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🕊不正義のない世界って、なんだろう

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「構造的不正義はいかに生まれ, いかに維持されるのか. そして, 正義への責任を果たすにはどうすればいいのか.」"日常"や"社会"で立ち止まろうと思った瞬間。
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記事一覧

世界難民の日 2020: リビアの場合

こんにちは🕊 毎年6月20日は、世界難民の日。 難民の保護や援助に関する関心を高めるほか、UNHCRやNGOをはじめとした支援機関による活動を支援するため、国連により制定されている日です。 今年はリビアの難民・移民について、みなさまと一緒に考えてみようと思います。 ヘッダーはリビアの写真家、ヒバ・シャラビさんのもの。写っているのは地中海です。 難民についての基礎情報 難民とは人種、宗教、国籍や自分の持つ政治的意見などが原因で、母国にいると迫害を受ける恐れがあるため、出

新型コロナと紛争 「必要なのは資金ではなく、戦争が終わること」

こんにちは🕊 パンデミックが続くなか、紛争地や途上国など、感染に対応する能力の十分にない地域の状況を懸念する声が高まっている。 医療制度の整っている国でも感染拡大を防げない状態が続いている。後で詳しく説明するように、こうした地域の人びとは大きな困難に直面している。 だが報道を追ったり、イベントなどでいろいろな人の声を聞くなかで、感じたことがある。 これらの場所で人びとが戦っているのは、パンデミックではないのではないかということだ。 今日は筆者がカバーしているリビアのほ

7日間ブックカバーチャレンジを通して、自分が大事にしてきたことを考えてみた

こんにちは🕊 世界的に「おうち時間」が続くなか、SNSで「〜チャレンジ」と呼ばれるものを多く見かけるようになりました。 誰かから指名を受けて、お題に合わせた投稿をし、さらに他の人を指名してバトンをつなげていく、というものです。 幼少期の写真やスマートフォンのロック画面を載せるなど、お題は多様。 今回取り上げるのは、その一つである7日間ブックカバーチャレンジ。 内容は以下の通りです。 「7日間ブックカバーチャレンジ」 これは「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジ」です

おうち時間×フェアトレードのすすめ #世界フェアトレードデー

こんにちは🕊 毎年5月の第2土曜日は、世界フェアトレードデー。 世界でフェアトレードについて考えたり、盛り上げたりするための日です。 フェアトレードとは 「一般的な貿易では、発展途上国の原材料が加工された商品として先進国の消費者の手に渡るまでに大手商社や下請け企業が何重にも介在し、売上金のうち生産者の手元に入るのはごくわずかだ。多くの場合、生産者が劣悪な労働環境の中で何十時間も働いて完成した成果物を、消費者である先進国の人間が非常に安い価格で購入する、といういわゆる「アン

「新型コロナ時代」のいま、「強い人間」を起点とする世界のあり方を問い直してみる

こんにちは🕊 わたしには、ずっと好きな歌があります。 SALUのTaking a Napという曲です。 2012年の曲ですが、いまの世界の状況をよく描いていると感じます。 We all living in this world I see どこにいくのかな? Where we go? I don't know If I could know Wake up slow We all living in this world I see いつおきるのかな? Where we

新型コロナウイルス関連で自分が読んだ記事 論点ごとに整理してみた

こんにちは🕊 最近、新型コロナウイルスの感染拡大に直面するいまの世界について、周りの人たちと話すことが増えてきました。 そのなかで、いろいろなことを教えてもらったり、自分自身も記事や論文などを読む機会が増えました。 そこで、この学びを自分だけのものにするのはもったいないという思いで、今回は論点ごとに記事の一部を整理することを試みます。 新型コロナに関する論点や記事を網羅することは目的としていません。 自分含め、周りに社会科学を学んでいる人が多いことから、ピックアップして

「考え、考えるだけでなくアクションを」 イスラーム映画祭5に行ってみて

こんにちは🕊 3月15日、渋谷のユーロスペースで開催されていた「イスラーム映画祭5」へ行きました。 この日観た映画は、「ゲスト:アレッポ・トゥー・イスタンブール」。シリア第2の都市アレッポから戦火を逃れ、トルコのイスタンブールへ向かう少女らの姿を描いた作品です。 映画の後には、考古学者でありシリア紛争被災者支援プロジェクト「イブラ・ワ・ハイト」の発起人でもある、山崎やよいさんによるトークショーもありました。 この日のことをTwitterに書いたところ、リツイートやいいね

「僕の悲劇は、ほんの一例」 アジマールさんに想う、中村哲さんと日本、アフガニスタンのこと

こちらは、わたしのTwitterで昨年、最も「バズった」ツイート。 中村哲さんは、アフガニスタンで医療や水の問題に取り組むNGO「ペシャワール会」の現地代表。医師でありながら、「百の診療所より一本の用水路を」という思いで、現地で用水路の建設に乗り出した人物だ。 アフガニスタン東部のジャララバードで昨年12月、中村さんは車で移動中、何者かによる襲撃を受け、殺害された。同乗していた運転手や警備員5人も犠牲となった。 ツイートは、アルジャジーラの記事のシェアをしたもの。事件後、

「なかったこと」にされていることは、繰り返される #多摩全生園 #生産性

東京都東村山市、JR南武線の新秋津駅からバスで10分ほど。突如、森に囲まれた広大な土地が現れる。 国立療養所多磨全生園。この場所はハンセン病を療養するため、かつて全国13か所に作られた国立療養所の一つだ。 最寄りのバス停から森の周りをさらに15分ほど歩いたところに、国立ハンセン病資料館がある。ハンセン病について「正しい知識の普及啓発による偏見・差別の解消及び患者・元患者の名誉回復を図ることを目的」として、1993年、ハンセン病患者や回復者が主体となり設立された。 資料館を

2月17日。一瞬でも思いを馳せてほしいと思うことがあります

2月17日。 わたしにはこの日、みなさんに一瞬でも思いを馳せてほしいと思うことがあります。 北アフリカの国、リビアのことです。 なぜそう思うのか。なぜ2月17日なのか。 今日は、そんなことについて書いてみようと思います。 リビアのことリビアは北アフリカに位置する国。 アフリカ大陸で4番目に大きい国で、国土の9割を砂漠が占める。公用語はアラビア語。 フェニキア人から、ローマ帝国、アラブ人勢力、オスマン帝国、イタリアなど、様々な勢力に支配されてきた国。 その中で、東西南北の

わたしにとっての2019年

あけましておめでとうございます🕊 ちょうど一年ほど前、わたしにとっての2018年 という一年の振り返り記事を書きました。 今回はその2019年版。年末には間に合いませんでした。 自分自身の振り返り、そして自分にとって2019年がどのような年だったのかということを共有してみようと思います。 「休み方改革」今年の始まりは、「最悪」以外の何者でもなかった。 2018年は自分が力を入れてきたことが何もうまくいかない年だった。 わたしはいわゆる「優等生」タイプで、時間をかけてじっ

わたしを動かしてきた写真たち #国際平和デー2019

毎年9月21日は、国連の定める国際平和デー。 すべての国、すべての人々にとって共通の理想である国際平和を記念、推進していく日として(中略)呼びかけています。(中略)2002年からは、毎年9月21日を(中略)世界の停戦と非暴力の日として、すべての国と人々に、この日一日は敵対行為を停止するよう働きかけています。 わたしはここ数年、この日に合わせて自分の思いを書くということをしてきた。 これにはもちろん何か書くことで、おこがましいかもしれないが、誰かにとって平和について考えるき

それは、チュニジアのカフェでの会話から生まれた #令和のお祭り騒ぎに思うこと

「令和」が始まった。 わたしは、天皇制としての日本の植民地支配の歴史と、元号による時間の支配という観点から、(これらの文脈を考慮に入れずに)「令和」を取り上げるということ自体、ある種の暴力性をはらむものなのではないかと思っている。 そもそも、すべて神道が前提であって、多様な信条を持つ人たちが排除されているとも感じる。 だから、「平成」から「令和」という時間軸で生活することをわたしは避けてきたし、本当はこのタイミングに合わせて何か書く、ということもしたくない。 しかし、世間

「トレンドだから」、「やらないと怒られるから」ではない、サステイナブルなファッションへ #WhoMadeMyClothes

今週、4月22日から28日は、ファッションレボリューションウィーク。 2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ付近で、ビルが崩落し、少なくとも1,134人が犠牲となる事故が起こった。 そのビルの名前は、「ラナ・プラザ」ビル。 ビルの中には、誰もが名前を聞いたことあるような、世界中に展開している有名ブランドの縫製工場が入っていた。 崩落の原因の一つは、大量生産を目的として、建物が耐え得る以上の労働者が詰め込まれていたことにあった。 「私たちが安さだけを求めて買い物を