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牛乳の成分

おはようございます☺️Bonjour(ボンジュール)
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 市販されている牛乳は、88%ほどの水分を含んでいるため、菓子を作るときには水の代わりに用いることも多い。
 エネルギー量はさほど多くないものの、風味がよく、日本人に欠乏しがちなカルシウムやビタミンB₂が多く含まれた、栄養上バランスのとれた優れた食品である。
 牛乳には、以下のようなたんぱく質などの窒素化合物、脂質、糖質、無機質、ビタミン、そして各種酵素などの成分が含まれている。(下図)

牛乳の成分

⭐︎窒素化合物

 たんぱく質および非たんぱく態窒素化合物に分けられる。

カゼイン カゼインはたんぱく質成分のうち75%を占める、牛乳特有のたんぱく質である。 
 「カゼインー燐酸カルシウムの複合体」を形成し、80〜100mμ(ミリミクロン)という小さな粒子がコロイド状になって、サスペンション(懸濁液(けんだくえき))の状態で存在している。
 このため、非常に消化しやすく、その成分は幼動物の発育、ことに骨の発育に重要な役割を果たしている。

 カゼインには、次のような性質がある。
a)酸、アルカリとで化合物を作る。
b)牛乳に酸を加え、等電点のpH4.6にすると、カゼイン中の燐とカルシウムは可溶性となって遊離し、白色の沈澱をする。
 これは、牛乳に酸味の強い果汁を加えたり、酸敗してすっぱくなったりしたときに、しばしば見られる現象である。
c)レンニン(凝乳酵素)を加えると凝固する。
 チーズやヨーグルトは、この現象を利用して作られている。
d)熱に対して比較的安定していて、130℃以下の加熱では凝固しない。

乳清たんぱく質 カゼインを凝固して除去した後、残った液体を、乳清またはホエーという。

 乳清たんぱく質のうちラクトアルブミンとラクトグロブリンは、加熱して75℃くらいで凝固する。
 これが、牛乳をかきまぜないで加熱したとき、表面に薄い膜を作る成分である。
 これらのたんぱく質は、水、希酸、希アルカリ、塩類溶液に対しては可溶性であるため、撹拌しながら加熱すれば溶け、膜を作ることはない。

 残る2つのプロテオーズとペプトンは、変性たんぱく質で、いくら加熱しても凝固しない。

リポたんぱく質 たんぱく質と、レシチン、ケファリン、スフィゴミエリンなどの燐脂質との複合体で、乳脂肪球皮膜となり、脂肪球の周囲をとりまいている。

 この皮膜の内層は、たんぱく質から成っているらしく、しっかりと脂肪に結びついている。
 中層は燐脂質、外層は酵素などを含んでいると考えられる。

 この脂肪球皮膜が乳脂のエマルジョンを安定にし、乳濁液としての働きを良好にしている。

⭐︎非たんぱく態窒素化合物

 窒素は含んでいるが、たんぱく態をなしていない化合物で、牛乳100g中に23.8mgくらいしか含まれていない。
 しかし、その種類は多く、アミノ窒素、尿素窒素、尿酸、アンモニア窒素、クレアチン、クレアチニンなどがある。

⭐︎脂質

 脂質は牛乳中に3.3%くらい含まれていて、中でも乳脂肪が多く、この他燐脂質、糖脂質、ステリン類および遊離脂肪酸がわずかに含まれている。

 乳脂肪の脂肪酸組成は、他の油脂類とは異なり、炭素数の少ない低級脂肪酸や不飽和脂肪酸のオレイン酸が多い。

均質乳と非均質乳の脂肪球の大きさ
牛乳(左)と均質化牛乳(右)
の脂肪球

 上図および上写真は、均質化した牛乳と均質化しない牛乳の脂肪球の分布である。
 均質化しない牛乳の脂肪球の大きさは、2〜10μに達し、3μが最も多い。
 均質化したものは1ミクロンのものが大部分を占め、2ミクロンは少なく3μのものはない。
 写真で見れば、大きさの相違は明瞭である。

 乳脂肪はエマルジョンの形で存在しているが、長時間放置すると脂肪球の大きなものは軽いので上部に浮き上がり、脂肪層をつくる。
 2μ以下に小さくすれば、この変化は起こらない。
 また、脂肪球は1/1200程度に分割されるため舌触りがよくなるし、脂肪全体の表面積が大きくなるために、消化液の作用も受けやすく、消化されやすくなる。

⭐︎糖質

 牛乳中には4.5%の糖質が含まれていて、その大部分が乳糖で、ガラクトースとグルコースがわずかに含まれている。
 乳糖は、ガラクトースとグルコースの縮合したもので、甘味度は蔗糖の1/5〜1/6と低く、牛乳にかすかな甘味を与えている。

 乳糖の乳酸菌発酵した牛乳は、無害で、ある程度の細菌の繁殖を防ぎ、むしろその爽快な酸味が製菓や飲料に好んで使われている。

 また、乳糖は乳酸菌以外の細菌の作用によって、酪酸、酢酸、炭酸ガス、アルデヒドなどが作られる。

⭐︎無機質

 牛乳中には、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどいろいろな形で存在している。
 ナトリウムは塩素と化合し、カリウムは塩素、燐酸、クエン酸と、マグネシウムは燐酸、クエン酸と、そしてカルシウムは燐酸、クエン酸、たんぱく質カゼインと、それぞれ化合して、可溶性物、コロイド、イオンなどの状態で存在している。

 このような無機質は、微量ではあるが、その成分の塩類構成や化合状態が、牛乳の物理的化学的性質に大きな影響を与え、牛乳の加工上も重要な要素である。

⭐︎ビタミン

 ビタミンは栄養上大切ではあるが、製菓上は重要ではない。
 ビタミン類には、脂溶性、水溶性、熱に対しての強弱、紫外線などの光に対しての強弱、酸やアルカリに対しての強弱などの性質の違いがあるが、これらの効力は調理される間に熱などによって減少し、ビタミンCにいたっては、ほとんど失われてしまう。

⭐︎酵素

 牛乳には各種の酵素が含まれているが、これらの酵素がそのまま存在するときは、生乳中の各種成分が酵素の作用を受けて変化し、風味も悪化する。
 また、変質の原因ともなるが、超高温殺菌法で処理されている現在の牛乳では、ほとんどの酵素の作用は失われている。

 酵素の種類によって、分解される成分、酵素が最もよく働くpHと温度が異なっている。
 プロテアーゼは37℃でたんぱく質を分解し、リパーゼは脂肪を、アミラーゼは炭水化物をそれぞれ分解している(下図)。

各酵素の適温と
失活温度

著書:洋菓子材料の調理科学
著者:竹林 やゑ子

 この著書を参考にブログを作成することで
学ばせていただいております。
 感謝いたします。

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