2024年日本の交通事故統計・コロナ後に停滞か?
前回の記事で米国の交通事故死者数を確認した。
雑に作った四半期ごとのグラフを以下に再掲する。
コロナ最盛期で大きく上昇したのち直近まで微妙な低下傾向を示すが、コロナ前までは戻ってない感じだ。どのような影響によるのかはハッキリしないが、依然高い水準だと言えるだろう。
で、日本はどうなっているのか。
確認した結果を今回の記事でまとめる。
◆元データついて
警察庁のサイトから該当する資料(令和6年上半期における交通死亡事故の発生状況)を引用し所感を記す。資料は以下リンクから。
なお、リンク先のページは交通事故統計へのリンク集(月報、上半期報、年報など)のようになっており、まあまあわかりやすい。
個人的に『見てるとストレスで吐きそうになるサイト』で有名な厚労省のやつより全然良い。
ただし、結局は『e-Stat』という別のサイトでPDFをダウンロードすることになるので便利なのかよくわからんが、csvやエクセルデータもダウンロード出来るので、やはり厚労省よりは全然良い。
◇◇◇
さて。
今回取り上げる資料は『上半期報』だ。
毎年7月末にアップロードされるようで、最近タイミング良く2024年前半のデータが出ていた。それを使用する。以下リンク。(本記事の引用部はすべて以下から。2024.08.02時点のもの)
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R6kamihanki_bunseki.pdf
この資料は表紙含む全8ページで、既にデータがグラフ化などされており、上半期の分析結果としてまとめられている。
以降から全ページのスクショと雑な所感を記すが、気になる『交通事故死者数の推移』のみを先に取り上げる。
◆交通事故死者数の推移(上半期)
直近11年の上半期のみの推移が上の図だ。
(数値は1年間のものではないので注意)
コロナ元年であるR2前後を見ると大きな変化は見られない。
死者数はもともと減少傾向だったが、それはコロナ突入後のR4まで変わらず。そこから近年は停滞しているように見える。
個人的に日本でのコロナ元年はオミクロンが始まったR4だと考えているが、その年でも前年比で減少している。
◇◇◇
この結果を見る限り、米国での20%増加のような大きな変化は見られない。
しかし『減少傾向から停滞への変化』をコロナの影響と推測出来るかもしれない。(減少と増加の傾向が一致し相殺されている、かも。)
ちなみに、コロナ後のプロ野球の打率低下について過去記事で書いたことがあるが、2020年から米国MLBは大きく変化、日本NPBでは徐々に変化していた。そのパターンと一致すると言えないこともない。
まあ交通事故への影響因子は膨大にあるはずで『もしコロナがなかったら前年までの傾向が継続していたはずである』と言い切れず難しい。野球もだが。
◆所感
以降に資料(全8ページ)のスクショと雑な感想を記す。興味のある方はどうぞ。
表紙。資料全体のまとめ。
死者数の推移は既に書いたとおり。
下段で走行キロの推移との関連がコロナ元年から示されている。
ロックダウンや降雪の影響がなんとなく読み取れる。
夏の終わりから増加する傾向は夕暮れの時間が早まるためだろうか。
状態別死者の推移によると『歩行中』の変化が比較的大きいように思う。詳細は次ページで分析されている。
これを見ると65歳未満で夜間の死者が増えている。
内訳として飲酒ありの『横断歩道以外横断中』『路上横臥』が特に増えていることを示している。コロナ後、飲酒量が増えたのだろうか?
自転車関連は大雑把に変わったことが見られないように思う。
(R2以降緩やかな減少傾向を維持)
自転車運転中の携帯電話利用中の事故は増加している。
高齢者による死亡事故件数は割合としては緩やかな減少(または停滞)を示す。
なお、『ブレーキとアクセルの踏み違い』が大きく増加している。これはコロナ絡み(認知機能への影響)か。
飲酒運転関連は微減か停滞。
携帯使用関連は近年増加。ただし、R2以前もそれなりに高かったため、増えているとはいえまだ異常だとは言えない水準か。
◆おわりに
ということで、コロナの影響はあったとしても米国ほどハッキリした結果ではなかった。
これまで運転中に『ふらつき』『逆走』などを気にしていたが、少なくとも死亡数としてはわかりやすい数字で表れていない。(ただし、死亡に至らない事故は増えているのかもしれないし、そこまでは確認していない。)
とりあえず一安心の結果ではあるが、傾向として歩行中の事故が増えているようだ。
クルマに乗らない方もお気をつけて。
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