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社会人になったら

久しぶりに、大学時代の友人と連絡を取って、飲みに出かけた。

誘った日程は平日だったのだけど、「昼から飲むのはどう?川沿いで飲んでもいいし、店もあるし」と彼。

昼から…、一瞬戸惑ったけれど、いける。仕事の時間をずらせばいい。待ち合わせの時間まで近くのシェアオフィスで仕事する。
人通りのない川沿いの木陰に座って飲み、駅近くの店でまた飲んで18時には解散した。ちょっと不思議な気分で早々に家に帰る。

大学を卒業後、いわゆる「社会人」になったら、スーツ着て満員電車に乗って、会社でパソコンに向かってなにか仕事して、残業したあと飲みに出かけて帰る。そんな日々が続くんだなって思っていた。
理不尽なことも、さらっと受け流して、不合理なことも組織の意向ならフリでもいいから従う。そんな大人になるんだろうか。

とか思って、実際に最初の数年間はそうしていたかもしれない。

その後、転職して以来、スーツを着ることは無くなった。主夫を経験して、再び働き始めてからは、一日8時間も働いていない。時間もずらして、満員電車に乗らなくなった。

いまに至っては、雨が降ったり、暑かったり、朝起きてだるかったり、ちょっと無理だと思ったら、会社にも行かず、家で仕事をしている。飲み会ももちろん無いし、不合理なことは避けて通り、理不尽なことはおかしいと声をあげる。

そしてこうして、昼から友人と飲むこともできる。

どんどん仕事は自由になった。それが合わない人もいるかもしれないし、今の自分の「働く」もめぐりめぐってようやくたどり着いたものだ。ずっと求めていたようで、もとの場所に戻っただけかもしれない。

家で仕事していると、遊びにきてる娘の友達にお仕事何してるの?と訊かれる。

何してるかな、いつも説明するのが難しい。パソコンで文章を書いて、たまに電話やメールでやりとりする。やってることは、それだけだ。働くって、とても単純で難しい。

これから、またどんなふうに働くかはわからない。自由が楽しめるのも、今だけかもしれない。でも、学生時代にイメージしていた「社会人」と全然違うことをしている今が、楽しい。私には、高層ビルのなかの綺麗なオフィスも、都会の真ん中で食べるランチも、たぶん似合わないし窮屈だ。私は、ただ学生時代と変わらず、川沿いでビールを飲んでいる。


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