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もう存在しなくていいんだよ。おつかれさま、こっちの宇宙。

こんにちは、あなた。

僕らがLassLosで旅に出てから、気の遠くなるような時間が過ぎました。
そちらの宇宙ではまだ、それほど時間は経っていないような気がしますが、お変わりありませんか?

先日のお便りで「何か見つけたらお届けしますね」って言ってたもの。
さっそく見つかったので、今、こうしてお便りを書いています。

よかったら、受け取ってくださいね。

架空宇宙にあって、こっちの宇宙にないもの

架空宇宙を旅しているとき、僕らが目を向けているのは「架空宇宙にしかないもの」、もしくは「こっちの宇宙にあって、架空宇宙にはないもの」。

こっちの宇宙では当たり前すぎて、疑う余地すらないもの。
何とかしようとすることさえ、端からあきらめてしまっているもの。

それらが想像もしなかったカタチで実現されている状態。

そうしたものたちをLassLosで、こっちの宇宙に持って来れたらいいな。
そんな思いで、架空宇宙を見渡しています。

そうした態度で、架空宇宙から偶然見つけたもの。
それが「存在」です。

よくわからないかもしれないので、もう少し説明しますね。

存在から逃れる方法はない

こっちの宇宙では、「存在すること」が大前提になっています。

あなたは存在しています。
あなたの大切な人も、あなたの家も、あなたの仕事も、あなたの街も、あなたの国も、あなたの星も。すべては存在しています。

それらを存在しない状態にするとしたら?

あなたがこの世を去る以外に、方法はありません。
大切な人の息の根を止め、家を潰し、仕事をなくし、街や国を崩壊させ、星を破壊する。そうする以外に、存在しない状態を選ぶことはできません。

こっちの宇宙のやり方では、どこまで行っても存在からは逃れられない。
LassLosの中で、それにふと、気づいてしまったんです。

存在してしまう悲しさ、切なさ、やるせなさ

こっちの宇宙では、僕らは存在することから逃れられない。
そのことを思った瞬間、湧き上がってきた思いがありました。

なぜ僕らをこの宇宙に存在させた?
僕らは存在したいわけじゃなかった。

存在することへの絶望感。
自らの意図にかかわらず、存在してしまう悲しさ、切なさ、やるせなさ。
それらが、重く重く、胸の中へと沈んでいきました。

存在することをよしとするために、存在してしまうことを自分に納得させるために、存在を肯定するための何かをつくり出そうとする。
存在してしまうから、その枠の中で何かしようとしてしまう。

本当はそんなこと、しなくていいのに。

存在しないことを選ぶには、こっちの宇宙だと消えるしかないから。
消えることを選択するのは、よくないことだから。

なぜ僕らをこの宇宙に存在させた?

心の中で絶望しながら、存在を肯定するための営みを続けている。

本当は苦しいのに、本当はやりたくもないのに。
こんなことしても何の意味もないとわかっているのに。

大切な人を喜ばせるために。
どこかの誰かの役に立つために。
立派な人だと認められるために。
この世界で生き抜いていくために。
自分自身がしあわせになるために。

そんな大義名分を必死につくり出し、存在してしまう絶望に目を伏せる。
それが、こっちの宇宙のルール。

本当は存在したくなかった。
もうこれ以上存在していたくない。
存在し続けることを頑張れなくなった。
存在することに疲れちゃった。

こっちの宇宙に渦巻くそんな思いに、押しつぶされそうになりました。

おつかれさま。もう存在しなくていいんだよ

でも今、僕らがいるのは架空宇宙。
LassLosに乗って架空宇宙を旅する限り、僕らはこっちの宇宙のルールを採用する必要はありません。

胸が詰まるようなこっちの宇宙の重苦しさに、僕らは話しかけました。

今まで本当におつかれさま。
疲れちゃったね? クタクタだよね。

もう、存在しなくていいんだよ。

こっちの宇宙も、こっちの宇宙にいる存在たちも。
みんなみんな、今まで本当におつかれさま。
ビッグバンから今の今まで、僕らは本当に頑張ったよね。

存在したくてしたわけでもないのに。
一生懸命、存在意義を探し求めて。
それらの正しさを必死に主張して。
存在することを肯定するために、僕らは本当に頑張ってきたよね。

でももう、存在しなくていいんだよ。

今までおつかれさま。こっちの宇宙。
僕らはその先を、架空宇宙で見つけてくるね。


今回見つけたのは、こんな感じのこと。
ほんの少しでも、何か伝わっていたらうれしいなあ。

また何か見つけたら、届けに来ます。

それまでどうか、お元気で。
それじゃ、またね!

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