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[食べて歴史を考えよう]チェー=茶?おもてなしの心が育んだベトナムの国民的デザート「チェー」

ベトナムのプリン「バインフラン」に続き、国民的デザート「チェー」について。
食べ歩いていると「え?これもチェー?あれもチェー?」とデザートの名前にどれもこれもチェーの呼び名が付くのを不思議に思い食べて・調べてを楽しみました。
ハノイの街を歩くと、道端のチェーのお店には地元の女性が6人〜8人とか大勢集まって女子会さながらおしゃべりに興じて楽しそうにしています。そんな、日常に根付くローカルデザートです。

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↑色とりどりのアオザイ
しかし地元っ子ではない…

◎はじめに(チェーってなに?)

・チェー/Chè(日本ではよく、ベトナムにおけるぜんざいやあんみつのようなもの。と説明されています。)

チェーは、どこか他国の影響ではない、ベトナムのオリジナルデザート。
あくまでジャンルの名前で(かき氷やアイスクリームのような)チェー〇〇と素材の名前がついて、どんなチェーであるかが分かります。
チェーは固形物(豆・穀類・芋・寒天・フルーツなど)に液体(煮汁・牛乳・ココナッツミルクなど)と甘味を入れて煮て作る、と解釈しているのですが、ホットもアイスもあり、広義で多彩なんです。

◎チェーにはどんなものがある?

実際にわたしが食べたチェーが3種類あります。①家庭の素朴なチェー

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民泊で食べた食事のデザートで出してもらったもの。緑豆を主体としたぜんざいのような素朴な味わいで温かいままいただく

②カフェのおしゃれなチェー

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ハノイのLutulataというお店のもの温かいスイートポテトのような餡の上に寒天・タピオカ・フルーツ等が乗り、氷をかけていただく

③ローカルデザート店の異色の?チェー 

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ハノイのMinci pudding のチェーマンゴー。これはもはやマンゴープリン。むっちりとしたマンゴープリンには刻んだマンゴーがたっぷり。ミルクをかけていただきます。

オーソドックスで昔ながらのものが、暑い季節に冷やして食べるようになり、かわいく進化したものが、寒天を入れる変化球がと思います。
北部で温かいものが定着し、南下するにつれ(=時代とともに可能になって)冷たいデザートのような華やかなチェーも出てきたようです。かき氷を入れて食べるものは自ずと近代できたものだと想像に易く。

◎チェーの起源・由来って?

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一説によれば「チェーは、主に仏教の年中行事(お釈迦さまのお誕生日など)の際に、他の土地から来たお客様をお茶と共にもてなす為に、地場の素材を使って作ったデザート」がはじまりなのだそう。
チェー/Chè=茶のことでもあるので、名前と由来に納得します。
チェーのベーシックなものは「豆」であり、豆を甘くする文化は東アジア・東南アジア特有のものであります。(やはり中国伝来かしら。)
家事の合間に家にある乾物を戻したり、果物を切ってサッと甘味と煮て煮汁ごと食べる。もし変化をつけたければ、寒天を入れればゼリー状になる。
そう思うと作る労力としてはあまり重いものではなく、自由に多彩にできます。もてなしで食べたチェーがおいしく、自分もだれかにもてなそう!という仏教徒のあたたかな心によって全土にじわじわ広がって今に至っているのかもしれません。

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