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これからの農協の役割

JA(農協/農業協同組合)は1948年(昭和23年)に施行された農業協同組合法(農協法)に基づいて設立された団体です。法律が施行されたのは戦後直後で、農業復興と農業者の生活向上を目的としていました。

その後、農協法は時代の変化に応じて改正が繰り返されていますが、農協は協同組合として、農業従事者の自主的な協力と団結を基盤として、民主的な運営と組合員の自主性を尊重されて運営することで、日本の農業と農村社会の発展を支援することを目的としています。

農業従事者の生活と経済のために、農業資材の共同購入や農産物の共同販売、技術指導などの支援を行います。さらに金融サービスや生活資材や福祉サービスの提供も事業として実施しています。

農村地域では農協の活動が地域住民である農業従事者のコミュニティを支えています。地域の高齢化や過疎化などで組合員が減少し、地域に暮らす人も減って限界集落化すると農協自体が成り立たなくなります。そこで、最近では農協は広域的な合併などが進められてきました。

時代が大きく変化するなかで農協の役割も変化を求められています。

まずは地域の農業の収益構造を改善しなければなりません。農協の収益は農協で働く人の給与となります。最近では農協も人材不足と言います。利益を用いて農協の仕事を合理化するとともに、地域の農業やコミュニティを維持発展させるために再投資されるべきです。

利益を生み出すためには、農産物の市場価格を上回る価値を付与しなければなりません。市場や小売の現場で少々値段が高くても選んでもらえる差別性を付与することが重要です。

農業者への技術指導によって生産性(収量)や品質(規格)を改善することも重要ですが、集荷した農産物を右から左に流すだけでなく、農協を通すことでなんらかの付加価値を作り出すことが求められます。

特に最近は消費者の嗜好も多様化しています。市場を意識して特定の消費者が求めるものを供給できるようにしなければなりません。また、流通について仲卸や小売店に依存するのではなく、生産者団体として主導権を得ることも大事です。

私は農産物のブランディングに関する仕事を長く手がけていますが、地域の生産物のブランドのコントロール権が流通や小売の事業者が持っていることを多く見かけます。サプライチェーンを考えると最も川下にある消費者が求める価格は、流通事業者で決められることが多いようです。なるべく川上に位置している農協がブランドや価格をコントロールできるよう戦略が求められます。

当社では農協のコンサルティングも実施しています。
お気軽にご相談ください。


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