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我爱biangbiang面!

ビャンビャン麺という料理がある。中国は陝西省を発祥とする料理で、西安小吃という西安のB級グルメ的なものにも数えられている。数ある中国料理の中でも私はこれが大好きだ。中国に行ったらいつか食べてみたいと思っていたので、北京で見つけたときには吸い込まれるようにお店に入っていた。

知ったきっかけは何だったか。テレビ番組で「世界一難しい漢字」もしくは「世界一画数の多い漢字」、あるいは「画数がやばい漢字」というようなもので取り上げられていたことだったかもしれない。漢字を使う国なんてアジアの限られた数しかないのだから、世界一も何も……というツッコミはさておき、何を隠そうこの「ビャン」の漢字はやばいのである。

どれくらいやばいかというと、まず画数が多い。57画だか58画だか、はたまた60画という説もあったか、この通り正確な画数すらわからない。多すぎて数えているうちにわからなくなるのだろう。画数が多すぎて字がつぶれるのでピンインを打ち込んでも漢字変換はできない。これが中国語と英語が入り混じったようなタイトルになっている理由である。

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そしてこの字は、ビャンビャン麺という料理名でしか使われない。むしろこの料理のためにできたという説すらある。日本語でいうならば、いわゆる常用外漢字なのである。料理名にしか使わないとはいえもうちょっと簡単でもよかったのでは?とすら思うが、考案者は唯一無二の面白い漢字をつくりたかったのかもしれない。しかしながら、料理や漢字の発案者はどうやら明らかではないらしく、そこもまた魅力的である。

この漢字だが、難しすぎて覚えられない。きっと現地の人もそうだったのだろう。中国語では日本語のように難しい漢字はひらがなやカタカナで表すといったこともできないので、メニューにはわざわざこのやばい漢字を書くしかない。そのためか、なんと絵描き歌ならぬ字書き歌がある。あるお店では字書き歌が店内に書いてあった。(和訳はなし、スミマセン)

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さて、ではこのビャンビャン麵というのはどんなものか。ズバリ麺料理である。いやいや麺といっているのだからそんなことはわかる。でも麺にもいろいろある。例えばイタリアのパスタだって多様である。よくある細長い麺やフェットチーネという平たい麺、フェットチーネよりさらに幅広なパッパルデッレ、短いペンネ。これは麺なのかという疑問は残るがラザニアもパスタの一種である。

ビャンビャン麵はというと、幅の広いもちもちした麺である。先ほどの例でいうならばパッパルデッレが近かろうか。幅広の麺というと日本人の多くが連想するのはきしめんかもしれないが、それの比ではない。麵が太い分、それなりに茹で時間はかかるし、お皿も大きいので少々驚いた。

上にのっているものはお店によるが、チンゲン菜や青菜はマストのようだ。他にも数種類の野菜やいり卵がのっていることがある。平たい麺にひき肉の入ったピリ辛のソースがよく絡む。ソースには花椒が効いていて口の中がしびれる。クセになるような麺の食感と味にあっという間に平らげてしまい、また食べたいと思ってしまう。そうして私は北京滞在中に立ち寄ったお店でビャンビャン麵を見つけるたびに、他の料理も気になりつつも注文していた。そもそも北京だったのでビャンビャン麵を出すお店自体が少なかったので、見つけると嬉しかったものだ。

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最近では日本でも食べられるようになった。カルディなどで商品化されて発売されたり、中華フードコートでも食べられる。カルディで発売されたときには、その麺の太さが話題になった。茹でる前の麺は短冊のようだし、茹でると心なしか少し膨らんで太くなったように感じる。自分で作るのは難しそう、本場の味を食べてみたいという人には池袋の食府書苑がおすすめだ。

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直近では日清食品から冷凍のビャンビャン麺が発売になった。私も買ってみたが、麺の太さがもう少し欲しいところ。ただ味はかなり再現度が高いと思う。レンジで温めるだけでおうちでビャンビャン麵が食べられるなんて最高である。

海外旅行に行きたいところの候補として、中国の西安がある。兵馬俑や歴史的建造物を見たいというのもあるが、一番の目的としては本場のビャンビャン麵を食べることだ。観光地にあるお店でもいいが、できれば現地の人が集まるようなところで。そんなことを夢見ながら今日も中国語の勉強と中華料理のリサーチに励む。

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