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高知県日高村に移住した小田啓太郎さんのLOCAL MATCH STORY 〜人が人を繋いでくれるのを実感できる地方移住〜

移住を経験し、地域で活躍されている人を紹介する「LOCAL MATCH STORY」。
今回は、高知県日高村に移住された現役地域おこし協力隊の小田啓太さんをご紹介します。
そして、この記事は小田さんご本人に執筆いただきました。

自己紹介

初めまして、小田啓太郎と申します。
福岡県北九州市出身で、現在は高知県の日高村にて地域おこし協力隊として活動しています。
2015年に大学院を卒業し、東京のアトリエ事務所に就職して設計業務に携わっていました。その時、自由大学の「ゲストハウスをつくろう」という講座に参加し、当時日高村にて活動されていた協力隊の方にお会いしました。その方に誘われる形で、2018年に高知県の日高村へ来て、同年の11月から地域おこし協力隊として活動しています。
現在は、「eat&syay とまとと」というゲストハウスの運営に携わっています。

私が移住した地域はこんなところ

仁淀ブルー

写真:澄み切った仁淀川の鮮やかなブルー(仁淀ブルー)

高知県日高村は人口約5000人の村です。食は「シュガートマト」と言われる高糖度トマトが有名です。トマトと聞くと、夏をイメージされると思いますが日高村では冬の時期に生産されています。また、霧山茶園という中四国最大級の茶園が山頂にあり、晴れた日は絶景です。

熟したトマト

写真:熟したシュガートマト

霧山茶園

写真:霧山茶園の風景

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なぜ移住しようと考えたのか

最初に日高村へ来たのは、東京でお会いした方のプロジェクトの手伝いで来ました。実は、その時は移住しようなんて微塵も思っていなかったんです。というのも、憧れの東京に住み始めたばかりだったことと、友人や知り合いもそちらに住んでいたからです。ただ、同時に田舎暮らしに憧れもありました。
日高村に滞在していく中で、村民の方からお裾分けを頂いたり、鮎釣りに連れて行ってもらうなど、人々の暖かさに触れていきました。東京ではこのようなことがなかったので凄く新鮮でした。当時はフリーターで、絶対に東京に戻らないといけない訳でもなかったので、村民の優しさに触れていく内に田舎暮らしもありだなと思って移住しました。

仁淀川の朝霧

写真:仁淀川の朝霧

移住するまでこんなことありました

完全に移住する前は、お試し移住みたいな感じで3ヶ月ほど日高村にいました。正確に言うと、最初の2ヶ月は春野町で、残り1ヶ月を日高村で暮らしていました。春野町でも日高村でもトマト農家さんにお世話になってました。
ただ、「田舎=よそ者をあまり受け入れないのではないか」というイメージがあったので、うまく付き合っていけるか不安でした。
しかし、そこは自分の態度次第だなとも思っていました。なので、挨拶は元気よく!を気をつけていました。また、名前もなるべく早く覚えるようにしていました。基本的なことですが、挨拶を元気よくするだけでも相手の印象に残り、自分のことを覚えてくれるようになりました。
また、方言で話すことも意識していました。例えうろ覚えでも、方言で喋っていると、「今の言い方は〇〇やのうて、△△やきね〜」なんて教えてくれるので、会話のキッカケにもなりました。そうすると、段々と村民の方も自分に興味を持ってくれて話す機会が増えて、覚えてくれるようになりました。
また、先程の質問でも述べましたが、滞在していく中で、村民の方からお裾分けを頂いたり、鮎釣りに連れて行ってもらうなど、人々の暖かさに触れていくことが増えました。それによって、「自分から行動すれば相手も受け入れてくれるんだな」と思いはじめましたし、移住の決め手にもなりました。

移住後のライフスタイル

メインは、とまととのカフェや宿泊者の対応をしていますが、事業所付けなので、イベントの手伝いをする時もあれば、事務作業をする日もあります。

以下は、ある1日のタイムスケジュールです。

 7:30 起床・朝食・準備
 8:20 わのわへ出勤
 8:30 朝礼
 9:00 ゲストハウス「とまとと」へ移動・カフェ準備
10:00 営業開始
15:00 チェックイン対応
16:00 カフェ片付け
17:00 わのわへ帰社・事務作業
17:30 退社
19:00 夕食/趣味の時間
24:00 就寝

基本的に残業もないので終業後は、家に帰って仕事の続きをする時もあれば、ネットサーフィンなど自分の時間を過ごしています。夏の時期は、川が近いので川辺でボーッと過ごすこともあります。自然の中だとリラックスして過ごせるのでリフレッシュできます。

東京に住んでいた頃に比べて、圧倒的に運動不足になってしまったので職場近くの健康センター、もしくは帰宅後に筋トレ等をして運動をするように気をつけています。また、休日は市内に行くこともありますし、着任前にお世話になった農家さんの所へお手伝いに行ったりもしています。

通勤路の風景

写真:通勤路の風景

移住してわかった地方暮らしの魅力

人と人の繋がりが濃いです。移住して、「どこに住んじゅうが?」と聞かれ、「〇〇さん(大家さんの名前)の家を借りてます」と言うと、「あー、〇〇さんか」は普通です。村民同士、ほとんどの人が互いのことを分かっていると思います。なので、顔を名前を覚えてもらえれば、知り合いの方が友人と居た時は「この人、〇〇さんの家に住んでるんよ」と紹介してもらえることもあります。人が人を繋いでくれるのを実感できるのは嬉しいですね。

移住先でのお金事情について

収入ですが、正直に言うと東京に住んでいた頃と殆ど変わっていません。しかし、野菜や魚等はお裾分けを貰えたりしますし、スーパーの野菜も安いので食費はグッと落ちたと思っています。嬉しいことにお裾分けは結構な量が貰えることもあるので、その分外食も減りました。
それと、良くも悪くも服にお金をかけなくなりました。農作業に行く時はジャージ等に麦わら帽子と汚れてもいい服装ですし、村内だとあまり周囲の目をきにならなくなったからだと思います。また、東京だと好きなブランドがあったので通っていましたが、そのお店が無いというのも理由の一つだと思っています。なので、現在は全身ユニクロになってしまいました。

移住先の暮らしで困ったこと

移住してすぐの頃、市内へ行くのに汽車を利用しました。その時、まだ東京の感覚が抜けておらず“汽車くらいすぐに来るだろう”と思ってましたが、時刻表を見て本数の少なさに驚いたことを覚えています。
今はちゃんと時刻表を見ていますが、地方は汽車の本数が少ない!と覚悟した方がいいです。

地域おこし協力隊に応募した理由

学生時代から、“いつかはゲストハウスをしてみたい”という思いがありました。ただ、思っているだけで卒業後は東京のアトリエ設計事務所で働いていました。
働いている時に、地域活性という言葉に興味を持ち始め、調べていくうちに「地域仕掛け人市」というイベントを知ったので参加しました。参加した際に地域おこし協力隊という制度について知って、その時は全く違う地域に興味を持っていたんです。ただ、事務所に勤め始めたばかりなのもあって、その時は協力隊には応募しませんでした。
その後も協力隊のことが頭の片隅にあり、今度は「自由大学」というこれからの生き方や働き方を学ぶ場を知りました。その中の「ゲストハウスをつくろう」という講座に参加し、当時日高村の現役協力隊の方にお会いしました。
最初に日高村へ来たのは、東京でお会いした方のプロジェクトの手伝いで来ました。この時は仕事も辞めフリーターでした。元々、そのプロジェクトは期間限定で行う予定だったので、終えたら東京に戻る予定でした。でも、フリーターだったこともあり、東京に戻る理由が無かったんです。
また、プロジェクトの期間中に村民の暖かさに触れ、田舎暮らしもいいなと思ったこと、ゲストハウスが建つと伺って自分の夢が叶うのもあり、協力隊に応募しました。

地域おこし協力隊になるまでにやったこと

協力隊になると決めてからというよりは、プロジェクト期間中に地域に溶け込むようにしていました。
具体的には、「移住するまでにこんなことありました」の質問でも書いているように、元気に挨拶をして自分のことを覚えてもらっていました。それと、方言で喋るようにしていました。挨拶することで、自分のことを覚えてもらう・知ってもらうようにし、方言をキッカケに会話が弾み、打ち解けていけたと思っています。

地域おこし協力隊の活動内容

メインの業務は「eat&stay とまとと」の宿泊対応及びカフェでの接客です。元々は、別の方の企画ですが、それに途中からですが参加させてもらっています。
日高村初の宿泊施設で、県内の新聞や情報誌、またお笑い芸人やYouTuberさんに紹介していただいたお陰で認知度は少しずつですが上がっています。
しかし、村内の方の認知度がイマイチなのも現状です。村内でも身内の方はよく来てくれますが、それ以外の方は未だにどんな場所なのかが伝わっていません。
日高村に限ったことではないと思いますが、協力隊は“よそ者”です。よそから来て素性も分からない人達がいきなり、「こんなコトしたいんで手伝ってください!」「お店オープンしたんで来てください!」ではダメだと思っています。
先ずは自分がどんな人物なのかを知ってもらい、同時に自分も相手のことを知る。そうやって互いに信頼関係が築けてからでないと、物事は進まないと考えています。なので、地域の行事は勿論ですが、スポーツクラブやトマト農家の手伝い等に積極的に参加し、自分のことそして、今取り組んでいることも知ってもらっています。
その甲斐あってか、「食べに来たよ〜!」と来てくれる方が徐々に増えてきてくれて嬉しいです。

コロナによって、飲食業や観光業も打撃を受けています。宿泊施設も今までのやり方では今後生き残れないとも思っています。なので、宿泊&カフェ+αが必要になってくるとも思っているので、カフェスペースを学習スペースとして開放するなども考えています。
また、働き方や生き方を見直す人も増えてきました。その中で、VANLIFEに注目が再度集まっています。なので、宿泊の在り方も箱物を用意するだけでなく、移動して泊まることができるスタイルがあっても面白いと考えているので、取り組んでいけたらと思います。

とまとの本棚

写真:ゲストハウス「eat&stay とまとと」にあるとまとの本棚

ゲストハウスの中の様子

写真:ゲストハウス「eat&stay とまとと」の内装

地域おこし協力隊の受け入れ体制や関係する人々

自分は今、受け入れ先のNPO法人と役場の担当者にサポートしていただいています。自分が取り組んでみたいことを、先ずは役場担当者に相談、その後受け入れ先のNPO法人・担当者・自分の3人で相談して進め方等を決めていっています。

地域の人との関係構築

地域への入りはスムーズでした。と言うのも、東京で出会った協力隊の方が、私が着任する前に行政の方や村民の方に自分の事を紹介してくれていたお陰でスッと溶け込むことができました。
また、所属してすぐの頃は、自分が所属しているNPO法人のイベント等のお手伝いをしていたので村民の方に顔と名前を覚えてもらえました。ただ、それだとある程度の範囲だけになってしまうので、自分から地域のスポーツクラブへの参加や、自治体にも入りました。
また、着任前にバイトさせてもらっていた農家さんの所に、着任後もお手伝いに行っています。
意識しているのは、スポーツクラブや農家さんの所など、関わりを持った人の所へは定期的に行くようにしています。外から来た人が地域に少しでも早く溶け込むには、自分から関わりを持っていかないと待っていても何も始まらないですから。
また、方言で喋るようにしています。方言って、地域独特の文化だと思いますし、覚えることで地域に溶け込んだようにも感じることができるからです。

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写真:村民のお手伝いでみた狩猟の様子

地域おこし協力隊の魅力

自分が思う地域おこし協力隊の魅力は、「地域を知れる」です。スマホやパソコン一つで、知りたい情報を知れる時代ですが、やはりリアルに勝るものはないです。画面上に書いてある内容は書き手が感じたことであって、自分が感じたことではないです。
画面越しの情報だけで判断するのではなく、実際に移住し、そこで暮らす。五感を全部使って地域を知れる。つまり「百聞百見は一験にしかず」という言葉が当てはまると思っています。

目の前で見れる花火大会

写真:目の前で見れる花火大会

地域おこし協力隊の大変なところ

良くも悪くも「自由」だということです。
協力隊の仕事内容は大きく分けてミッション型とフリーミッション型とあります。
ミッション型は、自治体側から課題、仕事内容等が予め決められており、活動内容が明確になっています。
フリーミッション型は、自分で地域の課題を見つけ、目的を決めて活動していきます。
ミッション型は自由ではないのでは?と思う方も居ると思いますが、活動内容が明確になっているとは言え1〜10まで全部決まっている訳ではありません。と言うのも、「Uターン・Iターンイベント等にて〇〇市のPR業務」といった感じで、ざっくりしている場合もあるからです。なんにせよ、「指示待ち」の姿勢だと活動していくのが大変だと思います。

移住検討している方へメッセージ

協力隊着任前は「情報収集」をしっかり行うのが大切です。就職活動と同じように、行きたい地域のことを徹底的に調べるに越した事はないです。ネットに情報はありますが、可能なら現地に行って、活動している協力隊に直接会って話を聞いた方がいいです。
今はコロナで現地に行くのが厳しい面もあるので、SNSを利用してコンタクトを取って、オンライン通話等で話を聞くのもいいと思います。
着任後は、先ずは地域内の方に挨拶へ行って自分の名前と顔を覚えてもらうと、その後の活動がしやすくなると思います。
また、イベント等は積極的に参加することで更に繋がりが増えると思います。

(終わり) 執筆時期:2020年9月

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