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うららかな日に

古びた部屋の隠された棚

コップに挿した一輪の野草

枯れない、枯れた花の声に

耳を澄ませてみるといい

「水を替えてください」

ーもう咲かないのに?ー

軽く花瓶を指で弾けば

鈍い音に重なる錆びた僕の声

突如、差し込んだ春の陽光

心を揺らす陽炎が立つ

踏みにじられた想い溢れて

僕はひざをつく

うずくまる

誓う

この花は捨てない


ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!