日本仕事百貨×ドキュメント72時間なトークショー(仕事バー)に参加してきた。

 友人に誘われて清澄白河に行った。そこにリトルトーキョーという面白いビルがある。日本仕事百貨という知るひとぞ知る、ユニークな求人サイトを運営する株式会社シゴトヒトが手がける5階建のビルだ。1階では、昼と夜にごはん屋を運営しており、2階と3階にはイベントスペースがあり、そこで毎晩のようにいろいろな生き方をしているゲストを呼び、ワークショップ・トークショーなどを開催しているのだ。
 私が今回参加したのは定期開催されているイベントの1つである「しごとバー」だ。毎回色んなゲストがきて話を聴き、他の参加者と歓談するというイベントである。私が参加した時のゲストは、NHKで「ドキュメント72時間」という番組のディレクターをしている方だった。
 
 正直なところ、私は一度も番組を見たことがなかった。(汗)この番組は72時間という膨大な時間のデータを29分の番組に落とし込んでいるそうだ。私は以前ライターをやっていたこともあり、どういう視点で切り取っているのか?について興味があったので急遽参加することにしたのだ。(友人は当日に誘ってくれた)
 
 実は2つ驚くことがあった。1つ目は、私が先日訪問したGaiaXの2階のコミュニティスペースが取材されたことがあったのだ。(2019年10月に放映済)このイベントの前日にGaiaXに行っていたのでビックリした。(こちらの記事参照。)もう1つは、GaiaXで私が話をしたスタッフさんがこのイベントに来ていたということだ。話を聴いてみるとたまたま見つけて面白そうだから来たとのこと。その方は遅れて来たのだが、その瞬間に目が合って驚いた。偶然もあるものだ。
 
 イベントの内容についてだが、すごくよかった。もともと興味があるテーマだったからというのもあるだろうが、いい時間を過ごせたというのが率直な感想だ。AKB48は会いに行けるアイドルだが、「しごとバー」は、例えるなら会いに行けるテレビ番組という感覚だった。ゲストの方がいて、司会が進行しつつ、ゆるくゲストのトークに合いの手を入れてくれるから話にリズムが生まれて、聴きやすい。こういうスタイルはテレビで見るスタイルだと思う。しかし、普段と違うのは「実際にその場にいること」「自分から質問など働きかけられる」ことだ。司会が素直な感想や、素朴な質問などを予定調和的ではなくゲストに突っ込んでくれるので、参加者からも質問など出て、場が一体となって盛り上がっている感覚があった。もし自分が主体的に参加する意識があれば、とても楽しい場である。(主体的にというのは、質問しまくるという意味ではなく、うなづくとか笑うとか自分から場を楽しみに行くという意味である。もちろんそうしなくても楽しめる。)また、そこに集まっている方も1人で来た方が多く、話しかけやすい上に、話しやすい雰囲気の方が多かった。また、終わった後に1階で飲めるのも嬉しい。ここがまた雰囲気のあるいい場なのだ。(これからはもっと写真を撮ることにしたいと思う。反省。)
 
 また、肝心のトークの内容についてだが、これもよかった!企画→編集→放映というフェーズごとにどういうことをしているのか話をしてくれて、裏話的なことも色々聞けて面白かった。いくつかメモしたことを共有したい。
 
・ドキュメント72時間のルール
(1)72時間で収録を必ず終える。
どんなに面白い人がいたとしても超えていたら使えない。運がなかったと諦める。
(2)時系列を崩さない。
3日目に撮った人→1日目に撮った人という順番にした方が面白いと感じても撮影した順番をいじらない。
(3)偶然の出会いで勝負する。
事前の仕込み・ヤラセは一切ない。撮影している場所に自然に現れた人だけで勝負をする。
 
・どこの場所で収録をするかの場所選びに1ヶ月かけている。
よさそうな場を見つけたら3、4時間くらいじーっとそこにいて観察しているらしい。一度トラックの運転手がたくさんいる場所でやったら怪しさで噂になったとのこと。そりゃそうだ。
 
・今の視聴者が嫌うことで、番組づくりで避けていること
(1)テレビの演者に上から目線で話されること
(2)展開が予想できること
(3)説明が多く、押し付けがましいこと
 
編集にかかっている時間は約3週間で毎日朝から晩まで。編集担当の方やプロデューサーなどチームで何度もやりとりして推敲していく。

・トータル約300時間くらいのデータが、番組になるとなんと約600分の1ほどにまで圧縮されることになる。(番組は29分なので)

・1人あたり長いと30分くらい収録していることがあるが、その中で使われるのは大体1,2分くらい。
 
・編集の際は、収録データをすべて文字起こししたものを印刷し、それを見ながら人選したり、順番を考える。(もう1つこちらと並行して行う方法があるのですがそれは内緒)
 
・収録は2チームで12時間交代制。とはいえ、準備もあるので睡眠時間は4,5時間くらいとのこと。

・毎回メンタルも肉体もギリギリになってやり遂げていて、死にそうになる。(重なる疲労+新しい人に神経を張り巡らしながら話し続けるため)これが72時間より1日多い、94時間だったら無理だったと思うとのこと。
 
 実際にゲストの方が担当した回を見ながら、背景などを解説してくれた時があった。比較的クールに思える彼が登場した方のエピソードを感極まりながら話している姿に、現場での熱量が伝わってきた気がして一番感動した。
 
他にも撮影に到るまでの話や大変だった話などを聞けば聞くほど、youtubeなどでスタッフの裏側について流して欲しいと思った。しかし、NHKはそういった取り組みについては足取りが非常に重いらしい。(まだ一太郎を使っていることにビックリした。)今回の参加を経て、ゲストのディレクターの方に親近感を覚えたし、もっと彼を応援したいと思った。もう1度見たい72時間という形で年末の特番が組まれていて、そこでは今受け付けている投票で上位の回が再度放映されるそうなのだ。見たことがある方はぜひ投票してみてほしい。
 気になった方はぜひ見たり行ったりしてみて欲しい。
 
<リンク一覧>
日本仕事百貨
しごとバー(連日イベントをしているそうなので要チェック)
ドキュメント72時間
投票ページ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?