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サービス業における付加価値について

長年サービス業に携わっている身から、少し考えたいと思いました。

「おもてなし」
「ホスピタリティ」
などは、いつのまにかサービス提供側は当たり前に持つべき精神となっています。「おもてなし」は小泉進次郎夫人によってオリンピック誘致の際にも全世界へ発信されましたね。

その昔「一億総中流」なんて言葉もあったくらい、ほとんどの日本国民が物に困らない生活を営むことができるようになり、生活必需品で困ることがなくなったことで、強烈な物欲もなくなったように思います。またメーカーの企業努力により日本製の信頼の高さに、国内において他社製品との差別化が難しくなりました(いわゆるコモディティ化ですね)。また長期に亘りデフレスパイラルに陥ったこともあり価格は抑えられ、各社とも自然に価格競争力が失われいきます。

そこで、本来の性能、サービスからは外れる面での差別化を模索し、あらたに価値を生み出そうとします。特にサービス業では日本人が元来持ち合わせている「他者と思いやる気持ち」を活かそうとします。

今では大衆居酒屋でも、注文や配膳の際マニュアル化された言葉遣いを用い、丁寧な接客をしますが、20~30年前は学生のバイトがおのおの基準(個性)で接客していました(まず座敷でオーダーを取るのに膝まづくなんてあり得ませんでしたから)。接客応対のマニュアルが各社統一化され、接客サービスの基準を明確にしました。また「覆面調査員」なるコンサルビジネスも活況になり、第3者の評価でサービスを点数化することで、さらなる向上を目指すようになります。

個人的にはマニュアル化されたサービスはホスピタリティとは思いません。

イレギュラーの際に、いかに柔軟に対応できるかが「ホスピタリティ」や「おもてなし」の神髄であって、サービス提供側が、日常的に、それもお仕着せがましい振る舞いは「感動の押し売り」「過剰サービス」だと思います。

サービス業の現場は経営者、最終責任者ではなく、現場責任者やパートタイム従業員で回していることが多く、緊急対応が必要なトラブル時ほど即断、即決が必要になります。マニュアルはもちろん大事なのですが、マニュアル外の対応を明確にしておくことが大事だと思います。また、経験不足による間違った判断をするかもしれません。しかし、あとで非難してはいけません。怒った瞬間に、以降は自己判断は回避するでしょう。それよりも普段から、何を基準にサービスを提供しているか、イレギュラー時の考え方など研修やミーティングで話し合うことが大事だと思います。

急に応用問題は解けません。普段から基礎練習をこなし、お互いに理解することで、信頼できるパートナーとして仕事を任せられるのだと思います。

定期的にミーティング、研修の機会を設け、経営者は「理念」や「行動指針」を落とし込み、現場からは「成功体験、失敗事例の共有」がサービス向上に繋がると考えます。

この辺りのテーマは深いですよね。機会があれば具体的な事例を交えながら記事にしたいと思います。

では、また!

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