白黒画像がカラーに見える？～カラーイルージョン（色の錯視）を作ろう～色順応とは？

leftbank

2020年12月12日 19:53

カラーイルージョン

今年の10月に立ち上げた、AudiiSion Sound Lab.

その会社名の由来は、人の脳の認識の仕組みを利用した新しいデジタルオーディオ信号処理技術を売り物にしようと、聴覚の錯覚（＝錯聴　Auditory illusion)を元にした造語です。

それはともかく、今回は聴覚ではなく視覚の錯覚（＝錯視　Optical illusion）のお話です。

まずは早速デモ画像をご覧ください。

左が元画像、中央が変な色付き画像で、右が白黒。

下のGIF画像は、この「変な色付き画像」と「白黒画像」が交互に表示されます。元画像は表示されません。

画像全体が見渡せる距離から、色付き画像の中心辺りを、なるべく目を動かさずにじっと見てください。

目を細めると、瞬きが減って効果が出やすいかもしれません。ほとんど動かさないでいると色が完全に消えて画面全体がグレーに見えてきますが、この状態でなくても大丈夫です。

30秒後に、白黒画像に入れ替わります。

その時、少しの間「白黒画像」にハッキリとした色が付いて見えませんでしたか？元画像は表示されていないのに。

以前の記事「iPhone12Pro か一眼レフか？～ナイトモードは使える！～Paint It, Blue」でホワイトバランスについて少し触れましたが、これもそれと同じ「色順応」という視覚特性と関係しています。

電球色照明の部屋にしばらく居ると、黄色～オレンジがかっているはずの「白」が白く見えてくるというやつです。これは、電球色に対する感度を落とすことで本来の白が白く見えるよう、人間の視覚にオートホワイトバランスが働いているということです。

つまり同じ色をジ～と見てるとその色に対する感度が落ちるため、環境が変わっても少しの間、逆に補色に対する感度が相対的に上がることになります。

ちょうど今週のタモリ倶楽部で「ブルーシートでテント張り」ってのをやっていて、タモリさんと谷まりあさんが、「ブルーシートテントの中から外に出るとオレンジ色に見える！」と言ってましたが、これも同じ現象です。

ホワイトバランスは環境色の話なので全体で一色ですが、実際はもっと高い解像度を持っています。

私の経験上、元色が赤ではなぜか起こりにくい感じがします。
（カラーバーそのものを見た後は、その全補色が見える、つまり位置が入れ替わって見えますが・・？）
S錐体（青に反応）が関係していると言う論文も見たことがありますが、詳しいことは知りません。

上のGIF画像で白黒画像がカラーに見えたのは、この色順応による色残像の影響です。

作り方（MATLAB）

では作り方を。
基本的には、色成分を反転してあげるだけです。

MATLABコードはこんな感じ。

A = imread('kazue64_0401p.jpg');
Ilab = rgb2lab(A);  % to L*a*b*
IL = Ilab(:,:,1);  % take L*
Ig = IL*0+50;
Ilab  = -Ilab;
Ilab(:,:,1) = Ig;
B = lab2rgb(Ilab);
imshow(B)
pause(30)
imshow(IL,[0 100])

filename = 'kazue64_0401p.gif';
[A,map] = rgb2ind(B,256);
imwrite(A,map,filename,'gif','LoopCount',Inf,'DelayTime',30);
C = IL;  C(:,:,2) = IL*0;  C(:,:,3) = IL*0;
[A,map] = rgb2ind(lab2rgb(C),256);
imwrite(A,map,filename,'gif','WriteMode','append','DelayTime',10);