「やりたいことをやるにはオカネが必要」とわかる『ワールドトリガー』


ワールドトリガー』(葦原大介氏)

※12月3日まで「ジャンプ+」で本編オフィシャルデータブックが一部無料です。

【あらすじ】

日本とみられる三門市を舞台に、異次元からの侵略者「近界民」と、特殊な武器で挑む組織、ボーダーとの戦いを描いたSFアクション物語。まっすぐすぎる中学生、三雲修、戦いなれした異次元からの転校生、空閑遊真と魅力的な人々が、組織内外との戦いに挑む。


マンガ度        ★★★

リアリティ度      ★★★

オカネや経済がわかる度 ★★★

【オカネポイント】


戦う組織の維持、武器の開発、遠征ーーSFバトルを描く中で、地球を守る正義の味方もオカネがないとやっていけないことを赤裸々に描いた作品です。ときには地元企業といった、組織にオカネを出してくれる息子も組織に迎え入れないといけないし、その扱いに悩むこともあるという現実すら見せてくれます。

ボーダー所属のメンバーはそれぞれが厳しい過去や思いを抱え、「侵略者をやっつけたい」「街を守りたい」「侵略者もいいやついるから、うまくやっていこう」とそれぞれの思いで活動しています。

でも、どんな「いいこと」をするのも、力とオカネと技術が必要。ボーダーの場合は収益を上げるビジネスは手がけていないので、外部のオカネを持っている人から必要な分を引き出すことが求められるのです。

その点ワートリは、唐沢克己さんという大人組がいます。オカネ周りとか、周囲との交渉が得意で、作品中では「必要ならいくらでも引き出します」という趣旨の発言が出来る人。企業など組織のCFOにいたら心強いです。

さらにいうと、こうした活動をきちんと世間に受け入れてもらうために、ボーダーは広報活動にも力を入れています。広報室がきちんとあって、嵐山隊というそこに所属する花形チームがあります。さらに、大規模な侵攻があったあとは、きちんと記者会見も開きます。そこでの広報戦略もまた見事です。人材とオカネを集めるには、広報活動は不可欠なのです。

なお、ボーダーメンバーは上位であればお給料がもらえます。敵を倒せばその分報奨金も出ます。まだ、オカネのために戦うキャラクターは出てきていませんが、街や人を守るために戦う、敵を倒すことは文字通り個人の生活を支えることにもなっているのです。

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