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山尾の身体を突き動かしたライフセービングの「カッコイイ」とは

ライフセーバー名鑑No.2 山尾良寛 プロフィール

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山尾 良寛(やまお よしひろ)
湯河原LSC/東海大学湘南校舎LSC所属
1998年5月4日生まれ 21歳
身長171cm 体重64kg

水泳も体操も好きだけど、なんだか飽きてしまった。
だけど、ライフセービングを始めると人が一変。自分でも驚くぐらい、自然と足が練習場所に向かった。
山尾の身体を突き動かしたライフセービングの「カッコイイ」とは


なんか「カッコイイ!!」

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「みんな筋肉やば!!モテそう!!っていうかモテたい!!
こんな感じの超テキトーな理由だったんすよ。(笑)」


大学に入った当初、高校から付き合いがある友人に誘われてライフセービングと出会い、“カッコ良さ”に惹かれて始めたという。

実際は、モテるの?どうなの?と気になる男性諸君も多いだろう。

そんな疑問には世界大会5位の山尾が答える。


「いや~、モテてないっすよ~。だけど、掴みは良いかな??ライフセービングやってるって言うと、印象は良いみたいっす。少なくとも、体操の色白レオタード時代よりはカッコ良くなれた気がします。(笑)」

世界大会5位の実力者が感じるこのスポーツの魅力

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驚くなかれ。

山尾は昨年行われた、ISA World SUP and Paddleboard Championships 2019(パドルボード世界大会)において、5位を獲得している。

サーフボードよりも大きいボードにのり、自分の手でパドルをして海上を約20㎞漕ぎ、「速さ」を競う競技だそうだ。


ライフセービングスポーツにはたくさんの種目が存在する。

何が一番得意かと聞くと、真っ先に「ボード!!」と返事が返ってきた。

自分の手で水を押して前に進んでいく感じ、自分の身体ひとつで海を渡る、そんなところが魅力だという。

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水泳はプール。体操は体操競技場。練習場所の景色はいつも一緒だった。

だけど、海は毎回違う顔を見せてくれる。

今日は海面が荒れているぞ。
すっごい、水がきれい!!!!!!!
やべー。波デケーよ。沖にでれるかな…。

パイレーツオブカリビアンが好きな山尾は、荒れた海の沖にでれたとき大海原にいる海賊気分を味わえるという。

とにかく、この「景色」に魅了されてきた。

海面に近い視線から見えるのは、どこまでも続く海、そして空。

陸からいつも見ていた風景を海の中から見ると、また違って見えるのだそうだ。

海に浮かぶ神秘的な鳥居を見たときも心が躍った。

練習中やレース中、苦しい状況になっても、ふと周りの景色を見ると自然と力が湧いてくるのだそうだ。

俺の前に現れた偉大な先輩

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大学1年生の秋、初めての大会。惜しくもあと一歩のところで全日本選手権出場の切符は掴めなかったが、チームの応援に駆けつけた。

すると、同じ大学クラブの3つ年上の先輩、石塚康敬(いしづか やすたか)が「ボードレース」で優勝した。

真っ先に海に飛び込み、誰よりも速く砂浜に帰ってきた姿がとにかくカッコ良かった。俺もこうなりたい…。

 まずはクラブチーム内で1番速くボードを漕げるように努力した。

だけど、まだまだ足りない。目の前で先輩が優勝したシーンを思い出す。

「先輩の元で頑張りたい…。」

思い切って、クラブを移籍することを決意した。
(大学は同じだったが、所属する地域クラブが違ったために夏場などは一緒に練習できなかったそうだ。)
前例がないだけに勇気が必要だった。

お世話になったチームメイトに対して申し訳なさもあったが、大学クラブの監督の「よく言った、そうしろ。」という一言で心を決めた。

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念願の憧れの先輩との練習。その先輩は鬼コーチだった。

周りにも厳しいけど、自分にも厳しい人だった。そんな姿に胸を打たれた。そして、自分につきっきりで指導をしてくれた先輩に「全日本で優勝して恩返しをしたい」という新たな目標が生まれた。


ふと、山尾は気づいた。

ライフセービングをやっているときは、自ら積極的に、目標に向けて環境を追い求めていることを。

水泳、体操をやっていたときは、言われるがままに練習するだけだった…。自分から行動を起こすことなんてなかった…。

それほどまでに、先輩の姿が心に響いたのだろう。

本当の「カッコイイ」

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インタビュー中に何度も山尾の口からでてきた「カッコイイ」。
ライフセービングを始めて、改めてライフセーバーのカッコイイと思った瞬間のことを聞いてみた。

「やっぱり、先輩のあの背中で語る感じっていうか、練習に対してすごい熱心で、
黙っていても、周りがついてきてくれるような人になりたいっすね。」


「あとは…、」


「何かの講習会のときに大学クラブの監督がこう言ったんですよ、

『俺は4人家族だが、もしものことがあっても全員救える自信がある。』

って。

家族とか、大切な人を守れるってカッコイイよなぁ。って、思いましたね。」


練習があまりにもきつくてヘロヘロなときや、学業や就活との両立が思うようにいかないときに、ふと、(どうしてライフセービングやっているんだっけ?)と、考えることがあるという。

そんなとき、やはりこの時のことが思い返されるのだそうだ。

「これ、ちゃんとやっていれば、いざと言うときに大切な人を守れるよな!」

今はライフセービングと中距離恋愛みたい!?

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コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今は海でのトレーニングは自粛中だという。

4月はパドルボード世界大会の選考会がある予定だった。

5月、6月に予定されていた大会もなくなり、少し落ち込んでいるようだった。

「大学最後の年なんで、賭けてるんですよ、絶対優勝する!!ってめっちゃ練習してきたんですよ。」

やはり、ショックが隠せない山尾。


「でも、海で活動することだけがライフセービングじゃないから。海じゃなくてもライフセービング活動できるし…(自宅トレーニングや座学など)。だから、遠距離じゃなくて、中距離恋愛って感じっすね!コロナがなくなったら同棲します!!」
独特な表現も彼の魅力と言えるだろう。

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そして頼もしいことに、大学生活が終わってもライフセービング活動からは離れないという姿勢がうかがえた。

 社会人になった先輩がライフセービング活動に携わっている姿を見て、「カッコイイ」と思ったことも1つ。そして、昨年5位だったパドルボードの世界大会にも出場し続けたいという想いがあるようだ。

出場し続けることで、もっと知名度が上がることを望んでいる。

ライフービングをやっていると知識も身につくし、ちょっとだけ自信がつく。

通学中の電車で困っている人を見かけたら、今まではスルーしちゃっていたけど、今はすぐに声をかけるようになったとか。
「だから、みんなにもライフセービング知って欲しいなぁ」

ぜひ、持ち前の“親しみやすさ”を生かして、まずは周りの友人から、どんどんライフセービング界にに巻き込んでいって欲しい。

そして、さらに「カッコイイ」ライフセーバーになった彼に再会するときが楽しみである。


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