いまさら聞けないアップサンプリングのはなし

毎度ざっくりした、触りの部分だけの話です。

オーディオに触れていれば、サンプリングレートやアップサンプリングという言葉を聞いたことがある人も多いかと思います。
サンプリング周波数やビットレート 〜kHzで〜bitとかいうやつですね。
一体これが何を表すのかというのは、検索すれば山ほど出てくるのでここでは割愛します。
基本的に数値が大きければ大きいほど、多くの情報を再現できるので音質は良くなると考えて大丈夫です。

CDの音質は16bitの44.1kHz
MP3は32〜320kbps 32kHz〜48kHz
これをみると、音の滑らかさはmp3のほうが上で、ダイナミックレンジはCDのほうがいいのかな となります。

世に多く出ているスタジオ録音のハイレゾ音源は
24bit 96kHz
が多いでしょう

アップサンプリングというのは、このサンプリングレートをコンピュータ等で192kHz 384kHzと整数倍していくことです。
最近は再生ソフトやプレーヤーにこういう機能がついてることが多いですが、、これって結局どういうこと?音は良くなるの?

無い音が湧いて出てくるわけではない

至極当然のことなんですが、アップサンプリングをしてサンプリングレートを2倍、4倍、、としたところで、元の音源に無い音が湧いてくるわけではありません。
また、帯域が補完されるわけでもありません。
たまに圧縮音源だと何Hz以上の高音がうんたらという話がありますが、サンプリングレートのkHzというのは1秒間に何回サンプリングするかという話ですので、録音されている音の高い低いを表すHzとはたまたま同じ単位になっただけで、分けて考えるべきです。
アップサンプリングしたからカットされてた20kHz以上の帯域の音が出るぜ〜とはなりません。

一般的なDAチップの内部処理

これに関しては詳細は各社企業秘密で、あくまで素人である私が知っている、ごくごくベーシックな部分に限ります。

現在の殆どのDACチップは、入力されたデータをまず8倍までオーバーサンプリングして32bitの352.8khz(周辺)にするものが多いです(内部プロセスや詳細な数値は当然各社違いますし秘密です)。
その後⊿Σ変調を行い1Bitの2.8Mhzか5.6Mhzあたりの信号に置き換え、ローパスフィルターを通したあとアンプ回路に送ります。

一般的に、例えばノイズの混入した音声データは、8倍オーバーサンプリングをすれば単純にノイズは1/8になるはずです。
このあたりのオーバーサンプリングの精度がDAの音質に関わっており、わざわざ専用ハードを用意する所以でもあります。
当然の話ですが、質のいい音源を用意するに越したことはありません。

じゃあプレーヤーについてるアップサンプリングを使う必要はあるの?という話ですが、その辺りは各々の環境で変わってくる所ですので、実際試してご自身の耳で判断するしかありません。
重要なのは、音の好みは必ずしも音質と比例しないという事です。誰もがよりクリアで正確な音が好きなのであれば、レコードや真空管パワーアンプはとうの昔に消滅し、録音エンジニアがビンテージのマイクプリやコンソールを使うことはないでしょう。ですが現実では、伝説のビンテージコンソールやコンプレッサーのシュミレートDSPが開発されるほどです。若干の歪み率がある音のほうが好みという人は非常に多いです。

因みに蛇足ですが、PCとDACを接続した際のサンプリングレートの設定等は、windowsの共有設定は使わず、可能であればASIOを使用しドライバ側か、WASAPIを使用しプレーヤー側で設定しましょう。
わざわざサンプリングレートにまで気を使うのであれば、windows audioのカーネルミキサーをバイパスしてしまうほうが良いでしょう(実際問題としてWindows audioが悪さをするのは、DTM等でバッファサイズを小さくしたい場合や、複数入力を行う場合くらいですが)。

世の音源の殆どは1Bitにも満たない狭いダイナミックレンジです(アナログに近いと言われるDSDは1Bitです)し、ビット深度やサンプリングレートがいくつ以上じゃないとだめ、、!とは思わず、色々試してほしいと思います。
今現在、新規に音源を購入するならわざわざ圧縮音源を買うことはないでしょうが、昔買ったmp3でも、改めて聞くとそんなに悪くなかったりします。

ちなみにmp3最大の弱点はダイナミックレンジの狭さですが、2010年代前半の楽曲では特に、音の大きさをできるだけ揃えてみっちり音圧を上げるMixが流行っていたので、意外と気にならなかったりします。
このようにミックスやマスタリングの処理でも印象は変わってくる部分なので、数値だけをあんまり気にすることなく、手持ちの環境でいろいろ試して自分の好みを探してみましょう。
ダイナミックレンジはイヤホンやヘッドホンを選ぶ上でも重要になってくる部分だと思うので、自分の好みを理論的に捉えることができるようになると、今後のお買い物の助けにもなるかなと思います。

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