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教育移住を考える時

コロナ後、海外へ永住する人が増えてきて、2023年はこれまでで最高の57万人だったそうです。同時に子どものための教育移住を考える人も急に増えてきました。以下のようにNewsPicks でも取り上げられています。

引用:Newspicks  完全ガイド「沸騰直前の教育移住」より

教育移住とは

教育移住は、子どもにより高い教育環境を提供するために、地域や国を移動することを指します。特に日本の家庭では、質の高い英語教育や多文化環境への関心が高まり、英語圏への移住が増えています。単に英語力をつけることが目的ではなく、現地のインターナショナルスクールや地域コミュニティで、異文化に触れながら子どもの視野を広げたいという親の思いが背景にあります。ある母親は、「子どもには自分が見たことのない世界を見せてあげたい。そのために一歩踏み出した」と語ってくれました。

教育移住の背景

教育移住を考える親の中には、日本の教育システムに対する不信感を抱く人が少なくありません。日本の経済力が以前より低下しているという不安や、何年も学んでも成果を感じにくい英語教育への不満は、その一因です。
また、子どもを伸び伸び育てたいという希望もあり、こうした背景から、他国の教育システムを選択肢に入れる親が増えています。

教育現場での焦燥感

一方で、教育現場でも変わりたいという声が聞こえます。日本の教育制度は、巨大な船のようで、方向転換には時間がかかります。ゆとり教育などの過去の試みも、期待とは異なる結果に終わりました。一部の教師たちは「このままではいけない」という焦燥感から、独自に新しい取り組みを始めていますが、私は日本では「教育制度は最後に変わる」のだろうと思っています。

環境を変えるための選択としての教育移住

こういった変わらない日本の教育環境に不安を感じる親が、「環境を変えるために自分たちが動くしかない」と判断し、教育移住を選ぶケースが増えています。ある家族は、家族全員で海外移住を決意し、母親は「最初は不安だったけど、子どもが現地で新しい友達を作り、生き生きと学ぶ姿を見て、挑戦してよかったと思った」と話してくれました。とはいえ、移住には経済的なハードルや文化的な壁があり、親子ともに大きな挑戦です。

教育移住の課題とチャレンジ

教育移住にはさまざまな課題があります。まず経済的な負担です。母子での移住が一般的ですが、特に初期の学費や生活費、ビザ取得の費用は大きな負担となります。また、現地の文化に適応する難しさも大きな課題です。
ゼロから生活を立ち上げることの大変さの上に、子どもが環境に慣れるのをサポートしながら、母親自身も現地に慣れていかなければなりません。
「子どもの学校からの連絡、担任との面談、医者との対応もすべて英語。最初の頃は特に子どもにも苦労をかけてしまって、申し訳なかった」と話すお母さんもいました。思った以上に言語の壁、文化の壁は、親子ともに乗り越えなければならない壁です。

帰国子女が直面する課題

教育移住を経て帰国した子どもたち(帰国子女)が直面する課題も見逃せません。私たちの塾にも毎年帰国子女のお子さんを預かります。小学校から海外だった彼らは英語では優れた能力を発揮しますが、日本史や国語では苦戦することが多いのです。たとえば、日本人学校に学校に通っていたお子さんでも、日本にいたら当たり前の超有名人「徳川家康」「織田信長」なども知らないという驚きの連続です。特に日本語の読解力不足は大きな課題で、日本で暮らすには「かわいそうなくらい本語を知らない」という現象が起きてきます。

日本語を学ぶことの重要性

英語を学ぶことは重要ですが、実は日本語をしっかりと身につけることの方が、長期的には子どもたちの可能性を広げるのではないかと最近感じています。日本はひらがな、カタカナ、漢字を使いこなす複雑な言語の国で、習得に時間がかかりますが、いまだ1億以上の人口を抱え、世界有数の高いGDPを持つ国です。それだけに日本語も使えるバイリンガルであることには価値があるのです。あるご夫婦とも同時通訳のご家庭は、「子どもには幼い時は日本語をしっかりと学ばせるようにしています」と語っていました。

日本の10代の教育水準は世界レベル

また、日本の高校生までの学力は、世界でもトップクラスです。また、文字の読み書きができることを前提として社会が成り立っています。しかし、多くの日本人が憧れる米国では学力格差の大きさも問題になっています。

OECD/内閣府  WBS(テレビ東京)2024.10.9放映資料より


アメリカ教育省の全米教育統計センター(NCES)によると、アメリカの成人の21%(約4,300万人)が読み書きが満足にできず、読み書きができるといっても、成人の54%は小学6年生以下の識字能力しか持っていないということです。
格差のある国ではどの層の人々が多く住む地域かということで大きく異なります。
「日本の教育レベルを求めるならそもそも海外に来るべきではない」と語る移住者の方もいらっしゃいます。

海外の良さと日本の良さ

海外に出るとつくづく感じます。
日本に生まれたというだけで、私たちは恵まれているのだということを。「日本は窮屈でイヤ、海外に行きたい」とずっと思ってきた私でさえそう感じざるをえません。

その上で、もし今私が若く自分の子どもが小さく、選択肢として海外があるならどうするだろうか、と考えてしまいます。
今の時代、自分が今の知識を持った状態で、子どもが小さいとしたらどの選択が我が家にはベストだろうかと。
教育のためにそこまで費用をかけれるか、将来を考えると我が家では心配です。おそらくできても1、2年の期限で海外のインターナショナルスクールに通わせることでしょう。1年が精一杯かもしれません(インターは世界中同じような高額な授業料です)。あくまでも日本に戻ることが前提です。

日本は窮屈でそれほど好きではない、と思っていますが、ある程度の公教育を受けることができ、安定した医療制度があります。子どもを外国人にしたいわけではなく、親としては選択肢を広げてあげたいだけです。そして定期的に海外プログラムを選択して、今の私と同じように日本と海外を行ったり来たりしながら学ぶことを選ぶでしょう。「海外に行きたくない、夏休みももっと部活に専念したい」、などと本人が言い出すまでは。

いつかは親の希望通りにはいかない時が来るでしょうが、それまでは違う世界も見せて、日本人としてのマナーの身についたバイリンガルを目指すことをえらぶかな、と思っています。いいところ取りの道です(笑)。


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