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徒然まとめ

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記事一覧

私たちはいつから「課金で応援する」という発想をするようになったのか?

私たちはいつから「課金で応援する」という発想をするようになったのか?

先日、「舞台 弱虫ペダル THE DAY1」を見てきました。漫画「弱虫ペダル」を原作にした舞台作品です。久々の銀河劇場。大きすぎず、そこそこ客が入るいい劇場だと改めて実感しました。席もそこそこ段がついていて1階の後ろの席でもみやすいのがうれしい。

1回目の観劇のチケットは抽選だったので2階席だったのですが、かなり前の席だったので舞台全体がすごく見やすくいい体験でした。しかし途中の演出とラストのカ

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エンタメビジネスをざっくり眺めるための『エンタメビジネス全史』というテキスト

Twitterの企画に応募したらいただけたのでエンタメ社会学者、中山淳雄氏の『エンタメビジネス全史』のレビューを書いてみます。結論から言うと、エンタメビジネスの入門書として非常に優れているので、これからエンタメビジネスに少しでもか関わろうという方は必読の1冊だと思います。エンタメビジネスを俯瞰し、これからを考えるのにいい本です。

私はエンタメ産業が大好きです。特に漫画と舞台が好きです。(この文章

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BLは北米の英語圏でどう受け入れられたのか

先日、ツイッターのSpaceを聞いていたときちょうど話題が日本のBLが海外でどう受けいられられているのかという話になりました。いちBLを楽しんでいるファンとして体験したことや見てきたことをオタクとして話したら面白がっていただいたようなので私の記録も兼ねてここにまとめておきます。

※あくまでN =1です。むしろみなさんの見聞きされたことぜひ教えて下さい

■YAOI BLは用語として定着日本の漫画

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現実が揺らす二次元の世界の力

私が好きなのは漫画や小説など二次元の世界だ。狭い視野を広げてくれる貴重なメディアで私をひきつけている。それが揺らいだのが202年の新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)だ。一瞬、現実がフィクションを超え、二次元に没頭できなくなった。しかしこのゆらぎから立ち直れたのも二次元という創作の力だった。

二次元の作り物の世界を通じて、私自分ができないことを経験し、現実社会では会えない人に出会う。

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2020年の2.5次元舞台界隈まとめ

誰に聞いても2020年は激動だったというと思いますが私の好きな2・5次元舞台も同じです。オンラインで楽しめる機会が増えたことが私はうれしかったですが、公演が中止になったりほぼ幻になってしまったりした作品があったのは悲しいです。表面化していなくても、制作が後ろ倒しになったものもあったのではないでしょうか。ということで自分のための記録のためにまとめておこうと思います。

1月は、一段の拡大の期待 ぴあ

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英語メディアは『鬼滅の刃』のヒットをどう伝えていたか

  2020年の漫画・アニメカルチャーを席巻した『鬼滅の刃』。私は英語の勉強を兼ねて英文記事を積極的に読むようにしているのですが、鬼滅の刃=Demon Slayerは2020年、英文記事にもよく登場しました。多くは新型コロナウイルスまん延の中で多くの国の映画ビジネスが苦しんでいる中での躍進を伝えるものでした。メモ代わりにまとめておこうと思います。

アニメや漫画についての英語の記事は、Anime

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『鬼滅の刃』の成功の理由が少し見える連載記事があるのでみんな読んでください

『鬼滅の刃』の成功の理由が少し見える連載記事があるのでみんな読んでください

 私が勝手に尊敬してフォローしているマンガソムリエの兎来栄寿さんという方がいらっしゃいます。私が漫画のレビューを書いてみようと思ったきっかけの方でもあるのですが、レビューだけでなくいろいろな漫画関連の記事を書かれています。その中で最近連載を終えられたのが週刊少年ジャンプのダークファンタジーの系譜をたどるもので、これを読むと『鬼滅の刃』のヒットの背景が少し見えてきます。

連載記事はこちら。

車田

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米アニメ市場でのisekai人気について

米アニメ市場でのisekai人気について

 このところ米アニメ市場でのisekaiものの人気について聞くことがあったので、自分の体験談を備忘録代わりに置いておきます。あくまで私が個人としての観測範囲なので正確性には欠けますが何かの参考になれば。

isekaiとは 私が最近isekaiの話を聞いたのは、HON.jpの毎週日曜日のブロードキャスティングと「アニメの門DUO」です。

 前者は漫画で、後者はアニメで「異世界モノ人気ですよね」と

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作品の理解を深め、ファンを広げるアニメという「二次創作」

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るった2020年。その中で漫画やアニメは自宅で楽しめる「巣ごもり消費」として注目を集めました。特に吾峠呼世晴先生の『鬼滅の刃』はメガヒット作となりました。その起爆剤となったのはアニメのヒットで、新しいファンを呼び込み結果的に原作である単行本の販売増につながりました。ただ、アニメ化されたときに原作のヒットにつながるかどうかは必ずしも保証されているわけではありません

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漫画『ハイキュー‼』が挑んだ2次元と3次元の間

バレーボールと競技スポーツの世界そのものを描ききった漫画『ハイキュー‼』が週刊少年ジャンプで最終回を迎えてからはや数か月。まだ私はハイキューのことを考えています。まだ関連ニュースが途切れないからなのですが、その中で一番びっくりしたのが、ハイキューに登場するキャラクターの実在の海外チームへの「所属」の発表です。

そうか、2次元のキャラクターでも実在のチームに所属できるんだ

ハイキューが凄かったの

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漫画『ハイキュー‼』の何がすごくて感動したのかをまとめておく

7/20、週刊少年ジャンプで『ハイキュー‼』が最終回を迎えました。私にとってはまだ舞台版が続いているのでハイキューの世界は終わっていないと思っているのですが、区切りということで長いこと漫画を読んできた人間から見てハイキューの何がすごかったかをまとめておきたいと思います。

※連載で追いかけているので最終回のネタバレあるかもしれません。あと青葉城西と梟谷高校がひいきの人が書いています。

スポーツ漫

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漫画家はパトロンが支える時代になるのか?

  すごい挑戦的なタイトルにしたのですが、「ファンティア200万ユーザー突破記念『商業・同人作家かつ大学教員』異色クリエイター田中圭一 配信トークイベント 『SNS時代のマンガとは?』」というオンラインイベントに参加した感想です。漫画家がダイレクトに読者とつながり、マネタイズのできる仕組みができつつあると聞き、私がアートやカルチャーを考えるうえで出発点になった『芸術のパトロンたち』(高階 秀爾著)

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『ハイキュー‼』の表紙の変遷が面白い

 漫画『ハイキュー‼』について、私は物語や表現はもちろん、表紙の変遷を楽しく追っています。ちょっと最近「1日1巻レビュー」ということで読み直していたら表紙の変化が面白かったのでメモ代わりにまとめておきます。

最初の単独キャラクターは3巻の西谷夕 ハイキューの表紙は、その単行本に掲載されたエピソードの印象的なキャラクター・チームをうまく登場させています。通常ジャンプの単行本は主人公など重要キャラク

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『ハイキュー‼』をほぼ全巻レビューしてみる

 ある漫画好きの方が「『ハイキュー‼』を1日1巻ずつレビューする」というのをやられていて、面白そうなので私も挑戦してみることにしました。レビューというより「過去に読んだ感想と今から振り返ったとき」的な感じになりそう。

1巻 スポーツとはメディアを通じて出会う時代に 主な物語の主軸である、日向翔陽と影山飛雄の出会いの場面です。名前の対称性はいろいろなところで指摘されていますが面白いのは2人の中学時

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