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Libya Updates #25: September 2020 Week 4


こんにちは🕊
今週もリビアに関する動きをまとめました。

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リビアのこれまで
40年以上続いたカダフィによる独裁体制が2011年に崩壊。新たな政府樹立を巡り、衝突が続いてきた。
現在は首都トリポリを拠点とし、国連の仲介で2016年に樹立した国民合意政府 (GNA)と、東部の都市トブルクを拠点とする政府 (HoR) が分裂している構図だ。
HoRが支持するハフタル将軍率いる勢力が2019年4月、トリポリへの侵攻を開始した。GNA側の民兵組織らが応戦し、武力衝突に発展。GNAにはトルコ、ハフタル勢力にはUAEやロシアなどがつき軍事支援などを行ってきた。
6月はじめにGNA勢力がトリポリを奪還し、ハフタル勢力は同地域より撤退。停戦へ向けた協議が進んでいるものの、現地での戦闘が続いてきた。

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1. 国内の動き

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ハフタルは18日、油田の封鎖を解く意向を表明。「テロリストの支援に使われないこと」を「条件」として提示した。

ハフタル勢力は今年1月から油田につながる港を封鎖してきた。この結果、石油・天然ガスの輸出国であったリビアではディーゼル燃料などを輸入する状態が続いていた。全土で停電が頻発しており、8月末から9月にかけて西部、東部で市民の抗議運動を引き起こした。


封鎖解除を受け23日以降、ハリガなど複数の港にタンカーが到着し、石油を積荷している様子をロイター通信などが報じている。


2. 国際社会の動き

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トルコとロシアがリビアの停戦へ向けた交渉を進めている。
トルコのチャヴシュオール外務大臣はCNNトルコのインタビューで16日、「両国が合意に近づいている」と話した。

トルコはGNA、ロシアはハフタル勢力を支持。武器や傭兵などをそれぞれの勢力に送ってきた。停戦合意に向け、これまでにも交渉を重ねている。


GNA政府のシラージュ首相が10月末までに辞任する意を表明したことを受け、トルコのエルドアン大統領は「残念」と声明を発表している。


一方、ロシアの民間軍事会社ワグナー・グループの傭兵4人がヘリコプターの墜落事故で死亡したことをGNA軍が23日に発表した。

ロシア政府はは公式にはワグナー・グループを通したリビアへの関与を認めていない。


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フランスも動きを見せている。
マクロン大統領は国連総会で22日、同国主導のもとリビアの紛争に関わる全ての当事者を集め、対話の場を設けたいという意向を示した。
詳細は明らかにしておらず、どの国を呼ぶかについても言及しなかった。

フランスはリビアの問題が「国連のもとでの対話でのみ解決される」との姿勢を維持。一方、ハフタル勢力ともつながりを持っていると考えられている。同勢力が支配下に置く東部の石油資源のほか、リビア周辺地域の安全保障を懸念していることが理由だ。

大統領は同日、緊張関係にあるトルコについても言及。同国に対して「国際法などを尊重する必要がある」と牽制したうえで「対話を行う準備ができている」と述べた。

フランスはトルコが地中海周辺地域で影響力を強めていることに懸念を示してきた。同国がリビアのGNAへ関与を続けていることについて「軍事介入を許すことはできない」と名指しで批判を続けている。


3. 新型コロナウイルス

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リビアでは24日(現地時間)時点で、累計30,097人の感染者が確認されいている。1週間の新規感染者数は5,161人1日に平均約730人以上の新規感染者が確認されている計算。
累計死者数は469名で、1週間で75名の増加。



感染者数は5月まで数十人規模で推移してきた。爆発的な感染拡大が始まったのは6月で、1週間の新規感染者数が前の週を大きく上回る状態が続いてきた。

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リビアの人口は665万人ほど。
情勢不安の続いてきたリビアでは、パンデミック以前より医療保険制度自体が弱い状態が続いてきた。感染者に対応するための病床や医療器具なども不十分だ。
4月から5月にかけては医療施設への攻撃も多発。6月以降は市民らが地雷の爆発に巻き込まれる事態が相次いでいる。


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