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こぎゃん別れ方をするためにお前と付き合ったんじゃねえ

読み始めたきっかけは何だったか今ではもう覚えていないほど前に読み始めた漫画。わたしの青春のバイブルは「砂時計」です。

小学校の時はハマりすぎて自分の好きなセリフを書き出しては、毎日のように役になりきって読み上げた。失恋したときには10冊もある全巻を読み返して泣きじゃくったり、この気持ちを共感したくて付き合っていた彼に貸したりもした。彼に貸したまま返ってきてないそれは、余計にわたしの青春のバイブルで、いつかきっと返ってくるなんて希望も込み込みで思い出いっぱいだった。そして1年ほど前、やっぱり近くに置いておきたくて、当時小さい部屋にもかかわらず文庫本の少し分厚い5冊を買い揃えてしまった。

これは、いつか書きたかった人生の話。

杏になりたいと思ってた

主人公は杏。東京生まれの杏が両親の離婚を機に母の故郷・島根に引っ越すところから始まる。東京は人に冷たい。誰も人のことなんか気にしてないし見ていない。逆に島根の田舎では嫌というほど人との関係が深い。それは時として安心にもなれば、時として苦しくもなる。
近所に住む同い年の大悟・藤くん・椎香ちゃんと出会い、もがきながら共に生きていくストーリー。

どこに共感したかわからない。けれども、杏が一生懸命に生きていくすべてがわたしの人生になぜか深く突き刺さった。内容的には、かなりセンシティブな部分が多いと思う。自殺、離婚、婚約破棄、浮気、不倫、自殺未遂、遠距離恋愛、家出、四角関係、家柄・・・

改めて書き出すと、すごいなと思うリアルで壮絶な人生の物語。一緒に落ちてゆくこと、それを許せない自分、安心と不安の狭間。自分の感情から逃げだしたいと思うこと。本当はお互い大好きなのに、簡単に関係を築けないもどかしさ。

この感情知ってるー。

そう幾度となく思っていた。
何より、「こぎゃん別れ方をするためにお前と付き合ったんじゃねえ」と叫ぶ大悟の言葉がずっと離れないのはなんでだろう。

家族という大きな傷を負った杏だった。怖いくらいにいつでも真っ直ぐな大悟だった。田舎が嫌いなお坊ちゃまの藤くんだった。お屋敷の中でおてんばな椎香ちゃんだった。みんないつからか大人になる。そして、必ず幸せになる。ただ、それぞれの幸せな未来は、きっと自分自身で、自分を幸せにすると選ぶことなのかもしれない。

そんなことをこの漫画から学んだ。

好きだった人

私は2年間本気で恋をした人がいた。別れて5年が経つ。今でも、彼の優しさに、強さに、寛大さに、弱さに、好きだったあの時の感情が爆発しそうになることがある。彼は言った「優奈には敵わない」と。自信がなかった時幾度となく救われた。そして、彼は言った「逃げるな」と。家族から逃げちゃいけない。その時欲しい言葉とは真逆の、強い言葉にきっと何度も救われてきた。わたしはきっと今でも彼には敵わない。

彼と別れてからというものの、わたしの人生は良い意味でも、そして悪い意味でも大きく動いた。大学を休学した。イベントを頓挫させた。憧れの居酒屋で本気でアルバイトをした。友達に「バカだ」と言われるような、恋愛とも言えないようなひどい日々も経験した。大学を辞めた。夜の仕事もした。そして、移住をした。きっと、あのまま彼と一緒にいたら経験しなかった多くのことを、彼と過ごすだけじゃ知らなかったことを、この5年間でたくさん得た。

もう、「また、いつか」なんて、無い可能性に期待することはない。けれど、あの時にもらった、わたしの強さを、今でも信じていられるのは、それほど彼のことを信じていたからなんだと思える。

忘れたくて、前に進みたくて、毎日のように考えていた日々だった。それが毎日自分を苦しめていることも、知っていたし、そんな罰を自分が受けるべきだとも思ってた時があった。ソウルメイトだとも思ったほどの彼はもういないけど、どこかで幸せに過ごしていると信じていたい。そして、彼に寄りかかっていたわたしの弱さを許してあげたい。
だけど、自分でしか自分のことを幸せにすることはできないから、自分で自分を幸せにすると決めることから始める。

隣で幸せそうに笑ってるだけで十分なんだけど自信ない?

好きな漫画とかアニメに人生を大きく動かされることがある。私は小学生の時にこの漫画に出会ってきっと大きく恋愛感を動かされた。それは、大きな理想も、悲しい現実も、あるかもしれない苦しさも全部、経験しうると思ってることなのかもしれない。

悲しさは十分すぎるほどに経験した、と思う。親の離婚、浮気、不倫、家出、同棲解消、きっともう、笑ってるだけで幸せにできるような日々を手にさせてよとついつい他人軸になりかける。そうじゃない。「砂時計」から学んだのは、私は私で幸せになるんだということ。日々言い聞かせる。私が私を幸せにする。

なんだか一生懸命に生きているんじゃないかと思えるから、今日も一生懸命、馬鹿みたいに真っ直ぐ前を向こう。

#わたしの好きな漫画

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