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(4)「なつみの里」誕生と、12年間の葛藤

みんなボランティアでやっていて資金もありませんので、屋根の資材を購入するためにクラウドファンディングに挑戦しました。

当時、もしかしたら恵那で初だったかもしれません。わずか8日間で目標を達成し、最終的に100人ほどの方々が、50万円ほどの寄付を寄せてくださいました。

恵那市からのまちづくりのソフト事業で体験活動をするための助成金3年間と、クラウドファンディングによる寄付、そして材木と労働力はボランティアで、建前と屋根上げがでハード事業が実現しました。

普通は、ソフト事業と寄付の金額で建物まで作れないですよね。まさに行政と市民活動のパートナーシップの成果だと思います。

今、少しずつ遊具ができ、床と壁が貼られて、拠点づくりが進んでいます。去年の夏は、山水のプールとタイヤブランコができて、大人気でした。

クラウドファンディングと、指導者の方のご支援、参加者さんの協力で薪でピザを焼ける「森のピザ窯」もできました。

ハイジに出てくるような「森のブランコ」や、7メートルの木の上にツリーハウスもできています。

このツリーハウスも、私が「ツリーハウスなんかあったら、子どもたちがよろこびますね~!」なんて話していたら、86歳の会長がいつの間にか木の上に作り始めていらしたんです。

ビックリですよ。人力で、これだけの材木を木の上にお一人で運んでつくってしまわれるんで。

そんな感じで、山里えなの体験交流ひろば「なつみの里」が、かなりカタチになってきました。

昨年度は、岐阜県の言うう促進団体活動助成事業を受託することができ、1年間これだけの活動をおこなってきました。ここではデータは省きますが、活用可能空き家の調査も実施しました。

色々な山里体験企画を行ってきました。これは、関係人口として地域に関わってくれる方を増やすということと、次世代の地域の担い手を育てるという意味があります。

そして、そうした山里体験企画を通じて、「持続可能なライフスタイル」を提供できる「えなの山里made」な「ナリワイ商品の種」が生まれてきました。

薪や炭など、直接に木材を活用するもの。野草茶、桑茶、梅干しなど山里の加工品。門松づくりやしめ縄づくりなど「伝統的な暮らし」そのものも、今では作り手が少なくなり、商品価値が高まっています。

そして、子どもたちが「自分で考えて生きていく力をつけられる場」。これもこうした場所ならではです。

ということで、ザックリですがこれまでの活動を紹介させていただきましたが、実際のところ私自身の現状としてはこれは本当にあまりにもささやかで、持続可能な地域社会づくりには程遠い状況だと感じています。

活動の歩みは価値あるものと感じていても、一つ一つ、私自身にとっても、喜びや学びにあふれていて、参加してくださる方々がとても喜んでくださっていても、持続可能な地域づくりには手が届いていないのです。

12年間、ほぼボランティアで続けてきました。小さな自分にできる精いっぱいの変革の行動でした。

けれど、個人の行動、あるいは一団体の行動、それもボランティアだけの頼った行動だけでは影響が小さすぎるのです。心の中では「焦り」と「無力感」の連続でした。

程度は様々でしが、12年間の間に関わってきた活動を上げてみました。うつ病のリハビリで始めたはずなんですけど、とんだリハビリですね(笑)。

いくつかの地域、色々な活動に、裏方としても中心としても関わる中で、うまくいく事例とそうでない事例の違いを感じるようになりました。

持続可能な地域社会づくりに向けて、「変革」に向けて、「2つの山」と「1つの谷」があると感じました。

「2つの山」は、まず最初に「主体形成」つまり「誰がやるの?」ってことです。次に、「合意形成」つまり「仲間はいるの?」あるいは「一緒にやるよ!」ってことです。この2つの山が越えられれば、活動が始められます。

例えば、中野方では「木の駅始めるで、事務やってよ」と声かけてくださったから私は関われただけで、地域の方が中心になってやっているからこそ、今も続いて発展しているんです。

山岡で木の駅を始めたときも、この環境対策協議会の黄地前会長が中心になって「安藤、やろまいか!」って言ってくださったから、地域に広がりのある活動ができて私も関わらせていただけました。

地域のこととして、地域で広がっていくためには、この「やるよ!」の音頭取りと、「みんなで一緒にやるよ!」という声掛けが欠かせません。

そして、活動が始まった後は「1つ谷」、次世代育成が重要になってきます。

今、中心になっているメンバーも少しずつ年齢が上がっていきますので、次に中心になる人たちを育てていけているかどうか?

これが事業として続いていくための鍵になります。この①~③が揃って初めて、地域の「変革」につながるのです。

ということで、第3章では、こうした自分自身の体験を踏まえて、今の私たちにとって必要なことは何か?考えていることをまとめてみたいと思います。

次回に続きます。

えな山里楽耕&Tellus Ludensの活動を通じて、心豊かな未来をつくるYUMIKOの活動を応援いただければ幸いです。