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勝手に愉しむ❗️<その2> 〜晩年のボッティチェッリ〜

The NATIONAL GALLERY, LONDON
<ロンドン・ナショナル・ギャラリー展> 

開催が延期されている<ロンドン・ナショナル・ギャラリー展>。
入手できる情報をもとに予習しながら一人で勝手に愉しんでいます!

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私はまだ 第1章の展示室にいる…と勝手に想像。
‘ 線遠近法 ’ が大好きな私は、ウッチョロに感激したあと 待望の作品の前に立ちます。
◉出展番号「2」カルロ・クリヴェッリ『聖エミディウスを伴う受胎告知』(1486年)

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美しい。細部まで全てが美しい!
今回一番の注目作品であり、画像を見ているだけで画面奥に引き込まれていきそうな線遠近法、気持ちが良すぎます😆。
この作品の解説は、各方面で詳しく掲載されているのでここでは割愛します。
実物の前に立てたならば、クラクラめまいを起こすこと間違いなし!です。

さて私が注目するのはボッティチェッリ。
◉出展番号「4」サンドロ・ボッティチェッリ『聖ゼノビウス伝より初期の四場面』(1500年頃)

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あらっ?
代表作『プリマヴェーラ(春)』や『ヴィーナスの誕生』と雰囲気が違いますね。画面から春風が吹いてくるような解放的な優美さがありません。
こじんまりとして、少し堅苦しい印象を受けます。
手持ちの図鑑を見ると ボッティチェッリは、
「最盛期には非常な成功を収めたが、ルネサンス三大巨匠たちが登場すると時代遅れとみなされ、晩年の10年間はひっそりと過ごした」とあります。1510年に亡くなったボッティチェッリが1500年頃に描いた本作。もしかしたら筆を置く直前期の作品だったかも知れませんね。

とはいえ、19世紀に再評価され 15世紀イタリアの中で最も愛される画家になったボッティチェッリ。彼の作品を堪能しない手はありません。展示室で注目するポイントを予習しましょう❗️

展示作品は、フィレンツェ・聖ゼノビウスの奇跡を描く4枚のパネルからなる板絵の第1のパネルです。
画面左から右へと物語が進んでいく異時同図法となっています(ここでは分かりやすいように分解しています)。

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① 結婚を拒否する聖ゼノビウス
→ ② 聖ゼノビウスの洗礼
→ ③ 聖ゼノビウスの母ソフィアの洗礼
→ ④ 聖ゼノビウスのフィレンツェ司教への任命
フィレンツェの街角が線遠近法を駆使して描かれており、建物の柱を区切りとして展開される4つの場面にはリズム感がありますね。
異時同図法って物語を理解すると面白い😊。展示室で実物をじっくり鑑賞するのが楽しみになりました。

ちなみに今回は来日していない他の3枚のパネルもご紹介しておきます。

◯ 第2のパネル(ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵)

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① 悪魔祓いをする聖ゼノビウス
→ ② 死んだ少年を蘇らせる聖ゼノビウス
→ ③ 盲人を癒す聖ゼノビウス

◯ 第3のパネル(メトロポリタン美術館所蔵)

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① 名家の婿を蘇らせる聖ゼノビウス
→ ② 落馬した死者を蘇らせる聖ゼノビウス
→ ③ エウゲニウスの親戚を蘇生する

◯ 第4のパネル(ドレスデン国立絵画展所蔵)

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① 荷車に轢かれる子供
→ ② 子供の死を嘆く母親
→ ③ 死んだ子供を蘇らせる聖ゼノビウス
→ ④ ゼノビウスの死

物語(パネル)が進むにつれて装飾的で優美な ボッティチェッリらしさが出てきているような気がします。遠近法も幅がある 力を抜いた表現になってますね。

さて第1章はギルランダイオ、ティツィアーノ、ティントレット … と見どころ満載なのですが、次の部屋に移動することにします。

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                                    <その2・終わり>

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