見出し画像

バッドトリップ

合法薬を大量に接種してしまった日のこと。

小さい頃心の底に押し込めたS型が爆発した。
ここにいる恐怖、喜び、詳細な感覚が身に余るほど押し寄せた。
そのときはバッドに入った。

愛がわかった、心理がわかった、と言う人もいる。そういう人は、N型に近づいたんだと思う

麻薬は、サウナに近いと思った。
人を正常値にする。
果ては宇宙のせせらぎが聴こえ(N増強)、
ただここにいること、呼吸することが何よりも嬉しく感じる(S増強)。

虚しさや、寂しさから音楽が産まれた画が見えた、
火を囲んで、ドンドコ太鼓を叩いて、笑ってる
どうしようもなく不安で、夜空を見上げて星座ができた、
そういった古代の尊さが繰り返し再生された。

S型に近づけるでいうと、マインドフルネスが近いと思う。
N型は勉強が近い。
ゲームやドラマのような娯楽は、逆で、あれは我らを麻痺させる。
どちらも私にとっては元気が出る。
けど元気を得るにはある程度キャパやセンスが必要なのは認めざるを得ない。

統合失調症は、Big5の開放性に相関があり
開放性はMBTIのNに相関がある。

わたしは開放性が異常だと思う、自覚がある。
以前離人症の記事で書いた、人に思考を読まれてる気がする、というのは
統合失調症の症状の「思考伝播」に当てはまるらしい、
まずい、自己治癒しなくては。
その前に、体験記を記す。

体験記は、体験を記すだけ、すべてを同様に伝えられるわけではない
言葉にする過程でいくつもの感覚が抜け落ちる。

しばらくして、とんでもなく自我が消え去る、
「まだいうて大丈夫だろう」と
ここからは夢か現実か曖昧だけど
2階に下って、馬鹿みたいにくるくる部屋を走った記憶。
(まだそのときは「これ録画してみたら面白いだろうな」とか思考ができてた記憶)。
実際に記録がないからあくまで「記憶」。夢の中のことかも。

その日は、ずっと楽しみにしてた用事があったんだ。
でも5分ベッドに横たわるつもりが、
時計の針が瞼の裏に映る
ちくたく、あれ、おかしいな、おきれない、30分だけ寝よう、
「このまま寝ちゃえって」「いや絶対それはだめだ」「寝ちゃえよ」

まずい、このまま起きれなそう、30分遅れるって友達に連絡しよう。

スマホを触る、スマホが遠のく、夢の中にいるようだ
「◯吸いすぎるとどうなる」で検索したスマホの画面はそのときは夢現で
目が覚めてから「あ、リアルだったんだ」って気づいた。
よくあるドラッグの幻聴、幻想、
電子リードのような音が段階的に高くなりいちから始まるような(いつか再現をつくりたい)
そして、黒背景に三角形
「あの曲のPVだ、本当にこう見えるんだ

自我が消えていく、「いうてまだ大丈夫」と「いややばいかも」の間
「…誰?」
自分のこと、わからなくなっていく
鏡を見れない、Aviciiが瓶のガラスで喉を切る様子が見える、
窓を見れない、薬物中毒者が自殺する光景が見える、
水を飲めない、飲むために階段を降りれないから、転がる姿が見えるから

目に映るものすべて苦しみから開放される道具に見えるから
めをつむってベッドにしがみつく、肺が痛い、
思考できないから、数文字の言葉しかわからない
だから少ない文字の言葉を、忘れないよう繰り返す
繰り返さないと、言葉を忘れると、
そのままおかしな世界へ行って◯んでしまうと思った。
「やばい、やばい、やばい」
「たいほしょう、たいほしょう、」(対処法がわからない)
窓を見て「それだけはだめ、それだけはだめ、」

完全に自我がなくなってた。
でも、自我がなくなっても、死なない、
あ、私は死なない、
死なない私が本当の私だって、
こんなに死にたくなかったのかって安心した。

これだけつらくても「絶対に覚えとかなきゃ」「生きてたら誰かに教えとかなきゃ」「伝えなきゃ」と必死に保ってたのを覚えてる。
終わったあとは、自分の優しさがFakeじゃないこと
すごく安心した。

弟に朦朧と電話した
言葉がわからない、
「やばい、やばい、やばい」
「たいほしょう、たいほしょう、」(対処法が喋れない)
ただ苦しみをどうにかしたかったが
弟ですら、助けてくれないかもしれない、
家帰らせるの迷惑だし見捨てられるかもしれない、と疑っていた。

待っている、これは最後だ、終わりだ、最後に窓を見たい、
刺す光がきれい…
「それだけはだめ、それだけはだめ、」
小さな音が繊細に聞こえた、こすれるような音まで
何かを考えるとき、
常にカタカナのような、オノマトペのような

あぁ、父は最後、母の姉を待って息を止めた
こんな気持だったのかな
走馬灯というか、現実にしがみつくので精一杯で
自分の体から幽体離脱せぬようリズミカルに手を動かし
皮膚感覚を維持する
薄目を開けて手を眺め、これは果たして自分のものなのか、確認する
だから手鏡現象が起きるのかな
と、言葉でなく感覚で感じた。

手が震える、全身が痙攣する、けどそのときは「痙攣」という言葉を知らないから、ただただ怖いだけ、耐えなきゃいけないだけ。

どれだけしんどくても、喋れなくてそれを他人に表現できない、
ながらも、敏感に感じていた
ダッシュで帰って汗だらけの弟。
いい子ちゃんが押し込めていた自分の願望
「やっちゃえ、やっちゃえ、」
ベッドに嘔吐する。
「大迷惑、大迷惑、大迷惑、」
頭の中で反芻する、1秒が半日に感じる、幼少期の思い出のように。

「しぬ、かくりつ、しぬ、かくりつ」
もはや文章では喋れない。全く頭が働かない。
考えようとすると圧がかかる気がする、
という境界知能者の言葉が腑に落ちる。
「大丈夫、絶対に死なない、みんな死ぬと思い込むけど、絶対に大丈夫。最悪でも意識を失うだけ。いっぱい調べた。寝てていいから。」
寝たらだめだ、このまま意識が消えて死んじゃうんだ、怖いよ、弟の話は嘘だ、でもこの人しか頼れる人はいないし、
言葉を言えず、何が正解かわからないまま、意識を保つ。

永遠の時を過ごして帰還する
体感は500年なのに、たった2日のこと。
人の足に潰されるアリさんたちもこんな気持かな

おかえり、もう、文明に触れ過ぎんなよ
考えすぎるなよ、と
弟がかけてくれた、葉加瀬太郎のひまわりを聴いて
冥土からの土産を抱きしめた。


1ヶ月近く経ってようやく思い出せる、
今は言葉もわかるし思考もできるから、恐怖があっても対処できちゃう、でもそれを抑圧しすぎた後に死ぬんだなと思う、だから考えすぎちゃだめ、そしたら生きていられるから

てのがわかったはいいがやっぱトラウマ。
だめ、薬、絶対。
でもそれ以上にだめなのは、
今この瞬間を
本音を押し殺して
生きることなのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?