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滋賀県米原市に移住した浅井茅子さんのLOCAL MATCH STORY 〜子どもたちが自分らしく安心して過ごせる「場」作りを目指して〜

2022年4月より滋賀県米原市で空き家に関する事業を担う「米原市空家再生みらいつくり隊」に就任した浅井茅子(あさい・かやこ)さん。

委嘱状を受け取った浅井茅子さん(左から2番目)

大学卒業後、出身地の愛知県で小学校の教員をしていた浅井さんは、ある想いをきっかけに教員を辞め、移住前は児童養護施設に勤務していました。

そんな彼女が移住に向けて動き出した背景には、子どもと関わる仕事をする中で抱いた「子どもたちへの特別な思い」があったといいます。浅井さんが移住を決めた理由、そして愛知県から滋賀県への移住にまつわるエピソードについてお話を伺いしました。

教員として感じた違和感。学校という枠にとらわれない子どもたちの「居場所」を作りたい

—まずは移住をしようと決めたきっかけや経緯を教えてください。

浅井:もともと教員を辞めたときに、自然豊かな田舎で自分なりに子どもたちと関われるような仕事がしたいと思ったのがきっかけでした。

—今いる場所ではなく、わざわざ田舎に移住して子どもたちと関わる仕事がしたいと思った背景にはどんなことがあったのでしょうか?

浅井:これまでは公立小学校の教員として既存の教育システムの中で育つ子どもたちと接してきました。しかし数年、教員という立場で子どもたちと関わるうちに、「生徒一人ひとりに対して、もっと丁寧に関わってあげたい」という想いが強くなりました。ただ、現実はそうもいかず、学校教育の理想と現実の狭間で悩み、心身のバランスを崩してしまうに至ります。しばらく休職していたのですが、場所を変えて大阪でボランティアをしたり、教員を辞めてからは愛知県の奥地にある児童養護施設に勤務したり、地元を離れてちょっとした移住を経験したことで、心が大きく回復する経験をしました。この経験を通して、特に心の問題で学校に行けない子や、エネルギーが下がってしまっているような子が回復のきっかけになるような「場」を田舎で作りたいなと思ったのが移住のきっかけでもあります。私自身も田舎が好きなので、自分自身が満たされて元気な状態で子どもたちの前に立ちたいと思ったのも大きかったですね。

大阪でのボランティア活動は、「子どもたちとの向き合い方」についてあらためて考える貴重な機会にもなったそう。
教員を辞めてから、自然豊かな土地に引っ越した浅井さん。その後、児童養護施設で新しいスタートをきります。

—学校という枠以外に子どもたちが安心して過ごせる場所を作りたいという思いが「地方移住」「空き家活用」というキーワードにつながっていったということでしょうか?

浅井:はい。場作りになるフィールドを考えたとき、まさに「地方移住」や「空き家」というものを取り入れたいと思い、今回の「米原市空家再生みらいつくり隊」の応募につながりました。

「やりたいことを実現しながら、安定収入が望める移住」を求めて移住マッチングサービスを活用

—具体的にどのように「米原市空家再生みらいつくり隊」を知って、応募されたのでしょうか?

浅井:最初のきっかけは「SMOUT(スマウト)」という移住マッチングサービスです。このサイトで米原市とLIFULL(ライフル)さんが協働して募集されていた今回の求人を見つけました。

—地方移住にあたってどのような基準で求人を検討されていたのですか?

浅井:地方で起業を目指せて、なおかつ地域おこし協力隊のように一定の収入があるような状態での移住を検討していました。地域にそこまでこだわりはなく、「空き家」というキーワードが重要でした。今回の米原市の求人でいえば、「空家再生みらいつくり隊」という言葉にひかれてページを見たように思います。

—ちなみに米原市の募集以外にもほかの地域の募集も検討されていたのですか?

浅井:そうですね。「空き家管理」や「空き家対策」というキーワードで色々と情報を集めて、実際にいくつかの地域とやりとりさせていただきました。ただ、現地まで行ってみたいと一番はじめに思ったのが米原市だったんです。その後、ほかの地域と比較検討した結果、米原市を第一希望に決めて、応募することにしました。もしだめだったとしても、ほかの選択肢を考えたらいいかなと。

米原市への移住の決め手は「夢の実現に向けてイメージが描けたこと」

あたり一面に広がる田んぼの風景。
米原市は農作物の栽培にとって理想的な環境がそろっています。

—「色々比較して結果、米原市が第一希望」だったということですが、そのような点がほかの地域とは違ったのでしょうか?

浅井:やはり自分の夢に向かってどうしたら進んでいけるかのイメージが持てたことですね。地域おこし協力隊についても色々とリサーチしていたのですが、なかには市や町が求めることが第一優先になって、自分のやりたいことに対して動けないという声を聞いたこともありました。ただ、今回の米原市の募集に関しては、週4日は基本活動として米原市の空き家・空き家バンク事業の業務を行い、残りの週1日は「みらい活動」として今後の生業づくりに向けて活動できる時間が設けられています。実際に地域に入り、地域の方々とつながりを持ちながら、どんなことができるのを具体的に考えられる機会にもなるため、夢の実現に向かって進んでいけるイメージが最も沸きました。

—ちなみに移住後の活動先となる「まいばら空き家対策研究会」(以下、空き家対策研究会)を個人的に視察されたとか? すごい行動力ですね!

浅井:米原市さんとライフルさんが「まいばら空き家プロジェクト体験ツアー」という2泊3日の現地体験ツアーを開催されていたのですが、仕事の都合で参加できなかったこともあり、個人的に問い合わせをして視察のお願いをしました。

—実際に訪れてみていかがでしたか? 空き家対策研究会の方々は浅井さんから見ると、年齢がかなり上の方が多いと思いますが、受け入れ先の不安は感じませんでしたか?

浅井:実は、米原市の方にも「大丈夫ですか?」と聞かれました(笑)。でも、個人的には自分より人生経験があって、色んなことを知っている方とお話しして勉強したいなと思っていたので、特に不安は感じませんでした。視察で訪れた際も、まだ何も決まっていない私のことを応援してくれて、「あったかいな〜」とうれしく思ったり……。まったく世代が違う方々と働けるのはむしろ新鮮な感じがしました。

気負わず私らしく。周りに支えられ、始まったばかりの移住生活

ご近所さんからいただいた破竹(はちく)で作ったおかず。地域の方から「もらいもの」をいただくことも多く、地域の温もりを実感しているそう。

—米原市空家再生みらいつくり隊に着任して1ヶ月と少し経ちましたが、今のところ何か困ったことはありませんか?

浅井:ないですね。むしろ思っていたよりも過ごしやすくて心地いいです! 空き家対策研究会での活動はまだまだ勉強中の身なので、物件の内覧に一緒についていって流れを知ったり、今までの事例やどういう流れで成約しているのかを学んだりしている最中です。自分なりにどうやって活動していったらいいのか悩む部分ももちろんありますが、周りの方々が相談にのってくれるので、なんとかやれてます(笑)。

—ちなみに今はどちらにお住まいなんですか?

浅井:職場となる空き家対策研究会に歩いて通える距離の空き家に一人で住んでいます。本当は自分が思い描くような古民家を探して住みたいなと思っていたのですが、下水が通ってなかったりボロボロだったりしてすぐに住める状態ではなくて。それで研究会の方が4月から住める空き家を何件か候補を出してくださって、その中から今の住まいに決めました。

移住先の住まいに決めた空き家は、広々とした日本家屋の一軒家。
一人暮らしには十分すぎるゆとりあるスペースです。

—移住後、住まいを探すのに時間がかかる方もいらっしゃるなか、やはり空き家対策研究会のパイプはすごいですね!

浅井:そうなんです。しかも、今後私自身が移住者の方々に対して行う仲介業務の流れを移住者側として体験させてもらえて、それもすごくいい経験になりました。「こういう風に物件の所有者の方とやりとりするんだな」とか、「空き家対策研究会の人たちはこういうことをしてくれる存在なんだな」と、あらためて仕事の流れや業務の役割について学ぶことができました。

移住は環境を変える選択肢のひとつ。人生を楽しむことを自分に許可する

日本百名山にも認定されている伊吹山。
山頂からは琵琶湖をはじめ日本アルプス、伊勢湾まで一望できます。

—最後に、これから移住して地域で何かをしたいと思っている方にメッセージをお願いします。

浅井:私自身、心が弱っているときに移住を決意したことで、すごく元気になれた気がします。しんどいとか、今の自分に納得できていないとか、そういう思いを抱えた人はたくさんいると思うのですが、実は環境を変えてみることで「今まで知らなかった世界がこんなに広がっていたんだ」と感動したり、楽しさを味わったりするきっかけになることがあると思うんです。だからここに一生住むというわけじゃなくても、環境を変えるということの選択肢の一つに移住というものが年齢問わず選択できたらいいんじゃないかなと思います。

—移住が人生をよい方向に変えるきっかけになるといいですね。浅井さん、本日はありがとうございました。今後のご活躍を楽しみにしています!

(終わり) インタビュー時期:2022年5月

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