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色々な意味で怖い夢を見たので書き記しておく

 色々な意味で怖い夢を見たので、書き記しておく。

 夢の中で私はとある知り合いにばったり会い、そう言えば彼女と一緒にとあるイベントをやることになっているのを思い出す。
 イベントまであと30分なので、二人で自転車に乗ってイベント会場と思われるところへに辿り着く。途中で急な斜面があったが、頑張って自転車を漕いで登った。
 でも会場に着くと、私はふと気付いた。今は朝10時半ころだけど、イベントは夜のはずでは? あと20時間もあるはずだけどイベント会場に着いて何をするつもりだろう?

 そこでスマホを取り出して予定を確認したら、朝11時から編集者Mとの打ち合わせ、12時から編集者Mも同席する取材が入っていることに気付いた。 これは遅刻必至。急いで一度編集者Mに電話をし、謝った。

 しかし打ち合わせに出かけようと思った時、何故か前の瞬間まだ手に持っていたスマホがどこかへ消えていて、思い出すと他のどこかに置いてきたのを思い出した。他に大事なもの(コートとか)も持っていないし、スマホとは別のところに置いてあるので、回収しに行かないといけない。でもスマホもコートも、どこに置いたかはっきりは思い出せない。
 で、あちこち駆け回っているうちに時間がまた経ち、途中で一度何故か編集者K(全く別の編集者なのに)から電話が入り、遅刻に気付いたのならもっとやはく行動した方がいい、と怒られた。その時はスマホはまだ回収していないので、何か小さなプラスチック製の、ダイヤルしかない端末で通話した。
 その端末で私からもう一度編集者Mに電話をした。編集者Mは冷やかな口調で、もう結構待ってるんだけど、と言った。その時私は、取材は12時からだけど、今はまだ11時20分頃、急げばまだ少ししか遅刻せずに済む。そう伝えて安堵した矢先に、「いや、打ち合わせは11時からなんだけど」と言われ、そう言えばそうだったと思い出し、また謝る羽目になった。

 またどれくらい外出アイテムを探して駆け回ったかはっきりしないが、やっとスマホも何もかも揃った。それからバスに乗って、打ち合わせと取材の場所であるカフェに向かった。バス1本、30分で行ける距離だったはず。やっとバスに乗った私は安堵した。

 しかしここで何故かまた眠りについて、気付いたらもう14時半ごろになっていた。バスの車内放送で、今は台南某所だと言っている。感情のない冷やかな機械音で放送している。私はひやっとした。どうやら眠っている間にバスは台北から台南まで走ってきたらしい。そして打ち合わせと取材の場所は東京ではなく台北だったみたい。

 これは何かの間違いだ、と私は思った。きっと私の聞き間違いか、「台南」という地名が台北にもあるのだ、と私は思った。

 私はgoogle mapのGPSで自分の所在地を調べようと思い、スマホを取り出そうとしたが、何故か手こずってしまった。そうしているうちにバスがまたバス停から発車しようとしている。次にどこまで連れていかれるか分からない。私は焦り、バスの運転手に大声で、
「ここは台南なの?」
 と中国語で訊いた。
 バスの運転手はむっつりと、
「そうだよ」
 と呟くように答えた。

 私はやっとスマホをカバンから取り出すことに成功し、google mapを開くと確かに青い点が台南の場所にある。間違いなく、本当に台南に来てしまったのだ、と私はやっと観念した。

 急いでバスを降り(運賃を請求されていない。そしてバスは日本式の、左側から降りるやつだった)、どこかの騎樓(台湾の建築で、2階部分がせり出し、1階が陽射しや雨を凌げる歩道になっている)に入って、慌てて編集者Mに連絡しようとLINEを開いた。しかしこの時私は緊張しすぎて、指が震えていて字を打つのもままならず、編集者Mを友達リストから検索するのに時間がかかった。

 その時、女の子の3人組(女子高生みたい)が私に話しかけてきた。どうやら私の本を読んだ読者らしい。しかし今は全然それどころじゃない!
「待って、今、ちょっと待って」と私は息を切らしながら彼女たちに言った。そして編集者Mの名前を入力して、やっと検索することに成功した。

 チャット窓には、彼からのメッセージ「遅刻70分」が表示されていて、それ以降新しいメッセージがない。これくらい遅刻しているのだから、恐らく諦めて編集部に戻ったのだろう。そう思いながら、私はLINEで彼に電話をした。出てきた彼は相変わらず不愛想な口調で「はい?」と言った。

「本当に申し訳ありません、でもちょっと聞いてほしいんです、私はあまり調子が良くなくて、バスに乗ったら眠っていて、何故か台南まで来ちゃったんです」
 ここまでぶっ飛んだ話を聞くと、編集者Mでも怒りより可笑しさの方が勝るだろうと私は思いながら、話を続けた。「元々朝に弱いんです。普段は午後まで寝るのが普通なので……すみません」

 一生懸命謝っているのに、しかし息を切らしているせいか、何故か喉がからからで全然声が出なかった。私は精一杯声を出そうと力んだが、全ての文において最初の音節だけ辛うじて声になっていて、あとは全て空しい空気の流れになっていた。これでは伝わっているのか伝わっていないのか分からず、私の焦りがますます強くなっていった。

 ここで夢が薄れていき、リアルの私は目が覚めた。

 確かに空気が乾燥しているせいか喉がからからだった。試しに声を出してみた。声はちゃんと出る。良かった。スマホを手に取って時間を確認した。朝10半。
 普段なら二度寝するはずだが、この夢を忘れたくないので、私は起き上がり、パソコンの前に座り、1時間かけてこの夢を文章化した。書き終わった今は、朝の11時40分。
 幸い、今日は打ち合わせも取材も、何も入っていない。私が完全に支配できる一日なのだ。ひとまず、二度寝することとしよう。

あとがき:
 まさか時間に追われる会社員を辞めたのに、まだこんな時間に追われるような夢を見るとは、考えてみれば滑稽なことである。あるいは3月と4月の仕事量がありがたいことにかなり増えたので、こんな夢を見たのかもしれない。
 因みに、普通は午後まで寝るというのは本当のことだけど、何か用事があれば午前でもちゃんと起きます。辛いけど起きます。起きたくないけど起きます。私は打ち合わせに遅刻したことも、原稿の締め切りに遅れたことも(ほぼ)なかった優良な作家なので、安心して原稿をご依頼ください。

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作家、日中翻訳者。台湾出身。新刊『五つ数えれば三日月が』→http://amzn.to/2XCEumG。群像新人賞優秀作。芥川賞、野間新人賞候補。 公式サイト→http://likotomi.com
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