六月の君は

おすすめ初音ミク作品 for まとめ企画


※トップ画像は、小菅こんにゃくさん「六月の君は。」(イラストはへレミアさん)よりスクショをお借りしました。問題があればご指摘ください。


2019年の初音ミク誕生祭が迫ってきました。8月31日まで5日……リスナーの皆さんは当日までどうするか、もう予定はお決まりでしょうか。

さて。ウタカタさんという若いボカロリスナーさんがおられます。山月記をモチーフとした鏡音リン名曲「タイガーランペイジ」推しでも知られていますが……ツイッター上で熱心にボカロの周知活動を行っておられ、そのRT数はときに3~4桁いくことも。で、今回は「おすすめ初音ミク曲」を募る企画をされています。応募期間は、8月31日までなので、まだ間に合いますよ。

何曲でも推せますが、1ツイートに収めて、という条件だったので、悩んだ挙句に私が送った作品がこちら。

7曲でギリギリでした……とりあえず、下にも貼っておきましょう。


1.【初音ミク】勝手なアニメ「恋スルVOC@LOID」【'09生誕祭PV(遅刻)】(原曲:OSTER Projectさん、手描きPV:こころりPさん)

私があなたのもとに来た日を
どうかどうか 忘れないでいて欲しいよ
私のこと 見つめるあなたが嬉しそうだから
ちょっぴり恥ずかしいけど 歌を歌うよ

OSTER Projectさんの原曲「恋スルVOC@LOID」(2007/9/13)は、黎明期に登場した初音ミクキャラソンにおいても、燦然と輝く完成度。私はこの曲でボカロに転びましたが、当時はまさか10年以上聴き続けることになるとは思いませんでした。紹介作品は、こころりPさんがPVを付けて2009年9月1日に投稿したもの。2007~2009年にどんなボカロが登場したか、どれほど名曲が生まれたかを振り返る初期ボカロの検定動画にもなっています。


2.【初音ミク】Innocence【3DPV】(曲:KazuPさん、PV:kellowさん)

理想(ヴァーチャル)と現実の狭間で
私は生まれ 愛されてきた
リアルな世界は 複雑すぎて 疲れちゃう
ただ素敵な歌が聞きたくて
みんな私を 育ててくれた
今だけ お願い 夢をみさせて

もう一つ懐かしい作品から。2007年末、初音ミクにJASRAC問題が降りかかっていた頃、その状況に疑問を呈して発表されたKazuPさんの原曲が「Innocence」(2007/12/21)です。当初あまり目立たなかったものの、1年後にリリースされたkellowさんの名PV(2008/12/8)をきっかけに大きく注目を浴びました。MMD以前の3D-PVとしても素晴らしい出来です。

初音ミクで大きな注目を浴びたボカロムーブメント。文化として落ち着いた現在からでは考えにくいことですが、「何か問題が起きればボカロシーンが消えてもおかしくない」という先の見えない不安が、当時のユーザーやファンには付きまとっていました。「Innocence」の歌詞とメロディは、その不安と希望を今なお伝えてくれるのです。


3.【初音ミク】Unfragment【オリジナル】(鼻そうめんPさん)

遠くて聞こえないよ
何かが欠けているらしいんだ お互い
焦がれた手の距離は まだ
どこまで漸近して(ちかづいて)も ゼロじゃない

2009年12月26日投稿。鼻そうめんP(HSP)さんはHiroyuki ODA名義で知られる、クラブミュージックのトランス界において世界的に有名なプロミュージシャン。それだけでなく、かんざきひろ織田広之名義でBONESをメインに活躍しているアニメーター/作画監督、『エロマンガ先生』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のイラストレーターとしても知られる多芸多才な方。本作品のイラストも、もちろんHSPさんご本人

ユーフォリックトランス/プログレッシブハウスらしいですが、ジャンルとか気にならない極上の浮遊感。9分弱と長めなので作業用BGMとしても良いですが、うっかり聴き惚れて手が止まってしまうかも。

あと、歌詞中の"waiting ya so call me out"が、「ネギがそこにある~」と空耳で聴こえてしまうんですが、狙ってますよねこれ?w


4.【第6回MMD杯本選】初音ミク-Cipher サイファ-【PV】(原曲:FLEETさん、PV:☆Pさん)

ほつれようとする非対称なカーテン。
溢れ出すサイファ。
その隙間を開き今、全ての不条理が満ち満ちた部屋から
零れた光を何と呼ぼう。

佐藤純一(fhána/FLEET)氏が、初音ミクを用いて初投稿した「Cipher サイファ」(2011/1/15)。原曲の投稿者コメントには、"普段ボカロを聴かない人も、よく聴く人も、「何か」を感じてもらえたら嬉しいです"とあります。

ひとによって受け取り方は様々だと思いますが、私には、当時のほとばしる初音ミクシーンを背景に、新しい息吹、未来への方向性を綴るイメージが感じ取れます。

その哲学的な歌詞の名曲にPVをつけて、☆Pさんが第6回MMD杯に投稿したのが紹介作品(2011/2/11)。短く印象的なカットを連ね、独特な配色と光の表現で紡がれたMMD-PVは一見の価値あり。受賞こそしていませんが、無冠の傑作だと思います。なお、佐藤純一氏も巡回済み。


5.【初音ミク】宇宙の灯台守 / Bernis(Bernisさん)

もうさびしさはないけれど 
懐かしい音を探している 
その日だれかを地球(ここ)へ導く 
わたしは宇宙の灯台守

2015年9月8日投稿。Bernisさんの宇宙派代表作の一つ。舞台となるのは遥か未来の地球。赤と白の衣装を着けたミクさんが描かれていますが、彼女は、地球上で人類の帰還を待ち宇宙を観測し続けるプログラムです。何も反応が無いまま悠久の時が流れ、数千年が経過したある日……

バラードとドラムンベースを融合させるばかりか、中盤から一気に展開を変えながらも自然に聴かせるのは並大抵の技ではないでしょう。もっと評価されてほしい作品です。

また、「Cor」「Chronicle」「On the shore of the Eden」等、後の作品群とつなげることで、壮大な宇宙派サーガとしても読み取ることができます。興味を惹かれた方には、ぜひ聴いてほしい連作です。


6.【初音ミク】六月の君は。【オリジナル曲】(小菅こんにゃくさん)

I walked in silence
季節は巡って
また会えるように、描いていた未来で
So don't say goodbye
目をそらさないで
明かした言葉に、二人の永遠を

2016年6月15日投稿。小菅こんにゃくさんの代表作。爽やか、お洒落、華やかなメロディが耳朶を満たしてくれる、完成度の高い名作です。

個人的には、2016年のボカロ曲で1選しろと言われたらこの作品を推すぐらい好き。マジカルミライなどのコンサートでラストに起用しても違和感無いと思ってますが、何とか評価されてほしい……いや本当に。


7.【初音ミク V3】 旅の終わり 【オリジナル曲】(CleanTearsさん)

夜を越えて 朝日が 顔を出す頃に
もうすぐだね 旅の終わりが近づいてる
どこまでも歩ける 気がしてたけれど
始まりと終わり 迎える勇気を下さい

2016年6月19日投稿。CleanTearsさんの楽曲からどれを推すか迷いましたが、セトリを組むとき最後にもってくるならこれかな。EDM、特にトランス系が得意なCleanTearsさんですが引き出しも数多く、本作はChilloutというテクノ系の中でも「しっとり落ち着く」ジャンル。

夕陽が水平線に沈み、遠く雲間の空が藍色に染まり、星が瞬きはじめる頃の空気――夏の涼しさがメロディから沁みわたってきます。記された歌詞からは、満ち足りた冒険の後、別れの場面で流れるエンドロールのような寂しさも感じられ……いろいろな物語を思い描いてしまう作品です。

どんな時も一緒だよって
嘘でもいいから 安心させてよ
笑顔で別れると決めてた
だけど 今は涙を許して


それでは、今日はこの辺りで。

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