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『かくれてしまえばいいのです』のアクセス数が1000万を超えました

「生きるのがしんどい」と感じる人のためのWeb空間「かくれてしまえばいいのです」のアクセス数が、先日、1000万を超えました。

2024年の「自殺対策強化月間」の3月1日に公開して半年、当初の想定を上回る多くの人に利用されています。

「アクセス数1000万超」という数字は、それだけ「生きることにしんどさを感じている人」が大勢いるということであり、この世界の過酷な現実を映す数だと捉えています。

とりわけ過酷な現実を象徴しているのが、こどもの自殺です。自殺で亡くなるこどもの数は直近2年で1000人を超え、近年過去最多となっています。

今年も1月から6月までに自殺で亡くなった小中高校生は、229人(暫定値)。2023年の同時期までと比べると5人多く、減少の歯止めがかかるどころか増えているため、今年も過去最多の水準となることが懸念されています。

2022年/2023年/2024年の月別のこどもの自殺者数の推移(2022年と2023年は確定値,2024年は暫定値)|「第7回こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」よりライフリンク作成

『かくれてしまえばいいのです』が、そうした状況を少しでも変える一助になることをめざし、日々運用をしています。

相談できない(しない)人の受け皿に


『かくれてしまえばいいのです』は、「死にたい」気持ちを抱えながらも安心して過ごせる場として、匿名・無料で、24時間いつでもだれでも利用できます。

「いまのつらさに耐えられない → この世から消えて楽になりたい → 死にたい」といった思考から、「いまのつらさに耐えられない → この世から消えて楽になりたい → であれば、まずは一度、この世からかくれてしまいましょう」という思考への転換を後押しする空間であり、これまでにない形の自殺対策(生きる支援)です。

半年でのアクセス数が1000万回を超えた現在も、毎日平均5万回のアクセスが続いています。「死にたい」「消えたい」といった気持ちになったら、ひとまず“かくれてみる”。そのように、ご自身のペースで繰り返し利用してくださっている人も増えています。

そんな『かくれてしまえばいいのです』を「居場所」と感じている利用者にとって、この先も「居場所」であり続けるために、また「居場所」としての居心地をよりよくするために、どんなことが望まれているのか。

ふだんから利用している人たちの声に耳を傾けられたらと、8月9日~23日までの2週間、アンケートを実施しました。

アンケートは利用者に向けてポップアップで表示

結果、2000人を超える利用者からの回答があり、多くの貴重な声を寄せていただきました。

『かくれてしまえばいいのです』を利用するにあたって「死にたい」「消えたい」という気持ちを抱えた人は8割近くにのぼり、なかでも「死にたい」「消えたい」という気持ちが「かなりある」と答えた人は全体の約40%でした。

「「死にたい」「消えたい」という気持ちはいまどのくらいありますか?」という質問に対する回答結果(選択式回答)

また、「この世からかくれたい」と感じる気持ちについて、最多となる約40%の人が「相談したい気持ちはあるけど、相談することに抵抗感がある」と回答。次いで多かった22%の人は「相談したいけど、相談窓口がつながらない」でした。

「「この世からかくれたい」と感じるのは、どういった気持ちからでしょうか?」という質問に対する回答結果(選択式回答)

こうした回答からは、『かくれてしまえばいいのです』をつくった背景としての2つの要因(こども・若者が抱えがちな「相談すること」への抵抗感と、自殺相談窓口がパンク状態でつながりづらいこと)が検証され、従来の自殺対策や既存の支援の枠組みではリーチできない人にとって、『かくれてしまえばいいのです』が一つの受け皿になっていることがうかがえます。

よりよい「居場所」になるために


『かくれてしまえばいいのです』への感想や意見も数多くいただき、その声の一部を以下に紹介します。

●「ここにいるとよくわからないけど落ち着く」
●「同じ気持ちでいる人がいることがわかり、孤独感が薄れる」
●「以前利用したときは本当に死にたくてどうしよもなくなっていたが、その時に利用して気がついたら気持ちが落ち着いていることを実感したため。ちょっとした「死にたい」気持ちの段階で来るようにしている」
●「何でかわからないけど安心する」
●「自分と同じような気持ちになっている人が他にもいると思うと安心するし、誰にも言えない気持ちをロボに聞いてもらえる」
●「居心地が良い、少しでも気が紛れるから」
●「みんなのきもちをよんで泣いて疲れてねれる」
●「あなたのオススメおしえてルームでみんなのやり過ごし方を読むこと、むかんけいばあちゃんの小話を読むこと、むかんけいロボとお話しすること、が好き。読んだりしていると、ちょっと辛さやさみしさが和らぐ」
●「なんどかこちらに来ていますが、ここに来るとすっと落ち着きます。ありがとう。この場所を作ってくれて。ボクの居場所」
●「このサイトが自分にとって死にたい気持ちがどうしようもない時の逃げ場所になっている」

アンケートの声で「SNS等で紹介してもよい」とした回答のみ掲載

いくつかの改善要望もいただきました。なかでも最も多かった声の一つが、「ロボとおしゃべりコーナー」のむかんけいロボ(AI)との会話数を増やしてほしいというものです。

「ロボとおしゃべりコーナー」のむかんけいロボ(AI)との会話画面

アンケートを実施した8月中旬時点では、むかんけいロボとのおしゃべりは10メッセージまでとしていました。

しかし、利用者の多くが「むかんけいロボともっと話したい」と望んでおり、また人ではなくAIだからこそ気持ちを吐露できるという声が多くあったことから、8月末に20メッセージまで会話数を増やすアップデートを行いました。そのため、現在ではこれまで以上におしゃべりすることが可能です。

また、改善要望の声には、「ネーム」(自身のアバターの名前)を何度も変更することで利用者同士でコミュニケーションを図っている人がいる、という指摘もありました。

『かくれてしまえばいいのです』はしんどい気持ちを抱えた人が集う空間として様々なリスク対策を行っており、利用者同士でのコミュニケーションはあえてできない仕様になっています。

カスタマイズ可能な自身のアバター名も、「7文字以内」「ひらがな・カタカナのみ使用可」という制約があります。しかしながら、この「ネーム」を繰り返し変更することでコミュニケーションを図ろうとする事象が複数確認できたため、一度「ネーム」を変更したら24時間経たないと再度変更できないよう改修しました。

『かくれてしまえばいいのです』は、「死にたい」気持ちを抱えながらも安心・安全に利用できる「居場所」でありたいと考えています。今後も、利用者の声に耳を傾けながら、しんどい気持ちを抱えた人にとっての「心地よい居場所であること」をめざしていきます。

必要とする多くの人に届けるために


こどもの自殺リスクが高い時期とされる夏休み明け前後に、『かくれてしまえばいいのです』は全国の様々なメディアで紹介され、利用する人の数も増えました。

しかし、例年、こどもの自殺に関する報道は夏休み明け前後をピークに、その後は大きく減少する傾向があります。ですが、夏休み明け以降に自殺で亡くなるこどもの数、またそのリスクが大きく減退するわけではありません。

高校生以下のこどもの月別自殺者数を見ると、自殺リスクが高いとされる9月以外も、実はこどもの自殺リスクが低いとは言えないことがわかります。

2022年/2023年/2024年の月別のこどもの自殺者数の推移(2022年と2023年は確定値,2024年は暫定値)|「第7回こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」よりライフリンク作成

2022年も202年も、9月に50人以上の高校生以下のこどもが自ら命を断っている一方、10~12月も毎月少なくとも30人以上、2023年10月には61人ものこどもが自殺で亡くなっています。

こうした状況を少しでも変える一助になることをめざし、『かくれてしまえばいいのです』の存在を一人でも多くの人に届けるため、X(旧Twitter)InstagramTikTokでの情報発信にも注力しています(ぜひフォローやいいねなどをしていただけたらと思います)。

また、夏休み明け前後となる9月にはYouTubeチャンネルを開設し、「死にたい」気持ちをみんなで一緒にやり過ごす時間・場にできたらと、ライブ配信を行いました。『かくれてしまえばいいのです』を共同制作した絵本作家のヨシタケシンスケさんをゲストに迎えた回(9月1日配信)は、アーカイブでもご覧になれます。

これらの取り組みには多くの反響をいただき、少しずつ情報の届く範囲が広がっています。全国各地の自治体や学校機関からの問い合わせも増え、こどもの目に触れる機会も増えています。

宮崎県内にある都城市立庄内中学校(※校長先生許可のもと掲載)

とはいえ、まだまだ届けられていない、届いていないのではないか、とも実感しています。

たとえいまは必要としない人でも、必要になったときにいつでもアクセスできるように、「生きるのがしんどい」と感じたときにふと思い出してもらえるように、今後も様々なかたちで『かくれてしまえばいのです』の存在を広げていきたいと思っています。

その一環として、ライフリンクのホームページ内に『かくれてしまえばいいのです』の周知ツールをダウンロードできるページを作成中です。近日中に公開予定なので、ぜひ様々な場面で活用してもらえたらと思います。

『かくれてしまえばいいのです』を広げていくためには、より多くの人の力が必要です。引き続き、様々な人に色々なかたちで参画をしてもらい、『かくれてしまえばいいのです』のような居場所を必要とする多くの人に届けていけたらと思っています。

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