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和歌山県紀の川市に移住した青柳沙恵さんのLOCAL MATCH STORY 〜自然と共存する暮らしをするのが高校からの夢でした〜

移住を経験し、地域で活躍されている人を紹介する「LOCAL MATCH STORY」。
今回は、和歌山県紀の川市に移住された現役地域おこし協力隊の青柳沙恵さんをご紹介します。
そして、この記事は青柳さんご本人に執筆いただきました。

自己紹介

青柳 沙恵 (あおやぎ さえ)

千葉県東金市出身
和歌山県紀の川市地域創生課(地域おこし協力隊)

印刷会社に就職し、約半年間営業職として働く。
その後大学院へ進学し、在学中にフィリピンの語学学校でのインターンやカンボジアの小学校での教育ボランティア、東南アジアへのバックパック旅などを経験。1年間休学して国際交流基金の日本語パートナーズ事業でインドネシアへ派遣され、現地の高校で日本語や日本文化を教えるアシスタントとして活動。帰国後は国際協力NGOにてインターンをしながら、国際協力や社会問題について関心を深める。
大学院卒業後はアパレル会社の販売スタッフとして働く。
2020年7月に紀の川市の地域おこし協力隊として移住し、現在は市内をまわって空き家を調査中。

紀の川市は1年通して果物が収穫できる「フルーツ王国」

紀の川市風景

写真:紀の川市が一望できるアトリエカフェcandyさんからの景色

和歌山県紀の川市は人口約6万人で、1年中果物が収穫できる「フルーツ王国」です。フルーツを中心に地方創生に取り組んでいます。主な産業は農業で、特に「あら川の桃」はブランド化されており、毎年桃渋滞ができるほど人気です。果物を活かしたスイーツだけでなく、フルーツ寿司やフルーツバーガーなど創作フルーツ料理も生まれています。また、大阪や関西国際空港へのアクセスも良く、自然に囲まれた生活しやすい地域です。

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自然と共存できる暮らしがしたい

今回のコロナウイルスによる自粛で、働いていたアパレルが休業になったことから、都会生活の脆さや求めているものとのギャップを感じていました。そんな中で、高校生の頃から持っていた「自然と共存できる暮らしがしたい」という思いを実現させるなら今だなと思い、地方移住を決めました。
将来的には、自給自足に近い暮らしをしながら、古民家カフェを開くことが理想です。地域の人々はもちろん、外から来てくれる方々など全ての人にとって交流の場となるような場所を作りたいです。

地方移住はとてもハードルが高いと感じていました

何のスキルも持っていない私が地方移住することはとてもハードルが高く、仕事や住居、人間関係など様々なことに不安を感じていました。
そんな時、以前から知っていた地域おこし協力隊を思い出し、改めて調べてみました。
地域おこし協力隊は、仕事をしながら最低限生活するのに困らない給料がもらえて、住居も用意してもらえて、協力隊活動中に人間関係も広げていけるということを知り、私が地方移住するにはぴったりだと感じました。
早速地域おこし協力隊の求人を調べ始め、いくつかの地域を受けていたのですが、一番テンポ良く選考が進み、採用のタイミングもバッチリだったことなど、ご縁があって紀の川市に決まりました。

移住後のライフスタイル

[ 6:45 ] 起床
[ 8:15 ] 出勤
[ 8:45 - 17:15 ] 勤務
[ 17:30 ] 帰宅
[ 18:00 - 18:30 ] 料理
[ 18:30 - 19:00 ] 夜ごはん
[ 19:00 - 20:00 ] お風呂
[ 20:00 - 22:30 ] 自由時間 兼 家事
[ 23:00 ] 就寝

平日は基本的に定時退勤して、料理を作ったり勉強をしたり自由な時間を過ごせています。
休日は大好きな古民家カフェや喫茶店などを巡ったり、家事をしたり、資格取得に向けた勉強をしたりしています。
日本国内での一人暮らしは今回が初めてで、料理は移住してから始めました。節約もできて栄養バランスも考えられるので、これからも続けていきたいです。

移住してわかった地方暮らしの魅力

どこを見ても自然があることが一番の魅力だと感じています。高い建物がなく、南北を山に囲まれているので、どこからでもきれいな山並みを見ることができます。買い物では野菜が安く、自炊を更に安く抑えることができています。

移住先での住まいについて

一人暮らし用のアパートを用意してくれていたのですが、10月からご縁があって知り合いから紹介していただいた物件に引っ越すことになりました。知り合いというのは、面接の前に観光していて、たまたま入ったお茶屋さんのおじさんです!今でも良くしてくださっていて、何かと気にかけてくれていてありがたいです。
10月から住む物件は、築36年の2階建ての一軒家で、家賃はガス代と水道代込みで56500円です。家賃は市が負担してくれています。
今年の8月まで居酒屋だった建物なので、1階はカウンター席や座敷など居酒屋仕様になっていて、2階は畳の大広間になっています。お風呂がなかったため、今回新しくお風呂を設置してくださいました。基本的に2階で生活しながら、土日など休みの日には、1階でカフェやイベントができたらいいなと思っています。

移住先でのお金事情について

収入はアパレルの給料より少し減りましたが、支出も減っているので生活できています。
アパレルの時は実家にいたのであまり比較はできないのですが、基本的に自炊をしていることと、コロナの影響で外出の機会が少ないことで、支出が抑えられていると思います。

移住先の暮らしで困ったこと

正直自分では困ったことはあまりないと思っていたのですが、そういえば関西国際空港(以下:関空)まで車だと近いけど電車だと1時間半くらいかかるなあとか、自分用の車がまだ来てなくて自転車で買い物に行ってるのが地味に大変だなあとか、言われて初めて気づきました(笑)。
9月半ばに自分用の車が来たので買い物に関しては解決するのですが、関空まではどうやって行くのがいいのか模索中です(笑)。
あとは初対面でも人との距離が近いなあと感じていますが、個人的にはあんまり困っておらず、むしろ助けてもらうことの方が多いです。

地域おこし協力隊に応募した理由

何のスキルも持っていない私にとって、地方移住を考える上で一番不安だったことは、仕事がないということです。
自分で起業できる能力もなく、会社で働くことも向いていないと感じていた私ですが、カンボジアやインドネシアで現地の先生方と協力しながら授業を作り上げたり、日本文化を紹介していた経験から、地域の人々と協力しながら一緒に地域を良くしていくという仕事には魅力を感じていました。
社会人経験がわずか半年ということもあり、これまでの経験を生かせる仕事はなかなか見つけられなかったのですが、地域おこし協力隊でなら経験を生かしながら少しでも役に立てることがあるかもしれないと考え、応募を決めました。

地域おこし協力隊になるまでにやったこと

まずは地域と繋がりを持つために、移住スカウトサービスのSMOUTに登録しました。そこで地域おこし協力隊にしぼって求人を探していたところ、いくつかの地域の担当者からメッセージをいただき、面談や面接を行いました。面接のための事前知識として本を読んだり、地域について調べたりはしましたが、特別な準備はしていないです。

地域おこし協力隊の活動内容

活動

写真:空き家を利活用して拠点にしたおいけファームさんへの取材での1コマ

紀の川市で5〜6年前に調査した空き家台帳を基に、空き家調査を行っています。実際に空き家を見に行き、空き家調査表へ記入、写真で記録、帰ってデータ入力という流れです。年々増えている空き家をリスト化して、活用していくことが目的です。

また、紀の川市独自の空き家バンクを作成しているところなのですが、空き家バンクの制度が整ったら、空き家登録数を増やしてマッチング数を増やしていきたいと思っています。

空き家活用では、シャッター街になってしまっている駅前通りの空き店舗を活用して、アートウィークなどのイベントを行いたいと考えています。期間限定のアートウィークで人を呼び込み、地元の人たちに活気のある街を感じてもらうことで、アートの可能性だけでなく、街のポテンシャルの高さにも気付いてもらいたいです。

地域おこし協力隊の受け入れ体制や関係する人々

市役所の会計年度任用職員という立ち位置で、毎日市役所に出勤しています。
今は基本的に個人で空き家調査を行なっていますが、進捗などは担当の方に報告しています。
これから業務として企画したいイベントについては、地域のまちづくりに関わっている方々向けにプレゼンをさせてもらうことになっているので、
そこから繋がりができたらいいなと思っています。

地域の人との関係構築

協力隊担当の職員や先輩協力隊から紹介してもらったり、知り合いの知り合いから繋がったり、カフェや喫茶店のオーナーさんに話しかけて仲良くなったり、まずは知り合いを増やすところから始めています。
そこから定期的に連絡を取ったり、お店に足を運んだりすることで、関係を深めているところです。

紀の川市の方は初対面から距離感が近く、住んでる場所や年齢などを聞かれることもあります。私はそこまで抵抗はなかったのですが、「嫌だと感じたらうまく誤魔化すのがいいよ」とお店のお姉さんから教えてもらいました。自分のストレスにならないように、ほど良い距離感で人間関係を構築していくことが一番大切だと感じています。

地域おこし協力隊の3年計画

1年目である今は、とにかく色々なところに足を運んで覚えてもらったり、地域の人々との関係づくりを大切にしています。お会いした方々には、業務として自分がやっていきたいことをお話するようにしています。そこから次に繋げられるきっかけをいただくことも多く、発信することの大切さを感じています。空き家業務に関する知識も、セミナーに参加したり専門家の方とお話させていただくことでインプットしています。
また、協力隊卒業後を見越して、地域の創業セミナーへの参加など起業への準備にも取り組んでいます。年内には事業計画書を一通り書けるようになることを目標に勉強中です。年内には借りている一軒家の一階で、ゆるゆると週末カフェを始められたらいいなあと思っています。

2年目からは、業務としてやっていきたいイベントを形にするために、仲間と動き出したいと思っています。紀の川市独自の空き家バンクが整備されることで、市の仕事としてもできることが増えてくるので、そちらも同時進行で進めていきたいです。また、協力隊卒業後の起業に向けての事業計画書を仕上げて、融資を受けられる状態にしたいです。

3年目は、イベントを形にして多少なりとも成果を出していたいです。空き家業務では、空き家所有者と移住希望者をマッチングさせるなど、やりたかった業務に取り組める状態にしたいです。可能であれば、協力隊活動中に開業届を出して起業までできたら理想です。

地域おこし協力隊卒業後にやりたいこと

古民家カフェを開きたいです。
経営や料理に関しては初心者なので、地域の創業セミナーに参加したり、薬膳やスパイスの資格を取得したりすることで勉強していきたいと思っています。新しいものと古いものとの融合が好きなので、古民家という落ち着く日常の空間で、イベントや異文化などの非日常を感じてもらえるような空間を作りたいです。地域の人も外から来てくれた人も気軽に入れるような交流の場を目指しています。
また、アートでまちを活性化させるようなイベントをやりたいと思っているので、任期中から仲間集めやノウハウ集めなど動いていきたいです。

地域おこし協力隊の魅力

外から地域に入ってきて、地域の人々と協力しながら一緒に地域を良くしていくというところに魅力を感じています。まだまだ着任してまもなく、動き出せていることは少ないのですが、少しずつやりたいことを発信していくことで一緒にできそうな仲間が見つかりつつあります。
"ソトモノ"という立場だからこそ見えるその地域の魅力を見つけて発信したり、地域の人が思いつかなかったようなアイディアを提案できたり、これから色々と動いていけそうでワクワクしています。
新しい人脈を作ることに楽しみを感じる方や、自分のアイディアを形にしていける人、自分で仕事を作っていける人におすすめです。

地域おこし協力隊の大変なところ

与えられている仕事だけではなく、自分で仕事を作っていかなければいけないところです。
実際に業務として行っている空き家調査だけでなく、個人的に実現したいことや将来に繋がることも、早いうちから見つけて同時進行で進めています。今行っている空き家調査は、現在の空き家の状況を確認してデータを整理するという点で重要ではありますが、正直なところ単調な作業が多く、目に見える成果に結び付きづらいです。自分が紀の川市に来た意味を考えた時に、これだけをやっていては意味がないと感じて、最近は色々なことを視野に入れて動き始めています。
あとは正直なことを言うと、あまり貯金ができません。生活はできるのですが、奨学金の返済などもあると貯金がなかなかできないのが現状です。それでも住居や車を用意してもらえるのは本当にありがたいです。

移住検討している方へメッセージ

1. 自分が移住先に求めることを明確にすること
2. 現地に行って五感で感じること
3. メリットもデメリットも見つけること
移住前にこの3つをクリアしてほしいと思います。妥協せずに、しっくりくる移住先を見つけてください!

(終わり) 執筆時期:2020年9月

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