『あなたは、なぜ、つながれないのか:ラポールと身体知』

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7章【9】 悪口のリスク

愚痴っぽく、内省しない状態だと他人からコントロールされるリスクがある。それは、簡単に自分の周囲の人の悪口を他人に言ってしまうからだ。

 他人からの信用を失うのは簡単だ。「あなたのことをあの人が悪く言っていた」と第三者から直接本人に伝えられるだけで失ってしまう。悪く言われた相手は、疑いを抱き、心を開き難くなる。

 こちらをコントロールしようとしている人間は、周囲に対する悪口を引き出そうとする。そ

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7章【8】 観察力は自らの動きを知ることで鍛えられる

〝自分に対する観察力がある〟とは、〝観察が抜けたところが少ない〟ということである。

 誰にも、いくつもの抜けているところがある。人間が一日の中でやることにはそんなにたくさんのバリエーションはない。朝起きてからの歯の磨き方、シャワーの浴び方を毎日工夫する人は少ない。また、それと同じように他人と話しているときの相槌の打ち方を毎回変えようとする人も少ない。毎回同じ相槌を打っているなぁとも思わないかもし

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7章【7】 他人を前にして自分の欲に没頭したら危険な理由

人を騙そうとしたり、自分の都合の良いように相手を持って行こうとしたりするときには必ずその人の欲が表れる。欲が表れたときには、身体が緊張して、声のトーンも変わる。内容ではなく、相手の身体や動作の変化に、同調しながら意識を向けていると、そういう相手の欲が見えるようになる。

 もし話の内容から嘘を見抜こうとすると、その話の内容に没入して、相手のそうした身体的な違和感を捉えることができなくなる。頭の中で

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7章【6】 依存される方法とされない方法

相手に内省する力を伸ばしてもらうことと、依存させることの決定的な違いは、答えを与えるかどうかというところである。

相手が悩みを話してきたとしても、「こうすればよい」と答えを与えず、また自己嫌悪となるような指摘もせず、ただその人が自分で話し、自分で考えたいように考える手助けをするだけに留めると、相手に内省をしてもらえる。

 うまくいったときには、相手は、

「なんだかわからないけどやれそうだ」

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7章【5】 「周りが悪い」か、「自分に改善するところがある」か

依存させることとは、相手の自己責任能力、内省する力を奪うことである。

 自分の悩みに対して、相手がただ、

「そうなんだ」

 と感情的なワードを入れずに返してきたら、ただその出来事があったのだということで、その後は自分の好きなように内省できる。

 相手が

「それは酷いね」

 とか、

「それは相手が悪いよ」

 と言ってきたらどうだろうか。弱っているときにはこの人は自分の気持ちを分かって

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7章【4】 話の方向性を誘導する

ちょっとした返事ですらも、他人の話の方向性を誘導することができる。

 その誘導に気づくには、相手よりも細かい感覚が必要になる。粗ければ、知らない間に洗脳されている。自分が言っていない感情や価値観を返事の中にすっと入れられている。

 悩みを話した後に、

「それは悲しいね」

 とか

「それは悔しいね」

 とか、そのような返しをするだけで、言われた相手は悲しさや悔しさを、自分の中に起こったこ

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7章【3】 騙す、洗脳する、依存させることにある寂しさ

騙す人は寂しい。

 他人を欺き、自分の思い通りに動かすことで、自分自身の価値を確かめている。これは特別なことではない。誰かに何かを伝えるときには、常にその危険性と隣り合わせである。伝える人が伝える相手に対して、「自分の言っていることを信じ、自分のことを認めて欲しい」と思ったときに、その状況は現れる。

 また、伝えられる人が「信じさせて欲しい、こうすれば大丈夫だと言って欲しい」と思ったときにも、

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7章【2】 信じ込んでみること

誰かから何かを学ぶときには信じ込んでみる必要がある。疑いながらだと、教えてもらってもなかなか理解ができない。理解したと思い込んでも、それは頭で理解しただけで、教えてくれた人の感覚が分からない。だから、教わるときは誰よりも騙されやすい人間になろうとする。恐る恐る、それが正しいのかどうかを確認しながら学ぶようなことはしない。

 教えてくれる人に同調して、その人がどのような感覚でその技術を行っているの

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7章【1】 路上販売の天才

僕は人を騙す人が嫌いではない。スカウトをしていたときに、すぐ近くで化粧品の路上販売をしている人がいた。恐らく五〇歳は過ぎているベテランだ。周りで声をかけている人もその人には頭が上がらないという様子だ。挨拶をすると、「今日も頑張ろうね。僕も近くで君がやっているのを見たら頑張れるからさ」

 といつも言ってくれた。

 その人は、

「ちょっと君!」

 と大きな声で通行人に声を掛ける。声をかけられた

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1章【3】 環境から影響を受け、影響を与えてもいる自分に気づく

ある状況で同じような反応を無意識にくり返すことで、その反応は強化されていく。誰にでも会話の癖がある。その癖が反応だ。癖で動いているとき、人は目の前のものも自分の感情も十分に感じてはいない。そのような癖で自分の対人関係が構成されていくと、徐々に自分の感情を感じることから遠ざかっていく。

 いつも行くカフェに不貞腐れた顔をしてレジ打ちをしている女の子がいる。

 彼女は他のバイト同士が仲良くお喋りを

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