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Radio City Christmas Spectacularというエンタメ業界の必須科目に感動しました


 ちょっとした縁があってNYCに住むことになったlibroです。NYCの情報はもう無数の人々が発信しているのでいまさらいいかなと思ったのですが、「Radio City Christmas Spectacular」というすごいコンテンツに出会ってしまったので記録のためにまとめておこうと思います。


80年以上続くショウ

Radio City Christmas Spectacularは毎年、11月から翌年1月までNYCのRadio Cityで行われるショウです。初演は1933年で、今年で86年目。Radio Cityのあるエリアを作ったロックフェラー氏の肝いりで始まったそうです。目玉は「 Rockettes」とよばれる、一糸乱れぬダンスです。


 しかしですが、ダンスショーというだけではなく、オーケストラの生演奏、バレエ「くるみ割り人形」の一シーン、子供とサンタクロースの交流、ミュージカル風の冬のNYCの紹介、定番のクリスマスソング、キリスト生誕シーンと「とにかくNYCにいるならこれだけは知っておいて」というクリスマス関連のテーマがこれでもかと90分に詰め込まれています。しかもそれぞれが独立した物語なのに、つなぎがうまい。気が付いたら次のテーマに移っているのです。定番のクリスマスソングがこんなにかっこいいなんて知りませんでした。

 もともとロックフェラー氏が敬虔なクリスチャンで、その精神を伝えるためのショウだそうです。



こちらはWSJの動画です。


Radio Cityフル活用のスペクタル

 もちろんショウなので映像でもいいのですが、Radio City Christmas Spectacularのすごいのは、Radio Cityという1930年代に建てられたホールを文字通りフル活用していること。「会場にいないと得られない感動」があることを改めて実感しました。

 ステージ上だけを見ていればいいわけではないので、「目が足りない」。1回行くだけではもったいない気がします。個人的には3回席から、ステージと全体から天井まで全部見るのが気に入りました。

 あとですね、広告手法としてプロダクトプレースメントがすごーく上手でした。そう、このぐらい自然だとうれしいです。

日本にはおもてなし、NYCにはエンターテイメント


 よく「日本にはおもてなしの精神がある」といわれます。(これ、私はあまりないので実感できないのですが)このショウをみて、NYCには本当にエンターテンメントがあるのだと思わされました。ショウそのものというよりは「来た人をとにかく楽しませよう」という強迫観念にも似た感じです。


 90分に詰め込んでいるので、Spectacularはそれぞれのエンタメの好きな人にとっては物足りないと思います。でも、代わりに「クラシックは好きですか」「ジャズは?」「バレエは?」「ミュージカルは?」「NYCの街そのものはどうでしょう?」「キリスト教のお話も感動的ですよ」と畳みかけるように問いかけてくる感じです。ここには単純に鍛え抜かれたRockettesというプロの技も入ります。


 なお、米国に長い人に聞くとこれは別にエンタメだけでなく、普通の人もパーティをするとなると徹底的にテーマにあわせて飾りつけをするなどして楽しませようとするそうです。(米国にはParti Cityという文字通りパーティグッズだけを売るチェーン店があります)


 ということで、エンタメ業界の人で「人を楽しませるとはなにか」を考えている人は一度は見ておくことをお勧めします。11月に入ると氷点下になり始めるNYCですが、寒さだけでこのショウを敬遠するのはもったいないです。




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