っていない部分を修正することを余儀なくされるそうです。
結果的に監督の個性や独創性は削がれるものの、ある程度の興行収入を得るには観客の好みに合わせ最大公約数的な作品に仕上げる必要があるのでしょうね。

本作のような厳しい監査の目をすり抜けた珍作を拝むことができるのはある意味稀なことであり、午後ローではこの手の作品を多く見ることができるので喜ばしい事ですね。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★★
午後ロー親和性★★★★★

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