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先が見えない世界を愛する――俳優・平方元基が語る、 ミュージカルに没頭してきた10年

2021年11月、ミュージカル俳優として10年間活動してきた足跡を綴るアルバム『PROOF』をリリースした平方元基

2022年5月には、東京国際フォーラムホールCにて、アニバーサリーライブ『PROOF』を開催する。
福岡から単身上京し、目の前の仕事に必死で取り組み続けた彼が挑む、これまでの足跡を辿る時間。
“ライブ『PROOF』こそリスタート”と語る、平方元基の奔放な生き方に迫る。

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■観に来てくださるお客さまがいたから、10年やってこられた

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予想できないことを楽しむ。
平方元基の俳優人生を追いかけていくと、そんな言葉に辿り着く。福岡から上京し、TVドラマの俳優としてデビューを果たした彼は、ほどなくしてミュージカルの世界へ。
いわゆる音楽教育を受けてきたわけではない平方にとって、表現能力のみならず、歌唱力など技術も問われるミュージカルの世界は、ある意味でとても厳しいものであっただろう。
それでも、彼は舞台に立つことを辞めなかった。

「今のような活動をしているなんて、俳優になった頃はまったく予想していなかったですね。僕は人生で一番いろんなことが起きると言われている20代後半から30代にかけて、ミュージカルを10年続けてきたわけです。ふとしたときに、“どうして続けてこられたのだろう”と考えることもあるのですが、やっぱり観に来てくださるお客さまがいたからでした。ずっと居てもいいよ、と言われることなんてないこの世界で、居て欲しい、と励ましてくれるのは結局お客さまだけなんです。
あとは、毎回、その舞台に翻弄されていることが大きいかもしれません。
それくらい、ミュージカルといえど様々なタイプの作品に携わらせてもらいました」


■役ではなく、ありのままの自分で取り組むステージに

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そんな平方が新たに挑むのが、ミュージカルデビュー10周年を記念して開催されるアニバーサリーライブ『PROOF』だ。
昨年11月にリリースされたミュージカルアルバム『PROOF』に収録されている楽曲を、“平方元基”本人としてパフォーマンスする初めてのステージとなる。
「ロミオ&ジュリエット」、「マイ・フェア・レディ」、「サンセット大通り」といった名の知れた作品から、初主演作となった「メリリー・ウィー・ロール・アロング」の楽曲まで。
平方がこの10年、懸命に歩んできた証拠=PROOFを、これまで支えてきてくれたお客さんの前で披露する、エモーショナルなステージとなるだろう。

「今回のコンサートは自分の名前でやるものなので、楽曲やその世界に対して、役ではなくありのままの自分で向き合うステージにしたいと思っています。コロナ禍になったことで、舞台に来てくださるお客さまはもちろん、足を運べなくても応援してくださるお客さまへの想いはより一層強くなりましたし、その感謝の気持ちを込めてステージに立てればと思っています。
ライブで皆さまと同じ時間を共有することも、その証明=PROOFになるようにしたいです」


■ソファに身を沈めてリラックス。部屋の模様替えで気分転換

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現在は、初の単独主演作となる舞台「THE 39 STEPS(ザ・サーティー・ナイン・ステップス)」の稽古中であり、多忙な日々を送る平方。
舞台から舞台へ、この10年は絶え間なく渡り歩く日々であり、心から休まる時間はそれほど多くなかったはずだ。
たまたまそれが本人の性格には合っていたようだが、それでもON/OFFの切り替えや気分転換は意識的に行っている。

「家にいても、いろいろ仕事のこととか考えちゃう性分なんです。だから、ソファに身を沈めている時間だけは、敢えて何も考えないようにして過ごしています。あと、良い気分転換になるのは部屋の模様替えですね。“今からはじめたらその日中には終わらないよな”っていう時間帯から家具を買いにいって、組み立てたらそこで終了、みたいな(笑)。
この前も、いろんなタイプの電球があるお店にいって、間接照明用の電球をバァーって取り付けたら、部屋が虫小屋みたいになっちゃいました(笑)。
しばらくそれで過ごしていたんですけど、さすがに気持ち悪くなって変えました。
でも、模様替えは部屋の隅にあるホコリも掃除できますし、良いことだらけですね(笑)」

そんな平方にとって本当の“休暇”は、部屋で身体を休めることではなく、旅に出ることだという。

「コロナ禍になる前までは、舞台が終わって次の作品がはじまるまでの間、遠出するのがひとつの息抜きでした。今でも目標は世界一周です。しかも目的地を決めないような……。
以前も一ヶ月くらい旅に出たとき、泊まるところも特に決めないままで行きました。そういう先の見えない生き方が性に合うんですよ。ちなみに今は旅に出られないので、旅チャンネルで我慢しています(笑)」

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■旅とミュージカル。どちらも先が見えないことへの興味

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異文化に飛び込むこと、そして自分の知らない世界へと身を置くこと。
平方はそこに生きる喜びを感じていると言えるだろう。
もしかすると、ミュージカルという世界で10年間やってこられたのも、そうした先の読めない仕事だったことが大きいのかも知れない。

「確かにお芝居への興味は尽きていないし、まだまだ知りたいことだらけですね。
むしろ、そういう興味が薄れてしまったら辛いと思いますね。
僕はどちらかと言えば仕事よりも、楽しく生きることを優先するタイプなのですが、ミュージカルの俳優という仕事は、後悔がないところまでやっていきたいと思っています」

ミュージカルや芝居への飽くなき興味とそれをプレイヤーとして演じる欲求。
それが平方元基の俳優活動における大きな推進力となっている。そんな彼が見据える未来は、5月のライブでも示されるはずだ。

「今度のライブは、僕にとって、10年間活動してきたことへのけじめと、リスタートの意味が込められています。それが、観に来てくださったお客さまの心にずっと残る、大切な思い出になると嬉しいです」

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【作品詳細】

【プロフィール】
平方 元基(ひらかた げんき)
1985年12月1日生まれ、福岡県出身。
日本テレビ系連続ドラマ『スクラップ・ティーチャー~教師再生~』などに出演後、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』でミュージカルデビュー。その後、数々のミュージカルに出演。
主な出演作品に、『エリザベート』『マイ・フェア・レディ』『サンセット大通り』『王家の紋章』『キューティ・ブロンド』『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』『ローマの休日』などがある。
2022年5月には初の単独主演作となる『THE 39 STEPS』がシアタークリエにて上演予定。

Twitter 

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取材・文/森樹
撮影/松井綾音

スタイリスト/五十嵐堂寿
ヘアメイク/丸山晃穂(JYUNESU)


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