伊藤守 『人と組織のハイパフォーマンスを作る コーチングマネジメント』
僕にとってのこの本:
コーチングの教科書のように、コーチングの全般的な情報が収まっている。コーチングは、頭でわかっていることと、行動との間を埋めるコミュニケーション。テーラーメイドでオンゴーイング。コミュニケーションとは、相手に要求していくこと。
伊藤守氏は、日本にコーチングを導入した方。国際コーチ連盟(ICF)の認定マスターコーチで、1997年に組織変革のためのコーチングの会社を立ち上げた第一人者。
僕は2024年4月から、コーチ・エイのアカデミアというプログラムでコーチングの勉強をしています。このクラスで使用される教科書の内容とかなりオーバーラップします。また、そのコーチ・エィの代表である鈴木義幸氏のこちらの本とも共通項が多い印象です(ただし鈴木氏の本は、氏ならではの独特の視点や体験が盛り込まれていて、別の本として学ぶことができます。)
マネジメントの分野は日進月歩で、コーチングは日々進化している。組織は古いやり方でひとを育成することはできない。自ら学ぶ人を育成する、コーチングはそのための一つの手段。
以下、印象的なフレーズを僕なりの表現で集めてみました。
・時間と手間をかけて作ったコンピタンシーが、消化されないという問題
・話を促進するのがコーチの仕事
・実際に人が行動するためには、たくさんのコミュニケーションが必要
・「トップセールスマンは、日曜日に何をするんだろう?」
・人によって情報処理の方法が違う
・話を聞くことができるマネージャー、リーダーは圧倒的に少ない
・教えるのではない、ともに進む
・オートクライン、人は話してはじめて、自分が何を考えていたかわかる
・よいコーチになるということは、「私のおかげ」を放棄するということ
・コーチには、コーチがいなければならない
なかでも印象的だったのは、「ネイティブコーチ」という言葉でした。
コーチングは、アメリカで1970年代くらいから研究が進み、1990年代に日本に輸入された(輸入したのがこの著者の伊藤氏)。では、アメリカで研究が進んだ以前にはコーチがいなかったかというと、そうではなくてごく少数の人々は、すでにコーチとよんでも差し支えのないような仕事を行っていた。
優れた教師、スポーツ指導者、マネージャー、経営者たち。
こうした人々をネイティブコーチと呼ぶようです。
なるほど、僕のまわりには、ネイティブコーチが確かにいました。このことについてはいつかまた書いてみたいと思っています。
コーチングは、すぐれたネイティブコーチたちの実践を理論家して実践モデルを作ったもの。
「よいコーチになるということは、「私のおかげ」を放棄するということ」という言葉も本書にあるのですが、これには驚きました。僕が教師として大事にしている行動原則だからです。教師も、「私のおかげ」を放棄した方がよい仕事ができるとずっと思っていました。
なぜそう思うようになったのかも、いつか整理したいですね。
自分のことを振り返ったり、あたらしい知識を得られたり、とても勉強になった本でした。
あらためてコーチングの歴史や成り立ち、発展について知りたいと思いました。