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停電の4日間

夏が近づき、台風シーズンがやってくるこの時期になると思い出すのが、台風で停電した夏の出来事である。

数年前、私の住む町に台風が上陸した。夕方にかけて風雨が強まり、夜になると猛烈な雨と風が窓に叩きつけられていた。
台風が来ればこれくらいの風雨は普通だろうと思っていたのだが、この時は様子が違った。一瞬だが電気が消え薄暗くなるときがあったのである。

これも嵐の影響だろうと思っていたら、突然電気が消えてしまった。
ブレーカーを戻そうと外にでると、他の住人たちも一斉に共用廊下に出ていた。全館の電気が消えていた。
まだ夜の早い時間だったので、炊事や洗濯が途中だった人も多かったが、突然全部止まってしまった。洗濯機のなかで、洗濯物が水に浸っていた。
外の様子をみると、窓ガラスに強く雨がふりつけているので見えづらかったが、あたり一面真っ暗闇になっていた。

朝になれば電気も戻るだろうと楽観的に考え、その日は寝ることにしたのだが、状況は変わらなかった。
ニュースによると、停電は町の広範囲に及んでおり、我が家以外の近隣の家屋や、信号まで停電する有様であった。
そして集合住宅はオール電化を売りにしていたのが仇となり、水道以外の全ての機能が失われてしまったのである。
部屋の中でも懐中電灯を頼りにしなければならず、電気が通っていないのでIHコンロも使えない。風呂のお湯も沸かせないため、水風呂になった。
夏の終わりだったので、まだ暑さに耐えられたが、これが盛夏であれば最悪だっただろう。

停電は徐々に回復していたが、なぜか私の住む集合住宅近辺だけは復旧に時間がかかり、4日程度停電したままだった。
電気がないだけでこれだけ不便なのかということと、普段充電に頼り切っているのがいかに危ういことかを身を以て実感した。
この経験を期に、乾電池で動くラジオ、懐中電灯、充電器を揃えて、電気の非常対策を心がけることにした。
これで、いざ停電が起きても大丈夫といいたいが、やはりあの苦労はもう二度としたくない。


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