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一見、とっても綺麗なおねえさん。ライフセーバーには見えない?!オフィシャルから見る競技会のやりがい、オフィシャルの魅力

ライフセーバー名鑑No.3中島典子 プロフィール

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中島 典子(なかじま のりこ)
館山サーフクラブ所属

競技会の裏方、その中でも必要不可欠な存在として活動している中島さん。そもそもレースで勝つことに興味なし。ただ、競技会会場の雰囲気が好き。
オフィシャルから見る競技会のやりがい、オフィシャルの魅力に迫る

大好きな人たちの力になりたい

ライフセービングに出会ったのは、高校一年生の時。
ライフセーバーでもある水泳部の顧問の先生が、「泳げるんだからやってみたら?」と。

高校生~大学1年まではサーフレースやビーチフラッグス、CPRコンテスト(現:BLSアセスメント、当時は希望者が出場できた)など、選手として競技会に参加していたが、「レースで勝ちたい」という気持ちは強くなかった。

ただ、競技会会場の雰囲気が大好きだった。
たくさんのライフセーバーが集まり、みんな「仲間」に見える・・・!

高校卒業後は体育大に入学し、九十九里LSCへ。
ガード中は朝から晩まで、先輩・仲間と真剣に、楽しく過ごし、ライフセービング活動がより好きになっていった。


大会運営のはじめての経験は、「グランプリ」(その後「海救」に名前を変えた)
大好きな先輩たちの力になれるなら。と快諾した。

そこで運営の「楽しさ」を知ったのだった。

今ではどの競技会でも欠かせない存在である、「中島典子」の誕生である。

努力の成果を100%出せる場を提供したい

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オフィシャルとしての活動に魅力を感じたきっかけを話してくれた。

「ライフセーバーってめちゃくちゃ練習するじゃない?
朝朝練、朝練、ガードして夕練・・・って。
めちゃくちゃ練習して、無事故を目指してガードしてる。
練習の成果を発揮しないように活動してる・・・
だからシンプルに練習の成果を出せる場って、大会しかないんじゃないかなって。
頑張ってる人たちに、できるだけ公平な環境を整えて、楽しんでほしい」

たしかに、ライフセービングは一般的なスポーツと違い、「競技で勝つためだけに」練習をすることはない。
海で、プールで、いついかなるときも、助けを求める人を救うために身体を鍛え、安全で確実で迅速なレスキューのためにスキルを磨く。
そのモチベーション維持やスキルアップのためにあるのが競技会である。

中島さんはその貴重な場を、できる限り公平に、スムーズに運営することできた時が、最もやりがいを感じる瞬間だという。

「選手のファンなんだよね!とにかくそれが大きい。みんなが楽しんでいるのがうれしい」

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全日本選手権後、選手たちに混ざって打ち上げに参加する中島さん。


オフィシャルをやっていて、いやなこと

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大好きなオフィシャルの活動ではあるものの、「いやだな」と感じることも。

「オフィシャルやめたいとかおもったことないけど・・・
ただ、選手に『失格です』って伝えるときはすごく嫌。
この選手も大会にむけて頑張ってきたのに…って悲しい気持ちになる。」

さらに、通告する際には「そんなルール知らない」と言われてしまうことも多いのだとか。

もちろん、オフィシャルは「失格にするため」にいるわけではない。
成果を出す場で、公平公正なジャッジをするためにいるのだ。
ルールは事前に確認すべきである。

オフィシャルは本来、選手たちがルール通り正しくレースをしたことを証明するためにいる、と考えているそう。
失格を伝える際も、「どんなことが起きて、なぜ失格なのか」を伝えている。
その場で落ち込んで終わり、ではなく、今後に、チームに活かすために。

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そんな中島さんは、以前、所属する館山サーフクラブでこんなことをした。
大会の1週間前から、各種目の「失格が出やすい事例」をメーリングリストでクラブ員に共有したのだ。

「サーフレースはこのブイに気を付けて」
「ボードレースは不正スタート(フライング)が多い」
「ビーチフラッグスは・・・」

オフィシャルをずっとやっているからこそわかること、感じること。
それをクラブに還元したのだ。

そしてなんとその大会では、クラブ員の失格は「0」!!
そのときは、クラブの活躍を心から喜ぶことができた。
ただ「大会の出場規定をクリアするため」のオフィシャルではない。
クラブに、大会に、価値提供のできるオフィシャルである。

そう感じることができると、オフィシャルの仕事がさらに楽しくなった。

ライフセービングが教えてくれたこと

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「私、昔は何事も全部自分でやりたかったんだよね。
というか、やらなきゃ!!って思ってた」

人に頼らず、自力で何事も行うことが「良い」と思っていたという。
自力で頑張って、認められたい…!

しかしライフセービング活動は、一人では完結できない。

視野を広く持って、浜に立っているガードメンバーを見ながら
「この中で自分にできることってなんだろう?」
と常に考えなければならない。

逆に、自分が苦手なことは、得意な人に任せればいい。

次第に、「自力でやる」よりも、
「得意なことは極める。苦手なことは得意な人に任せて、質を上げる」ことも大事だと気付いたのだそう。
特に、人命がかかっているガード中は。

この考え方は、ライフセービング活動だけに収まらない。
社会でも役に立つこの教えは、ガードを通して、無意識レベルで身についた。

懐が深い!

ライフセービング活動においては決まった型がほとんどない。
「その人ならではのやり方で良い。いろんな視点から、その人の好きなように活動できる。
ライフセービングって懐の深い活動だと思う。だから好き!」

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ライフセービング活動は「救命・スポーツ・教育・福祉・環境」の5つの柱で成り立っており、それぞれで活躍する人が多くいる。
一見すると全く別の活動。
でも全部、ライフセービング!
だからこそ色んな人に出会えるし、自分の視野も広がっていくのだ。


オフィシャルのやりがい・魅力

毎年、指導員としてある高校へ審判資格講習会を行っているそう。
その中でうれしかったエピソードを語ってくれた。

「講習会のあと、部活の中で高校生が選手役と審判役に分かれて練習をしていたみたいなんだよね。
お互いに意見を出して、フィードバックして。
それを顧問の先生が教えてくれたときは、すごくうれしかった!
ただの資格のための講習会じゃなかったことが。
教えられたことをすぐアウトプットする、まっすぐな高校生たちで素敵だなって笑」

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また、オフィシャルの魅力の一つに、「レースを間近で見られること」があるという。
選手の息遣いが聞こえてくる位置で。こまやかな表情まで伝わる位置で。

鍛え上げられた選手たちのレースの臨場感を味わえる!

また、近年では選手の家族がオフィシャルをやることも増えてきた。
自分の子供の頑張る姿を間近で見られることが最高なのだという。
大声で応援できないのが難点だが…

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日本で行われたPatrol Competitionのようす。オフィシャルを極めると国際交流も…?

ライフセーバーへ

できれば一度、オフィシャルをやってみてほしい。
そうしたら、ライフセービング活動の幅も広がる。
この先長く続くライフセービング活動の選択肢の一つとして、オフィシャルがあったらすごくうれしいな。

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決して目立つ存在ではない大会運営、オフィシャルだが、中島さんをはじめ多くの方々がこんなにも人のために、熱い思いをもって活動していることが分かった。

まだオフィシャルの経験がないのであれば(かくいう私も経験はない。すみません。。)、まずはC級審判を取り、「やりたい」「必要とされている」そんなときにいつでも参加できるよう、準備しておくのがいいかもしれない。

※日本ライフセービング協会 審判員養成講習会はこちら

2020年度の講習会の予定はまだありません。


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