中島聡

エンジニア、起業家、サイエンス・ライター。自分が創業者として米国に作った会社を2回売却…

中島聡

エンジニア、起業家、サイエンス・ライター。自分が創業者として米国に作った会社を2回売却($56M, $320M)。 シアトル在住。メルマガ「週刊 Life is Beautiful」連載中。工学修士・MBA。

マガジン

  • Singularity Society Magazine

    • 228本

    シンギュラリティ・ソサエティは、中島聡x夏野剛の呼びかけにより設立された、「未来の創造者」たちの団体。ソサイエティの会員のnoteをまとめています。

  • 永遠のパソコン少年

  • 今週のざっくばらん

  • ガチな起業話

    この度、2000年に起業し、2004年にスクエニに売却($56M)した後2007年にMBOで再び独立した会社Xevo inc.(旧名 UIEvolution)を、2019年にLearに売却($560M)することに成功しました。 滅多に出来ないような貴重な体験をしたので、一連の出来事を創業者の立場で、時系列で書いてみることにしました。

  • エンジニアのための頭の体操

最近の記事

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祈るのをやめ、胸を叩いて自分を責めるのをやめなさい。私が望んでいるのは、世界に出て、人生を楽しむことだ。 歌い、楽しんで、私が君のために作ったすべてを満喫しなさい。暗くて寒い、自分で建てた神殿、それを私の家と呼ぶのをやめなさい。私の家は山々、森、川、湖、海岸にある。それは私が住み、君たちへのすべての愛を表現する場所だ。 惨めな人生を私のせいだと責めるのをやめなさい。私は君に、何か悪いところがあるとか罪人だとか言ったことは決してない。 私が書かなかった聖典を読むのをやめな

    • オンライン・ゲーム「H・O・P・E」、第二章

      友也がUBIプログラムから提供されたオンラインゲームを楽しんだ翌日の朝、霞ヶ関の会議室で、サーバーに繋いだパソコンの画面をプロジェクターに写しながら、一人だけその場に不釣り合いなTシャツを着たエンジニアが、同席する背広を来た人々に向けて説明をしていた。メンバーの多くは明らかに霞ヶ関の官僚だが、そのうち二人は議員バッチをつけた初老の政治家だ。 「昨日の0時までの段階で、UBIグラスでログインした被験者は、現時点で865人。そのうち、UBI受け取りの手続きを完了した被験者は、3

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      • オンライン・ゲーム「H・O・P・E」、第一章

        届いた荷物を開けると、そこには「ようこそUBIプログラムへ!」と一言だけ書かれたカードと共に、一つの「グラス」が丁寧に梱包されていた。詳しい説明は、グラスをかければ分かる、ということなのだろう。 友也は梱包を開けて、グラスを手に取った。子供の頃に遊んでいたグラス(その頃はVRグラスと呼ばれていた)と違い、とても軽くて薄い。明かに最新式だ。 大学受験に失敗し、就職もせずに、UBIと呼ばれる社会保障システムの恩恵に預かることになった友也に、なんでこんな高価なグラスを受け取る権

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        • NounsDAO の終わりの始まり

          「DAO(Decentralized Autonoumous Organization)とは何か?」を理解するために、去年の4月にNTFを購入して参加したNouns DAOですが、とうとう「fork」という手段によって分裂することになりました。私も悩みましたが、fork側に合流し、(ragequit と呼ばれる方法で)資金回収をすることにしました。 DAOは、プログラマブルなブロックチェーンにより可能になった、運営が自動化された組織のことです。従来型の会社や国と違って、ブロ

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        記事

          GPT4と捕鯨について討論してみた

          私:日本がIWCから脱退したことに関して、日本人としてとてもがっかりしています。 (GPT4が演じる)捕鯨団体関係者:IWCからの脱退にがっかりされていること、理解できます。しかし、私たちは捕鯨を続けるべきだと考えています。捕鯨は日本の文化であり、長い歴史があります。また、持続可能な捕鯨を行っているため、海洋生態系に悪影響を及ぼしていないと考えています。さらに、日本はIWC内での合意形成が難しいと判断したため、脱退を決定しました。私たちは、国際社会との対話を続けながら、日本

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          少女と青い光

          あつしは、数学が得意だけど、女の子と話すのは不得意な高校1年生。 ある日、あつしが帰り支度をしていると、彼の隣に不思議な表情を浮かべる少女が立っていた。彼女は長い黒髪をして、その瞳は碧い海を彷彿とさせる深いブルーだ。 「あつしくん、ちょっと話してもいい?」 あつしは動揺して上手に返事が出来なかったが、彼女は気にせず話し続けた。 彼女は、彼女だけが知る不思議な秘密を持っていた。それは、彼女が満月の夜に、海辺に現れる「青い光」を見に行くというものだった。 「あつしくん、

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          暗号通貨とは何かを中学生にも分かる様に説明してみる

          これは、私がVoicyに投稿したものの中で、もっとも評判が良かったものの一つです。

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          EVシフトの現状を中学生にも分かる様に説明してみる

          Note と Voicy が連携したのを記念して、音声のみのNote を試しに作ってみました。

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          クリプトデバイドとは

          クリプトデバイドとは、クリプト(暗号通貨)の世界で活動する人たちと、そうでない人たちの間の大きな隔たりのことを意味します。その隔たりは、デジタルデバイドと呼ばれる、デジタルデバイスを使いこなせる人とそうでない人との隔たりよりも遥かに大きく、(この記事を書いている2022年4月の時点では)簡単には乗り越えられない大きな壁として、存在しています。 最初に私がこの言葉を使ったのは、メルマガ「週刊 Life is beautiful」の4月12日号ですが、メルマガのままだと一般の人

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          Voicy はじめました

          以前から Podcast で発信することには興味があったのですが、編集の手間などを考えると、時間的に無理だと考えていました。 しかし、今回、Voicy の運営元から誘われ、試しに一つ配信してみると、配信者向けのアプリがとても使いやすく、これであれば、配信にあまり時間を使えない私にも十分に可能だと感じました。 とりあえず、ここまで5つ配信したので、順に内容について紹介します(小見出しがリンクになっています)。 1. Voicy はじめました 最初のご挨拶です。メルマガと

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          デジタル庁への三つの提言

          先週になって、日本のデジタル庁が「デジタル社会の実現に向けた『新重点計画』の策定に向けてのご意見」を募集していることに気がついたのですが、残念ながら期限を過ぎてしまっているし、そもそも質問項目が役に立ちません。私なりに言いたいことはたくさんあるので、一通りここに書いておくことにします。 日本でデジタル化が進んでいない原因は複数ある上に、それらが複雑に絡み合っているので分かりにくいし解決しにくいのが現状です。なので、まずは、それらを可能な限り独立した問題に分割し、それぞれに対

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          日本に政権交代が必要な理由とその実現方法について

          この記事は、メルマガ「週刊 Life is beautiful」から抜粋したものです。米国で働く日本人として、外から見た日本を客観的な視点で語るメルマガです。 私がブログをあまり書かなくなった一番の理由は、原発や自民党の批判をすると、すぐに「お前は左翼か!」と噛み付いて来る人たちがいるから、ということはここでも以前に触れたことがあると思います。彼らは「ネトウヨ(ネット右翼)」と呼ばれる人たちで、その多くは自民党に(もしくは自民党が雇った電通に)雇われた人たちだ、というのが今

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          IOCと東京都の間の契約書を読めば、なぜオリンピックを中止出来ないかが良く分かる

          この記事は、メルマガ「週刊 Life is beautiful」から抜粋したものです。米国で働く起業家・エンジニアとして、科学技術・経済に関わるさまざまな事例を、雑誌や新聞とは一味違う視点から解説・考察しています。 最近、米国のメディアでも「日本人の多くが東京オリンピック(およびパラリンピック)は中止すべきだと考えている」という報道が出るようになりました。 菅総理は「やるかやらないかは、IOCが決めること」と逃げているし、当事者である小池百合子都知事は「再延期をすれば基本

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          Windows95と地上の星

          この記事は、数年前に私がブログに書いた記事ですが、最近、私が連載しているメルマガ「週刊 Life is beautiful」で Microsoft のアプリの互換性に対する姿勢に関する話題が出たので、再度 note の記事として公開することにしました。ソフトウェア・エンジニアとはどんな仕事をしている人たちなのかを理解するには、良い資料だと思います。ソフトウェアを勉強している学生さんたちには、ぜひとも読んでいただきたい文章です。  Windows95の開発の総責任者であるDa

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          オペレーティング・システムの地政学

          この文章は、毎週火曜日に発行している「週刊 Life is beautiful」からの抜粋です。米国西海岸で暮らす起業家・エンジニアとして、テクノロジーやビジネスのことを書いています。先々週に書いた「プロセッサの地政学」に対してはたくさんのフィードバックをいただきました。その中に「OS(オペレーティング・システム)についても書いて欲しい」というリクエストがあったので、今回はOSをテーマにして書きます。 世界の各地で起こっている戦争や紛争も(例えば、シリアとトルコの紛争)、そ

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          プロセッサの地政学

          この文章は、毎週火曜日に発行している「週刊 Life is beautiful」からの抜粋です。米国西海岸で暮らす起業家・エンジニアとして、テクノロジーやビジネスのことを書いています。 今年は、Apple が Mac 向けに自社製プロセッサを採用すると発表したり、NVIDIAがARMをソフトバンクから買収すると宣言するなど、プロセッサ関連の大きなニュースが続きましたが、こんな時こそ、一歩下がって、業界全体の流れとして何が起こっているかを理解することが大切です。 私は、こん

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