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ただただ芸術を愛した人・アングル

日めくりルーヴル 2020年5月20日(水)
  アングル『ルイ・フランソワ・ベルタンの肖像』(1832年)

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ルーヴル美術館・日めくりカレンダーについて前回 投稿したのは2月24日。
3ヶ月間 … 時間はたくさんあったのに なぜか書けませんでした … 気持ちの問題なのでしょう、不思議ですね。
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昨年秋 パリで美術館巡りをしているとき、多くの場所でよく目にしたのが新古典主義の巨匠・アングル(1780−1867年)の作品です。
おかげで初心者の私も「これはアングルの作品だ」とわかるようになりました✌️

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルの卓越したデッサン力、細部を描く超絶技巧は圧巻!特に脇役として描かれている布の質感や装飾品の細かさ…。「凄い」のひとことです。
そしてなんと言っても彼の描く女性の “アングルらしい“ ことか!(←文章としておかしいですね😅)

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滑らかな背中、流れるようなプロポーション、柔らかく美しい肌の女性✨。
でも、なぜか血のかよわない 置き物のように感じるのです。素晴らしいけど「好き」ではないかも知れないなぁ、と思っていました💦

しかし今日の作品。コレは、ちょっと「好き」です。
ルーブル美術館でもしっかりと見てきましたよ🤗

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モデルは、政治家であり有名な新聞王のフランソワ・ベルタン。とても実在感があり、「もうそろそろいいだろう」と、今にも立ち上がりそうです。アングルは彼がたまたま取った一瞬のポーズをとらえたそうですよ。

少し乱れた髪と襟元は、うんうん ブンヤさんっぽい。熱い血が通っています。
そして彼の力強い精神力も なまなましく伝わってきます。
髪の生え際と毛先の手触り、黒いベストの布感、そしてベルタン氏の分厚い手は、握手した時にその荒れた感触まで伝わってきそうな描写です。
懐中時計(?)と椅子の肘掛け部分に映っているのは窓から差し込む光です、素晴らしい✨。
50歳を超えたアングルが、制作に1ヶ月もかからなかったこの作品は、ボードレールに「アングルはフランスでただ一人実際に肖像 “を作った“ 男」と言わせました。

アングルが、ヴァイオリン奏者パガニーニと弦楽四重奏団を結成して演奏したこともある❗️という逸話には驚かされます。
彼自身の生涯は激動のドラマはありませんでしたが、革命よりも英雄よりも 絵と音楽を愛する芸術至上主義者だったようです。ひたすら絵を描き、アカデミーで教鞭をとり、空いた時間で自宅に親しい友人を招いてヴァイオリンを弾く。
86年の人生をアングルはそのように全うしたのでした。

「私も、背筋を伸ばして何事にも丁寧に対応しよう!」とつぶやきました。
意味不明ですね💦。

実はアングルや、彼の師匠ダヴィッドの本当の凄さを理解するには、ナポレオンやフランスの近代史を知ることが重要なのであります。そしてパリの美術館に多くの作品が展示されているのもココに理由があるのでありまする。
なので勉強不足の私は、まだ大きな声でアングルを語ることができません。
次回アングルについて投稿するときは………。頑張ります。

   <終わり>

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